高校生を対象に「理科特別授業」が開催されました!
まだ暑さが残る2024年9月7日(土)、近畿大学工学部・広島キャンパスにて、同大学附属広島高等学校・中学校東広島校の高校1年生を対象とした「理科特別授業」が開催されました。今年8月に開催された赤穂市中学校夏休み理科おもしろ実験教室のご縁から今回も弊社からは当日使用するゲル撮影装置、試薬をサポートさせていただきました。当日の様子を写真とともにお伝えいたします。
Indexはこちら:理科特別授業について、実験テーマ
高大連携「理科特別授業」について
近畿大学工学部の取り組み
近畿大学工学部では、隣接する近畿大学附属広島高等学校・中学校東広島校との高大連携を強化しており、高校の文理コース選択前の高校1年生全員を対象に、工学(理科)の興味・関心を訴求することを目的とした理科実験実習を実施しています。
今回の理科特別授業では、
①「めざせ!DNAマスター2024」
②「機器分析(HPLC)を利用した鎮痛成分アセトアミノフェンの定量」
③「身近な蛍光、大学での蛍光」
④「湿布薬を作ろう~サリチル酸メチルの合成~」
の4つの中から興味のあるテーマを選択する形で行われました。
イベント概要
今回弊社がサポートした「めざせ!DNAマスター2024」のテーマは合計約60名の高校生が受講しました。
- 開催日時:2024年9月7日(土)第1部 9:15~10:45 第2部 11:15~12:45
- 会場:近畿大学工学部・広島キャンパス D 館実験室
- 対象者:近畿大学附属広島高等学校・中学校東広島校 高校1年生約60名
- 講師:近畿大学 工学部 化学生命工学科 櫻井 敏彦 博士(工学)
実験テーマ「めざせ!DNAマスター 2024」~アガロース電気泳動編~

近畿大学工学部の白石先生より「ようこそ。近畿大学工学部へ!」と力強い挨拶からスタート。今回の講師である櫻井先生と実験のお手伝いをしてくれる教職課程の学生さん(TA:Teaching Assistant)4名の紹介をされました。「体験学習は何よりも素晴らしいので、とにかく90分間を楽しく、遊んでください。そして先生やTAの方々と遠慮せず触れ合ってください。」と生徒たちの緊張をほぐすように声掛けされました。


そして、講師である櫻井先生へとバトンタッチ。まずは座学からスタート。今回の実験テーマに深く関わる「DNA」について勉強します。「DNAについて習ったことがありますか?」先生からの問いかけに数人の生徒が手を挙げました。「DNAとは何か?」から始まり、DNAについての詳しい説明と、DNAを調べる意味についてと講義は続きます。また今回の実験ではDNAの長さを調べるため、実験手法の一つであるアガロースゲル電気泳動についても詳しく学びます。かなり踏み込んだ内容でしたが、”DNAマスター”を目指すためには必要なことですね。講義の後は、いよいよ実験がスタート!



「めざせ!DNAマスター 2024」実験項目
今回の実験では、以下4つのパートに分けて実施しました。
①マイクロピペットの使用練習


先生からマイクロピペットの操作について学びます。数名の生徒はこれまでにマイクロピペットを使ったことがあるようでしたが、ほとんどの生徒は使った経験がないため、マイクロピペットの構造から詳しく解説されていました。



まずはマイクロピペットにチップを付けるところから始まり、その後液滴を作る練習をします。1 µLと10 µLの液滴をパラフィルム上に作ってみます。液滴を見れば、マイクロリットルの量が一目瞭然。とても少ない量ですね!生徒たちは、先生やTAさんの指導で上手く液滴を作っていきます。「うまくできたね!」と声をかけると、にっこり笑顔で返してくれました。
この液滴が作れるようになれば、後の電気泳動のサンプル調製とゲルへのアプライは完璧です!次はいよいよ野菜ジュースからのDNA抽出です!
②野菜ジュースからのDNAを抽出


市販の野菜ジュースからDNAを抽出してみます。洗剤を加えて薬さじを使って混ぜ、その後に冷えたアルコールをビーカーの壁につたわせながら加えていきます。5~10分静置して観察!しばらくすると、野菜ジュースの層とエタノールの層の界面から白いもやもやっとしたものが見えてきました。
白いもやもやの正体は、DNAが析出したもの!浮いてきたDNAを生徒たちはスパーテルを使って、興味深く触っていました。「これがDNAなんだ~」や「DNAを飲んでるってことだね!」「私たちのDNAと一緒になったらどうなるの?」などあちらこちらから感想が聞こえてきました。
③アガロースゲル電気泳動
サンプル調製


サンプルアプライ


そしてアガロースゲルにサンプルをアプライします!まずは先生やTAさんたちがお手本を見せます。生徒たちは真剣に先生の手元をじっと見つめていました。慣れた手つきでアプライしていくのは職人芸のよう!


続いて生徒たちがサンプルアプライにチャレンジ!先生やTAさんたちのアドバイスをもらいながら上手くアプライすることができました。
④泳動バンドの観察
ここから電気泳動したサンプルを観察するために、ゲル撮影装置のFAS-Digi Compactの登場です!先生から、従来のUVとエチジウムブロマイドを使った観察ではなく、安心・安全にDNAを観察できる弊社の機器と試薬について説明していただきました。
弊社のゲル撮影装置FASシリーズは、取扱いに注意が必要なUVではなく、人体とサンプルにやさしいBlue/Green LEDを搭載しているため、分子生物学実験に慣れていない方でも安心して近くまで寄って観察することができます。(※FASシリーズについてはこちら)また安全性の高い核酸染色試薬であるミドリグリーンシリーズを用いれば、変異原性の高いエチジウムブロマイドを使う必要はありません。


先生の解説を聞きながら、FAS-Digi Compactの上部にあるウィンドウから電気泳動したバンドを興味深く真剣に観察していました。「あーすごい!」「見える!」「あるある!」と生徒から声が聞こえてきます。
先生から、「分子量マーカーと比較すると、今回泳動したDNAの長さを計算できるので、興味のある方は原理を調べてみてください。」と次へのステップのお土産がありました!
先生から締めのご挨拶
「本日の実験は楽しくできましたか?」と生徒たちの顔を見ながら声をかけていました。「私は、研究は一旦やりはじめるとゲームの何倍も楽しいと感じています。将来、皆さんと一緒に研究できたらとてもうれしいです。」と奥深い研究の世界へ誘う言葉もありました!
最後には大きな拍手と生徒たちの笑顔で締めくくられた理科特別授業でした。
参加した生徒からの感想


日本ジェネティクスより
今回弊社の実験機器・試薬を提供および協力させていただけたことを本当にうれしく思います。今回の参加者は高校生ということで、座学も実験操作もかなり深い内容になっていたと感じました。前回の赤穂市中学校のイベントに引き続き、本イベントにお邪魔させて頂きまして、誠にありがとうございました。 近畿大学工学部の白石先生、櫻井先生、小川先生、教職課程の学生の皆さん、そして取材を快諾して下さった近畿大学工学部広報の小笠原様、近畿大学附属広島高等学校・中学校東広島校の関係者の皆様には心より感謝申し上げます。
今回のイベントで使用した機材・試薬
本イベントで使用した機器・試薬をご紹介します。デモ・サンプルのご依頼も承りますので、お気軽に各製品のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
ゲル撮影装置
