研究で使用できる「クリニカルシーケンス」技術特集

クリニカルシーケンス関連新製品が続々登場

クリニカルシーケンスは、次世代シーケンサー(NGS)を用いて、患者個々の疾患関連遺伝子情報を解析する医療検査方法です。
クリニカルシーケンスとしてNGSを医療現場で使用するためには、正確かつ効率的にゲノムライブラリーを作製する必要があります。
本記事では、クリニカルシーケンスに関連する技術が採用された製品をご紹介します。

こちらのページでは、クリニカルシーケンス対象製品のほか「ライブラリー作製技術ポイント」等もご紹介しています。

NEW! KAPA EvoPlus Kit

アップグレードされた断片化酵素ミックスにより、さまざまな課題を解決します。

特長
  • アーティファクト(人工的な変異)の発生を低減
  • EDTAなどインヒビターの影響による断片化サイズのばらつきを改善
  • フラグメンテーションとAテーリングを統合した簡便なステップ
  • 操作時間を短縮(おおよそ2時間)
  • サンプルインプットレンジは10 ng ~ 500 ng(PCRフリーライブラリーは 75 ng以上から可能)*
  • プレートフォーマットタイプを新しく追加、完全に自動化可能なワークフローをご提供します。

*全ゲノムシーケンス、高品質gDNA、ダブルサイズセレクションをしていない、フルレングスアダプターを使用する、などの条件を満たす必要があります。

ストランドスプリットアーティファクトリード(SSARs)の抑制

KAPA EvoPlus Kit、KAPA HyperPrep Kit、NEBNext® U ltra™ I I F S、QIAseq F Xで500 ngのヒトゲノムからライブラリーを調製し(ダブルサイズセレクションを実行)、SSARs(キメラリードの1種であり、部分的に連続しないゲノム配列で構成されるリード)の割合を調べたところ、NEBNext® Ultra™ II FS、QIAseq FXキットではSSARsが存在する割合が高くなっているのに対して、KAPA EvoPlusライブラリーに存在するSSARsの割合は、機械的に断片化されたKAPA HyperPrepライブラリーと同等であり、ゼロに近いことが確認されました(0.002%)。

キメラの抑制

KAPA EvoPlus Kit、KAPA HyperPrep Kit、NEBNext Ultra™ II FS、QIAseq FXで500 ngのヒトゲノムからライブラリーを調製し(ダブルサイズセレクションを実行)、キメラリードの割合を調べたところ、KAPA EvoPlusライブラリーに存在するキメラの割合はKAPA HyperPrepライブラリーと同等のレベルで低いことが示されました。

さまざまな投入量で再現性のある酵素的断片化が可能

ヒトゲノムDNA(10 ng、100 ng、500 ng)を37℃で断片化したところ、いずれの条件においてもモードインサートサイズが約300 bpのライブラリーが調製されることが示されました。この検証実験ではフルレングスアダプター(KAPA UDIアダプター)を用いたKAPA EvoPlusワークフローを実施し(サイズセレクションなし)、2サイクルの増幅を行ったものをLabChip GX Touch HTとHT DNA HiSens Reagent Kit(PerkinElmer)で泳動しました。

ゲノムDNA溶液のバッファーの種類に関わらず再現性のある酵素的断片化が可能

10 mM Tris-HClまたは10 mM Tris-HCl、1 mM EDTAに溶解したヒトゲノムDNA(500 ng)を37℃で断片化したところ、どちらの条件においてもモードインサートサイズが約300 bpのライブラリーが調製されることが示されました。この検証実験ではフルレングスアダプター(KAPA UDIアダプター)を用いたKAPA EvoPlusワークフローを実施し(サイズセレクションなし)、2サイクルの増幅を行ったものをLabChip GX Touch HTとHT DNA HiSens Reagent Kit(PerkinElmer)で泳動しました。

断片化とAテーリングを統合した「Frag Tail Step」を採用

KAPA EvoPlusキットは、ゲノムDNA断片化からAテーリング までを1つのステップに統合し、ワークフローを大幅に簡略化しました。(Frag Tail Step)
また、試薬はレディミックスで供給されますのでライブラリー調製の準備はよりシンプルになります。
しかも、Frag Tail Stepからアダプターライゲーションの間にクリーンナップがありませんので、磁気ビーズでの精製が省略できます。
プレートフォーマット製品を選択いただくと、各ウェルに試薬が分注された状態で供給されますので、ライブラリー調製を自動で行っていらっしゃる方にも適したキットです。

