第3弾 マイクロパターンスライドの応用事例
細胞の接着形状や分布パターンをコントロールできるibidi社製マイクロパターンスライドについて、3回に渡り徹底解剖した本シリーズ。
最終回となる今回は、マイクロパターニング技術を活用した具体的な実験系をご紹介します。
第1弾 マイクロパターンスライドの有用性
第2弾 マイクロパターンスライドの活用方法
第3弾 マイクロパターンスライドの応用事例 ← 今回はこちら
応用事例紹介
事例1:定量評価への応用
シングルセルアレイすることを“定量評価”に使用した事例です。ここではシングルセルアレイ用マイクロパターンスライド(µ-Slide VI 0.4)にがん細胞を並べ、T細胞にがん細胞を攻撃させています。
※画像説明
RCC-26(ヒト腎癌)細胞をシングルセルアレイ用マイクロパターンスライド(µ-Slide VI 0.4)に入れて、
ibidi ステージトップインキュベーターを用いて24時間ライブセルイメージングを実施。位相差顕微鏡、対物レンズ4倍。
T細胞に攻撃されたがん細胞は剥離していくので、時間と共に変化していくパターン上の細胞を数えれば、T細胞の活性が定量評価に用いることができます。
実際、下図に示したレンジでT細胞の“量”を区別して捉えることができました。
詳細はリファレンスノート「マイクロパターンスライドを使用したT細胞によるがん細胞攻撃の定量化」をご参照ください。
このように、マイクロパターニングは、細胞アレイの規則性を利用して、定量性のある情報取得に活用することができます。
事例2:特定細胞のトレース
次にご紹介するのは、マイクロパターンスライドを細胞位置で固定し、一細胞や一スフェロイドのトレースに活用した事例です。
下図は、マイクロパターンスライド(µ-Slide VI 0.4)をibidiポンプに接続し、14日間灌流培養したものを静置培養と比較しています。静置培養では、細胞死が起こり、スフェロイドが崩壊しているのに対し、灌流培養では、その構造をキープできていることがわかります。これは、アレイしたスフェロイドに対する培地の供給がスムーズになった結果と考えられます。
さらに興味深いことに、灌流培養では、マイクロパターン上に形成されるスフェロイドが、より立体的かつ丸く生育できる効果が得られました。
このように、灌流下でスフェロイドが流されずに、一スフェロイドの挙動をトレースできたのは、細胞ポジションを一点に固定できるマイクロパターンならではの効果と言えます。
細胞パターニング技術は、普通の細胞培養ではできない興味深い実験系構築に役立てることができます。
ご興味を頂けた方は、下記リンクのお問合せフォームからお問合せください。
シングルセルアレイ用マイクロパターンスライド
マルチセルアレイ用マイクロパターンスライド
この記事で紹介した製品
より詳しい資料・取扱説明書などは下記リンクより製品詳細ページをご覧ください。
最後に・・・
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