【お客様事例】モバイル型リアルタイムPCR装置「Franklin」を用いた 「SARS-CoV-2 遺伝子検出キット 極東 Ver.2」の評価

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アプリケーションノート 2021<10>
製品名:Franklin™ Real-Time PCR Thermocycler(Cat.No.1000005/SET)
メーカー名:Biomeme, Inc.

製品について詳しく見る

本データは、下記の皆様のご厚意により掲載させていただきました。
佐守秀友様※1,2 戸高眠様※3 西村直行様※1,2
※1神戸常盤大学 保健科学部 医療検査学科 ※2 神戸常盤大学 医科学研究所 神戸常盤大学PCR検査センター ※3 極東製薬工業株式会社 製品開発部 開発企画課

実験概要

現在、SARS-CoV-2 遺伝子検出の多くは、ベンチトップ型のリアルタイムPCR装置が使用されている。「SARS-CoV-2 遺伝子検出キット 極東Ver.2」も同様に、ベンチトップ型の装置での使用を想定したキットである。
しかし、モバイル型のリアルタイムPCR装置であるFranklinと組み合わせて使用可能であれば、コスト・手間を軽減させた遺伝子検出試験の実施が可能となり、小規模の医療・検査機関等でも運用が可能になるため、評価を実施した。比較対照として、ベンチトップ型の CFX96Touch Deep WellリアルタイムPCR解析システムを用いた。

実験条件

  • 実験内容
    実験1:Positive Control RNAを用いて E+4からE+1(copies/well)までの希釈系列を作製し、検量線による定量性の評価を行った。
    実験2:Positive Control RNA(5 copies/well)を用いて検出感度の評価を行った。
    実験3:陰性検体に疑似ウイルスを添加した模擬検体を使用して評価を行った。
  • 使用サンプル
    〈Positive Control RNA〉

    実験1:新型コロナウイルス陽性コントロールRNA
    米国 CDC Real-time RT-PCR N1/N2 PC mix(Idenken RNA)(日本遺伝子研究所)
    実験2:EDX SARS-CoV-2 Standard(Exact Diagnostics)
    〈擬似ウイルス〉
    実験3:NATtrol SARS CoV2(ZeptoMetrix, 以下NATtrol)
  • 使用キット
    SARS-CoV-2 遺伝子検出キット 極東 Ver.2(極東製薬工業株式会社)
    本キットの操作方法は、巻末補足情報に記載
  • 使用装置
    Franklin™ Real-Time PCR Thermocycler(以下Franklin)
    CFX96 Touch Deep Well リアルタイムPCR解析システム(Bio-Rad, 以下CFX96 Touch Deep Well)
  • 反応組成/反応条件
    巻末補足情報に記載
製品紹介

Franklin™ Real-Time PCR Thermocycler

  1. 最大9サンプルまで同時測定が可能です。
  2. スマートフォンでのデータ取得・解析できるだけでなく、クラウドへのデータ転送が可能です。
  3. 最大3色(Green, Red, Amber)までフィルターの追加が可能です。

実験 1:Positive Control RNAを用いた定量性の評価(希釈系列)

評価方法

Positive Control RNA(新型コロナウイルス陽性コントロールRNA 米国CDC Real-time RT-PCR N1/N2 PC mix(Idenken RNA))で希釈系列をE+4からE+1(copies/well)まで4段階作製し評価を行った。
精製RNAをサンプルとしたため、熱処理は行わなかった。
Positive Control RNAの希釈系列は各n=2、Negative controlはn=1で実施した。

結果

FAM(N1N2)のCq値

RNA(copies/well) Franklin CFX96 Touch Deep Well
E+4 24.1 24.96
E+4 24.24 25.11
E+3 27.13 28.26
E+3 27.52 28.31
E+2 31.38 31.28
E+2 29.51 31.40
E+1 34.08 34.78
E+1 34.37 35.22
0 N.D. N.D.

CFX96 Touch Deep Wellと同様に、Franklinでも精度の高い検量線の作成が可能であった。

実験 2:Positive Control RNAを用いた検出感度の評価(5 copies/well)

評価方法

Positive Control RNA(EDX SARS-CoV-2 Standard)を5 copies/well となるように添加し、評価を行った。
精製RNAをサンプルとしたため、熱処理は行わなかった。
Positive Control RNA「5 copies/well」はn=8、Negative Control はn=1で実施した。

結果

CFX96 Touch Deep Wellと同様に、FranklinでもRNA 5 copies/wellが8/8で検出された。

実験 3:模擬検体による評価

評価方法

陰性検体に擬似ウイルスを添加した模擬検体を用い、評価を行った。
陰性検体は、健常者ボランティアから取得し、SARS-CoV-2陰性であることが確認された鼻咽頭拭い液(Nasal/UTM)もしくは唾液(Saliva/Raw)を使用した。

結果

FAM(N1N2)のCq値

  NATtrol(copies/well) Franklin CFX96 Touch Deep Well
鼻咽頭拭い液
(Nasal/UTM)
400 29.79 32.80
80 30.22 35.29
16 33.72 37.36
0 N.D. N.D.
唾液
(Saliva)
400 29.29 30.27
80 30.89 32.49
16 34.29 34.94
0 N.D. N.D.