チューブフォーマット

Cat.No. 製品名 単位 価格
(税抜き)
09420037001 KAPA EvoPlus Kit※1 24反応 ¥118,000
09420045001 KAPA EvoPlus Kit (PCRフリー) 24反応 ¥112,000
09420053001 KAPA EvoPlus Kit※1 96反応 ¥398,000
09420304001 KAPA EvoPlus Kit (PCRフリー) 96反応 ¥380,000
09420339001 KAPA EvoPlus Kit※2 384反応 ¥1,528,000
09420371001 KAPA EvoPlus Kit (PCRフリー) 384反応 ¥1,468,000
09420410001 KAPA Library Amp Primer Mix 384反応 ¥36,000

※1 KAPA Library Amp Primer Mix(Cat.No. KK2623) 無償添付
※2 KAPA Library Amp Primer Mix(Cat.No. 09420410001) 無償添付
※価格は2022年4月現在のものです。

プレートフォーマット

Cat.No. 製品名 単位 価格
(税抜き)
09420428001 KAPA EvoPlus Kit( プレートフォーマット)※3 96反応 ¥458,000
09420436001 KAPA EvoPlus Kit (プレートフォーマット/PCRフリー) 96反応 ¥437,000
09420479001 KAPA Library Amp Primer Mix (プレートフォーマット) 96反応 ¥12,000

※3 KAPA Library Amp Primer Mix(Cat.No. 09420479001) 無償添付
※価格は2022年4月現在のものです。

NEW! KAPA Universal UMI Adapter

Roche 固有の分子バーコード(Unique Molecular Indexes)を含むイルミナプラットフォーム用アダプター

本製品とKAPA ユニークデュアルインデックス(UDI)プライマーミックスを共に使⽤することで、分⼦バーコード付きのライブラリーを調製する事ができます。
各サンプルに付加した分⼦バーコードを解析することで、異なるリードを適切に判別することが可能となり、低頻度のバリアント検出の精度をさらに⾼めることができます。

低頻度変異の解析に必要な低エラー率を実現

独自の二本鎖バーコーディングを採用

⼀本鎖からなる分⼦バーコードと⽐較して、⾮常に低いエラー率を実現することができます。また、本製品による分子バーコード配列はインサート配列のすぐ隣に導⼊されるので、PCRによるキメラの発⽣頻度が低く、マッピングされないリードの割合を最小限にします。このため、効率の良いシーケンスを実現します。

慎重に設計された16種の配列既知の分子タグ

本製品は、ランダム配列の分子バーコードではなく慎重に選択した16種の既知配列の分⼦バーコードを使⽤しています。このため、バーコード上に⽣じたエラーは解析の際に除外できます。また、フラグメントの両側に付加する⽅式を採⽤しているため、16×16=256種類の分子が識別できます。解析時には、それぞれのフラグメントのスタート位置とエンド位置も考慮してユニーク分⼦を判別しますので、⼗分な感度での解析が可能です。

データ解析時にin silicoでオリジナルの⼆本鎖の配列を作成(再現)します。
(Integrated digital error suppression for ultrasensitive detection of circulating tumor DNA Nat Biotechnol. 2016 34:547-555.より改変)

Cat.No. 製品名 単位 価格
(税抜き)
09329862001 KAPA Universal UMI Adapter, 960 µL 96反応 ¥72,000
09134336001 KAPA UDI Primer Mixes, 1-96 96反応 ¥65,000
09329838001 KAPA UDI Primer Mixes, 97-192 96反応 ¥65,000
09329846001 KAPA UDI Primer Mixes, 193-288 96反応 ¥65,000
09329854001 KAPA UDI Primer Mixes, 289-384 96反応 ¥65,000

※価格は2022年4月現在のものです。

KAPA Universal Adapter & UDI Primer Mixes

インデックスホッピング対応 PCR ベースのデュアルインデックスアダプターキット

特長
  • KAPA独自のユニークなインデックス配列によりインデックス・ミスアサインメントの抑制に効果的です。
  • 下記のイルミナプラットフォームにご使用いただけます。
    パターンドフローセル:HiSeq™ 3000、HiSeq™ 4000、HiSeq™ X、NovaSeq™
    ノンパターンドフローセル:MiSeq™、NextSeq™、HiSeq™ 2000、HiSeq™ 2500
  • NGSでのQCバリデーション済み
  • イルミナプラットフォームでのインデックス設定用ファイルがございます。
  • 推奨ライブラリー調製キット
    DNA用:KAPA HyperPrep KitKAPA HyperPlus Kit
    RNA用:KAPA RNA HyperPrep Kit

KAPA ユニバーサルアダプター

  • Illuminaプラットフォーム上の次世代シーケンシング(NGS)用の短いアダプターです。
  • A-tailingステップの後、T-overhangsを付加し、ライブラリーフラグメントにライゲーションします。
  • サンプルバーコードは、ターゲットエンリッチメントに先立って、ライブラリー増幅ステップで組み込まれます。

