ノボジーン株式会社 ギガ読みご利用研究室インタビュー その1

「ライブラリー調製は自分でできる。シーケンスだけ解析してほしい・・・。」そんなニーズにお応えして誕生した、シーケンス解析の“読むだけ”サービス「ギガ読み」。
世界的ゲノムサービスプロバイダー・ノボジーン株式会社が提供しています。

実はこの「ギガ読み」、とあるユーザー様の声がきっかけで誕生したサービスなのですが、今回はそのご本人にインタビューをさせていただきました。当時のお困りごとがどのように解決されたのか、シーケンス解析を行う研究者の方なら”あるある!”と思わず共感してしまうエピソードがあるかもしれません。どうぞお楽しみください。

お話聞かせてください!研究室インタビュー

快くインタビューに応じてくださったのは
東京大学 大気海洋研究所 海洋生命システム研究系 海洋生命科学部門 生理学分野
神田真司先生です。

では、早速お話を伺っていきましょう。

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■まずはじめに、神田先生はどのような研究をされていらっしゃるのか教えていただけますでしょうか。

神田先生

私は魚が季節や環境に応じて適切な体内の調節や行動を行う仕組みを研究しています。季節に応じて繁殖したり、環境によって体色を変えたり、様々な応答を示しますが、これらの調節の多くは脳内の視床下部ニューロンによる脳下垂体ホルモンの放出調節によってなされます。こういった様々な現象を調節するメカニズムについて、生理学的、形態学的、遺伝学的手法を用いて解明を目指しています。
近年では、解析の標的となる分子を模索するために次世代シーケンサーを用いた解析が多く用いられていますが、我々魚の研究でも例外ではなく、異なる条件下での脳での発現遺伝子の比較、GFPラベルした特定の細胞のみを回収して発現遺伝子を洗い出すなど、随所で力を発揮してくれています。

■ギガ読みサービス誕生のきっかけとなった、当時抱えられていた課題とはどのようなものだったのか、お聞かせいただけますでしょうか。

神田先生

次世代シーケンサー(NGS)のシステムは、1つの機関で維持していくには試薬コスト、機器の維持費等、様々な面から考えると、必ずしも効率的ではありません。
費用、手間、失敗のリスクも考慮すれば、外注が多くの方にとって一番の選択肢になると思います(原理を学ぶ、という点において経験はとても重要です)。
ただ、外注においても、一度のNGSのRunで得られるデータ量は非常に大きく、そのデータ量に見合うだけのサンプル数を揃えるために、ラボ内で複数人のサンプルを集めたりする必要がありました。しかし、個人によってシーケンスしたいタイミングはさまざまです。異なるバーコードを用いてサンプル同士を区別できる以上、相乗りして早くデータがほしい。研究者の方にはそういったニーズがあります。世の中には少ないサンプル数でもお願いできるNGS受託サービスも多くありますが、専らライブラリー調製込みの受託サービスです。”ただNGSを少量したい”というサービスは私の知る限り存在しなかったのです。

最初から全ての工程を外注したくない理由は、貴重なサンプルはライブラリー調製を自分で行いたいからです。増幅前のサンプルを輸送したくない、全ての細かな工程を自分で把握しておきたいと思います。また、メダカの脳下垂体(シャーペンの芯の先にも満たない大きさ)など、 非常にわずかなRNAしか採れないものは一般の受託解析での受注条件から外れてしまいます。それから、ライブラリー増幅のサイクル数の条件検討等もできれば自前でやっておきたいところです。増幅して得られるライブラリーの収量と増幅バイアスはトレードオフの関係性があるといわれているため、それぞれのサンプルについてどこまで考慮したか、ということをデータ解析の段階でも考えながらやれるのに越したことはありません。

もう一つの方法として、Mi-Seqなどのデータ量の少ない機器でロースループットに解析するという方法があるのですが、NGSは、出力データ量が大きいほど1baseあたりの単価は安くなる傾向があり、この方法ではランニングコストが高額になってしまいます。そこで、ハイスループットのNGSの相乗りが出来ないかな?というのをかねてから考えてきました。そんな話を御社のご担当者にさせていただきました。

■まさに、現場ならではのご要望をお話しいただいたのですね。おかげさまでギガ読みサービスは多くの方のニーズにマッチし、現在たくさんのご依頼をいただいています。
当時、まだ見ぬ新サービスに期待されていたことはどんなことでしょうか?

