【お客様事例】TASCL(タスクル)を用いた、がん幹細胞の幹細胞性の評価方法

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アプリケーションノート 2021<15>
製品名:TASCL600(Cat.No.TASCL600)
メーカー名:株式会社シムスバイオ

下記データは、関西医科大学 生理学講座 林 美樹夫 様の御厚意により掲載させていただきました。

概要

TASCL(タスクル)は、独自の微細加工技術と表面処理技術により、一度に均一なサイズのスフェロイドを大量に作成できるキットです。
本アプリケーションノートでは、本キットを応用した、がん細胞中に含まれる、がん幹細胞の割合を評価する方法を紹介します。

背景

がんの病理理解や、治療法確立には、がん幹細胞を正確に評価することが重要です。がん細胞に含まれる幹細胞の割合を評価するために、がん組織より単離した細胞が、どれくらいの割合でスフェアが形成するかを調べる方法があります。これは、幹細胞性を示す細胞が存在する場合のみスフェアが形成する特徴を利用しています。
これまでは、96ウェルプレートの1ウェルに対し1細胞が播種される条件で播種を行い、スフェアが形成されたウェルの数をカウントする方法などが用いられてきました。
ただし、この方法は、1アッセイで96ウェルプレートの複数ウェルを使用する必要があったため、1プレートで実施できる施行数が少なく、非常にコストや手間等がかかっていました。

TASCLは、独自のメッシュ構造を持つカルチャーインサートをプレートのウェルに装着することで、6ウェルプレートの個々のウェルにて600個~1000個のほぼ均一な細胞塊を一度に大量培養できるキットです。今回、TASCLの個々のメッシュに1細胞が入る条件で播種を行うことで、プレート上の1つのウェルに播種するだけで幹細胞性を評価する系を構築しました。
TASCLを用いたこの方法では、プレート上の1つのウェルに対し1回の播種で済むため、大幅に手間を削減することができました。また、96ウェルプレートでは、1プレートすべてを使ったとしても最大96ウェル分の細胞しか評価できなかったのに対し、本方法では、一度に600近い細胞を評価できました。このため、より正確かつ簡便に幹細胞性を評価できるメリットがあります。

TASCLとは?
TASCL
  • ほぼ均一な大きさの球状の細胞塊を一度に大量培養可能:
    TASCL600は1セットで約3600個、TASCL1000は1セットで約6000個を三次元培養することができます。
  • 細胞の状態を長く良好に保つことができる:
    TASCL底面が多孔質となっており、貫通孔があります。このため、ガスや培地が循環でき、細胞の状態を良好に保ちます。
  • 長期培養ができ、分化誘導も可能:
    ガスや培地が循環効率よく行われるため、1ヶ月以上の長期培養ができます。このため、分化誘導も可能です。
  • トータルコストを削減:
    小さく高密度のウェル構造で器材や培地・試薬の節約が可能です。

TASCLで培養した細胞塊のサイズ

TASCLで培養した細胞塊のサイズ

細胞培養時の断面図(イメージ)

細胞培養時の断面図(イメージ)

評価方法

使用した細胞 転移性脳腫瘍由来がん幹細胞
細胞播種条件 TASCL600の1マイクロウェルあたり①621個 ②207個 ③69個が播種されるように細胞懸濁液を希釈し、細胞を播種した。
培地 D-MEM/Ham’s F-12に、NaHCO3(49 mM)、グルコー ス(26 mM)、L-グルタミン(3 mM)、MACS NeuroBrew-21(5 mL)、上皮成長因子(EGF,20 ng/mL)、線維芽細胞増殖因子(bFGF,20 ng/mL)、およびペニシリン(100 U/mL)とストレプトマイシン(0.1 mg/mL)を添加したものを使用した。
培養条件 5% CO2 / 95%空気、37℃のインキュベーターで7日間、培養した。

結 果

621個細胞を播種した場合の画像

*621個細胞を播種した場合の画像

スフェアを形成したスフェア数と播種細胞数の割合は、それぞれ①2.7%(17/621)、②1.4%(3/207)、③1.4%(1/69)であった*。
*スフェアの形成する確率%=(スフェアを形成したウェル/播種細胞数)×100

今回、検討した細胞では、播種細胞数に関わらず、およそ1.9±1%程度で、がん幹細胞が含まれることが示唆される結果が得られた。

スフェアが形成されたウェル

お客様のコメント
TASCLを用いると、簡便にスフェア形成能を評価できました。
例えば2%の幹細胞を含む集団の場合、従来使用していた方法では、1ウェルに50個の細胞を播種し、スフェアの形成を観察したとしても、1個の細胞からスフェアができたのか、複数の細胞が集合したのか判別できませんでした。
しかし、TASCL600を用いた本手法では、1個の細胞からスフェアを形成することが確認できます。

参考情報

〈細胞培養に用いた試薬類〉
D-MEM/Ham’s F-12:富士フイルム和光純薬株式会社,048-29785
NaHCO3:Sigma-Aldrich, S8761
グルコース:Sigma-Aldrich, G8769
L-グルタミン:Sigma-Aldrich, G7513
MACS NeuroBrew-21:Miltenyi Biotec, 130-097-263
上皮成長因子(EGF):PeproTech, AF-100-15
線維芽細胞増殖因子(bFGF):PeproTech, 100-18B
ペニシリン/ストレプトマイシン:Sigma-Aldrich, P4333
超低接着表面ディッシュ:Corning, 3262

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