KAPA ユニークデュアルインデックス(UDI)プライマーミックス

  • 最大384種類のインデックスに対応
  • KAPA UDI Primer Mixは、フォワードプライマーとリバースプライマーを事前に混合した組み合わせです。プライマーには、イルミナシーケンサーのインデックスミスアライメント(「インデックスホッピング」)を軽減するように設計された個別の8ヌクレオチドインデックスが含まれています。
  • KAPA ユニバーサルアダプターと組み合わせて使用し、次世代シーケンシング(NGS)用に個々のDNAサンプルから一意にインデックスが付加されたライブラリーを生成します。
  • 固有のインデックスを付加する事により、ターゲットキャプチャまたはクラスター生成の前にライブラリーをプールして、マルチプレックスシーケンスに適したライブラリー作製が可能となります。(また、KAPA HyperKit シリーズにも使用する事が可能です。)
Cat.No. 製品名 単位 価格
(税抜き)
09063781001 KAPA Universal Adapter, 15 µM, 960 µL 960 µL ¥11,000
09134336001 KAPA UDI Primer Mixes, 1-96 96反応 ¥65,000
09329838001 KAPA UDI Primer Mixes, 97-192 96反応 ¥65,000
09329846001 KAPA UDI Primer Mixes, 193-288 96反応 ¥65,000
09329854001 KAPA UDI Primer Mixes, 289-384 96反応 ¥65,000

※価格は2022年4月現在のものです。

NEW! KAPA HyperCap Oncology panel

がんゲノムプロファイリングなどに用いるKAPA HyperCapture用Oncologyパネル

腫瘍の体細胞遺伝子研究で使用される13の遺伝子などをターゲットにした総サイズ214 kb の領域をカバーするハイブリダイゼーションキャプチャー用パネルです。

パネルデザインと用途

  • 腫瘍の体細胞遺伝子検査で用いられる13の遺伝子(ATM、BRCA1、BRCA2、BRIP1、CHEK2、EGFR、ERBB2、KRAS、MET、MYCN、RAD51C、RAD51D、
    TP53)をカバー
  • 67個の関連遺伝子に存在する変異ホットスポットもカバー
  • 様々な用途で使用可能:体細胞遺伝子変異研究のためのカタログパネルとして。カスタムパネルを使う前のパフォーマンス評価に。プロセス評価用パネルとして

低品質なFFPETサンプルからも精度の高いシーケンスが可能

  • FFPETサンプル由来のDNAからの専用のプロトコル(K APA HyperCapFFPET DNA ワークフロー)が利用可能
  • KAPA HyperCap FFPET DNAワークフローでは、分⼦バーコードKAPA Universal UMI(Unique Molecular Indexes)Adapterとライブラリー作製キットKAPA HyperPlus Kitを使用し、少量・低品質のFFPET DNAサンプルからでも精度の高いシーケンスを実現
Cat.No. 製品名 単位 価格
(税抜き)
09462384001 KAPA HyperCap Oncology panel 12 rxn 12反応 ¥180,000
09462457001 KAPA HyperCap Oncology panel 24 rxn 24反応 ¥300,000
09462465001 KAPA HyperCap Oncology panel 48 rxn 48反応 ¥530,000

※価格は2022年4月現在のものです。

NEW! KAPA HyperCap Heredity panel

遺伝性疾患プロファイリングなどに使用するKAPA HyperCapture用Heredityパネル

遺伝性疾患の研究に強く関連する3,332の遺伝子をカバーする10 Mbのハイブリダイゼーションキャプチャー用パネルです。
本製品を用いることで、Roche技術者によって厳選されたターゲットを、均一的かつ低い重複率で、効果的にシーケンスすることができます。

厳選されたターゲット(パネルデザイン)

  • 遺伝性疾患や遺伝性腫瘍に関わる3,332遺伝子に加え、ClinVarにpathogenic またはlikely pathogenicで登録されている遺伝子バリアントをカバー
  • シーケンス効率を上げる10 Mb以下のコンパクトデザイン
図1. 各主要ゲノムデータベースのKAPA HyperCap Heredity Panelによるカバー率

100 ngのgDNAを初発DNAとしてKAPA HyperCap Workflow v3でKAPA HyperCap
Heredity Panelによるターゲットシーケンスを実施した(96レプリケート、サンプル:NA12878)。
ライブラリー調製にはK APA HyperPrep Kitを使用し、12サンプルをプレプールして8回のハイブリダイゼーションを行った。NovaSeq™ 6000システムでシーケンスを行い、解析前に10 MのHQフィルタークラスターにダウンサンプリングした。ターゲット3,332遺伝子のうち、ACMG73、ENSEMBL、RefSeqのそれぞれに登録されている遺伝子領域の99%以上、ClinVar登録遺伝子領域の85%以上が、30 x以上のカバレッジでシーケンスされたことが示された。