神田先生

相乗りなので、自分がどれだけリード数(データ量)が欲しいかというのをある程度事前に決められるサービスがあったら良いと思いました。例えば何人かで相乗りして、全部で何百メガリードだけれど、そのうちのどれぐらいがあなたに割り当てられるかは分かりません、となると、見積りが分からず、発注段階で不安になります。
それをリード数単位でいくらです、というのを明朗会計してくれたらすごくいいな、と思っていましたので、そこは忠実に実現していただけたと思います。

■サービス化されたギガ読みサービスを実際にご利用いただいて、いかがでしたでしょうか?

神田先生

期待通り、見積り通りのリード数をきちんと納品してくださったところが良かったです。
もう一つ良かった点は、サンプルのクオリティチェック(QC)をノボジーン株式会社でやっていただいてダメだったらQC代だけで取り下げることができる。
つまり最低コストがかなり低いところに設定されているところです。
それから、複数サンプルをプールして提出しているわけですが 、それぞれのバーコードごとにデータを分けて出してくれて、且つQC料金は1回分というのがすごくありがたいです。データ量当たりの料金設定もレーンシーケンスと比較してみても良心的に感じます。

費用的にほとんど無駄がないということですね。喜んでいただけてうれしいです。
では「こうしたらもっとよくなるのでは」という点はありますか?

神田先生

QCまでの時間がもっと速いと助かります。今、だいたい3週間くらいかかりますよね。
Expressみたいなサービスは作れませんか?
あと、自分のサンプルが今どのような状況にあるのか、宅配便の追跡サービスみたいなイメージでオンラインで状況確認ができると便利ですし、楽しいですね。Rejectedとか出ると心に響きますが・・・。

■なるほど!貴重なご意見ありがとうございます!ノボジーン株式会社にも交渉して検討してみたいと思います。
ちなみに、Expressサービスがあったとしたらどのくらいの追加料金だったら利用されますか?

神田先生

1週間短くなるのであれば、プラス1万円か2万円。1万円だったら結構利用するかもしれないです。2万円でも、早く結果が欲しい時には申し込む気がします。

■参考にさせていただきます。
その他、夢物語でもいいのでこういうサービスがあったらというご意見はありますでしょうか?やはり、先ほどおっしゃっていたスピードの部分はありますよね。

神田先生

そうですね。翌日返ってくるとか(笑)。もしその感覚で依頼できるようになってきたらまた全然使い方が変わってくるのかなという気がします。
1週間で返ってきたら結構びっくりしますね。
あとは、受託解析のサービスは、RNAサンプルを渡し、一からライブラリー調製をやっていただく「フル受託」が多いのですが、そういったサービスは飽和しているような気がするのです。

■面倒なここの作業だけ、とか部分的な受託のニーズがあるかもしれないということですね?

神田先生

はい。例えば最後のシーケンス用のコードをつけてもらうところ、サンプルごとにアダプター、バーコードをつけてくれるサービスというのは良いかもしれないです。
アダプターのバーコードは初回購入時それなりの値段するので、それを買わないライトユーザーの場合は、アダプターつけますよ、というのはアリかもしれないですね。

■逆にいうとそういったサービスはあまり聞いたことがないということですか?

神田先生

そうですね。聞いたことがないだけで、あるのかもしれないですけど。

■なるほど、今後の商品開発の参考にさせていただきます!

NGC担当者より

NGC担当者

神田先生とは、先生が東京大学の理学部にご在籍されていらっしゃった頃からのお付き合いです。先生は日頃から、実験に使用する様々な製品の良し悪しをはっきりと仰ってくださいます。それが私どもにとって大変な力になっております。新たなサービスのアイディアをくださった先生に、心から感謝しております。
これからも引き続きご意見を頂戴できれば幸甚です。

この記事を読んでくださった皆様へ
最後までお読みいただきありがとうございます。
ギガ読みサービスについてご興味がございましたら、お気軽に弊社までご連絡ください。
また、研究者の皆様からこのような貴重なご意見をいただけること、大変ありがたく幸せなことだと思っております。ご意見やアイディア等をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうぞ日本ジェネティクスまでお気軽にお声がけください。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

 

東京大学 大気海洋研究所 海洋生命システム研究系 海洋生命科学部門 生理学分野
神田真司 先生
この度は貴重なお話ありがとうございました。

ギガ読みサービスのご紹介

ギガ読みサービスの詳細については製品ページをご覧ください。

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2020年2月2日

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