鼻咽頭拭い液、唾液の両検体でCFX96 Touch Deep Wellと同様、Franklinでも、NATtrol 400,80,16 copies/wellが検出可能であった。

まとめ

ベンチトップ型リアルタイムPCR装置(今回の比較対象機種はCFX96 Touch Deep Well)と同様に、モバイル型のリアルタイムPCR装置であるFranklinでも「SARS-CoV-2 遺伝子検出キット 極東 Ver.2」が使用可能であることが明らかとなった。
そのため、Franklinと本試薬を組み合わせて使用することにより、コスト・手間を軽減させたSARS-CoV-2の遺伝子検出試験の実施が可能となることから、今後、小規模の医療・検査機関等で本システムが導入されることが期待される。

お客様のコメント

Franklinは、見た目は非常に小型であり、ベンチトップ型装置に比べて頼りない印象を持っていました。
しかしながら、今回、本機をSARS-CoV-2遺伝子検出に使用させていただき、ベンチトップ型装置と同等の性能を有していることを確認しました。従いまして、本機はPOCT(Point Of Care Testing,臨床現場即時検査)などの現場型遺伝子検査装置として大変有用ではないかと考えています。
また、取得データはスマホで簡単に確認できるだけでなく、クラウド上に保存され、PC上で詳細な解析ができることも魅力でした。

 

補足 1:「SARS-CoV-2 遺伝子検出キット 極東 Ver.2」操作方法

*RT-PCR反応液組成(1サンプル分)
・RT-PCR用試薬(DirAMPg-CoV2):13.0 µL
・Primer/Probe混液(2cPPg-CoV2(M)):1.0 µL
・Enzyme Mix(Enzyme2g-CoV2):1.0 µL

【各検出対象の検出チャンネル】

検出対象 検出チャンネル
SARS-CoV-2 遺伝子: N1, N2セット領域 FAM
内部コントロール(IC)遺伝子 ROX

 

補足 2:反応組成・反応条件

  • 反応組成(実験1,2)
  Franklin CFX96 Touch Deep Well
Positive Control RNA 4.0 µL 5.0 µL
検体処理試薬(DirSOL.Bg-CoV2) 4.0 µL 5.0 µL
RT-PCR用試薬(DirAMPg-CoV2) 10.4 µL 13.0 µL
Primer/Probe混液 0.8 µL 1.0 µL
Enzyme Mix 0.8 µL 1.0 µL
Total 20.0 µL 25.0 µL
  • 反応組成(実験3)
  Franklin CFX96 Touch Deep Well
模擬検体 3.2 µL 5.0 μL
検体処理試薬(DirSOL.Bg-CoV2) 3.2 µL 5.0 µL
RT-PCR用試薬(DirAMPg-CoV2) 8.8 µL 13.0 µL
Primer/Probe混液 0.7 µL 1.0 µL
Enzyme Mix 0.7 µL 1.0 µL
Total 16.6 µL* 25.0 µL

* Franklinの標準反応液量は20 µLであるが、種々の検討の結果、反応液量を減らすことによって、精度の高いデータを得ることができたため、反応液量を変更した。

  • 反応条件
  Franklin CFX96 Touch Deep Well
Step Temperature Time Cycle Temperature Time Cycle
Reverse Transcription 47 ℃ 5 min* 47 ℃ 5 min*
Pre-incuvation 95 ℃ 10 min 95 ℃ 10 min
2 Step PCR 95 ℃ 3 sec 45 Cy cles 95 ℃ 3 sec 45 Cy cles
58.5 ℃ 40 sec** 58.5 ℃ 30 sec

Franklin Active Channels:Green(FAM),Amber(ROX)

*「SARS-CoV-2 遺伝子検出キット 極東Ver.2」の使用説明書では、Reverse Transcriptionの時間は10 minであるが、5 minに短縮しても評価可能であることが確認されているため、本検討では5 minを採用した。
**Franklinでは、Annealing/Polymerization反応の時間を「SARS-CoV-2 遺伝子検出キット 極東Ver.2」の使用説明書記載の時間より10 sec長くして評価を行った。

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