Cat.No. 製品名 単位 価格
(税抜き)
09462473001 KAPA HyperCap Heredity panel 12 rxn 12反応 ¥290,000
09462481001 KAPA HyperCap Heredity panel 24 rxn 24反応 ¥520,000
09462490001 KAPA HyperCap Heredity panel 48 rxn 48反応 ¥900,000

※価格は2022年4月現在のものです。

NEW! KAPA HyperCap SARS-CoV-2 panel

COVID-19シーケンスに用いるKAPA HyperCapture用SARS-CoV-2パネル

特長
  • SARS-CoV-2リファレンスゲノム MN908947.3に対しデザインされたハイブリダイゼーションキャプチャー用プローブ
  • サイズ120 bpのビオチン化オリゴヌクレオチドで構成されています。
  • ターゲットサイズ~30 kbで、MN908947.3を100%カバーします。
  • その他GenBankに登録されている183種類についても、99.7%以上の領域をカバーします。
  • KAPAライブラリー作製キットと併せ使用します(『KAPA RNA HyperCap Workflow v1.0』に準拠)。
  • マルチプレックスキャプチャー対応(最大16 プレックスまで実績あり)
  • 内部コントロールとしてMS2 RNAを Spike-inした際に使用できるMS2 RNAターゲッティングプローブも含まれています。

わずか1000コピーで、SARS-CoV-2ゲノムの97%以上を1X coverageでカバー

ヒトRNA20 ngまたは100 ngに対し、図に示されたコピー数のウイルスを含むサンプルを使
用し、KAPA RNAHyperPrepおよびKAPA SARS-CoV-2 Target EnrichmentPanelでライブラリーを作製した結果(n=3、0.5 millon cluster, 2 x 75 bp)。
1,000コピー以上あれば、ほとんどすべてのゲノム領域をカバーできた。また、バックグラウンド(ヒトRNA)の影響は小さいことが示された。

均一なゲノムカバレッジ

KAPA SARS-CoV-2TE結果(緑色)を、エンリッチメントにPCRを用いるARTIC v3アンプリコンシーケンス法(New England Biolabs,灰色)と比較した結果。
KAPA SARS-CoV-2 TEでは、 全体的に均一なカバレッジをもたらした一方で、ARTICライブラリーのスパイク遺伝子では、ほぼ読み取りができない部分(黒枠)が観察された。

Cat.No. 製品名 単位 価格
(税抜き)
09436499001 KAPA HyperCap SARS-CoV-2 panel 12反応 ¥170,000
09436502001 KAPA HyperCap SARS-CoV-2 panel 24反応 ¥240,000
09436529001 KAPA HyperCap SARS-CoV-2 panel 48反応 ¥380,000

※価格は2022年4月現在のものです。

KAPA HyperExome kit

ヒト全エクソームエンリッチメント用キャプチャープローブ

特長
  • 重要な領域は取りこぼさない効率的なデザイン
  • データベースはCCDS、RefSeq、Ensembl、GENCODEを参照
  • キャプチャーの均一性が向上しました。
  • デュプリケーションレートが改善しました。
  • ターゲットカバレッジが向上しました。
  • 製造されたプローブは全てNGSでQCを行っています。
  • サンプルトラッキングSNPs(387)を含んでいます。
    混同や相互汚染などがあった場合にチェックが可能で、結果の信頼性が向上します。

KAPA HyperExomeは最高のシーケンス効率を示します

ターゲットに対する均一性と特異性の最適なバランスを実現

  • 高い均一性:シーケンススループットの最適な利用
  • 高い特異性:コンテンツの幅が広がり、より深いレベルでのカバレッジの向上
Cat.No. 製品名 単位 価格
(税抜き)
09062548001 KAPA HyperExome 12反応 ¥360,000
09062556001 KAPA HyperExome 24反応 ¥700,000
09062564001 KAPA HyperExome 48反応 ¥1,200,000

※価格は2022年4月現在のものです。

KAPA HyperExome kit(デザイン済みヒト全エクソームエンリッチメントキット)| 日...
詳細を見る ▸

こちらのページでは、クリニカルシーケンス対象製品のほかライブラリー作製技術ポイント等もご紹介しています。

質問してみる!

「?」と思ったらすぐ解決。
どんな小さなことでもお気軽に。
ご意見・ご感想もお待ちしています。

WEB会員

記事の更新情報を受け取りたい方はコチラ

WEB会員 登録フォームへ

GeneF@N とは?