【製品性能評価】Midori Green XtraのDNA後染め染色法使用時における製品評価

日本ジェネティクスのテクニカルノートとは?

発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
また、当データに関するご質問はお気軽にページ下部のフォームよりお問い合わせください。


テクニカルノート2019<01>
製品名:FastGene™ Midori Green Xtra(Cat.No.NE-MG10)

目的と評価内容

Midori Green Xtra(MGX)はDNA先染め染色法に優れた染色試薬である。
本資料では、DNA後染め染色法における染色試薬としての性能を評価するために、以下の2点について他のDNA染色試薬との比較試験を行った。

● 染色時間依存的なDNA染色度合い(→結果1)
● 励起波長別DNAバンドの見え方の違い(→結果2)

Midori Green  Xtra

DNA先染め染色法に理想的な性質を備えたDNA染色試薬
➡ 先染め時にバンドの歪みが発生いたしません。泳動するDNA量依存的な移動度のズレも見られません。

Blue/Green LED、Blue LED照明下の観察に最適な試薬
➡ 低バックグラウンド、高S/N比のバンド像を実現

DNA先染め染色法を用いた製品評価の詳細は、下記のテクニカルノートを
ご覧ください。
https://www.n-genetics.com/products/1072/1024/16817.pdf

実験手順

① 2% アガロースゲル(12.5 mL/ ミニゲル1 枚)を作成した。
 ● 試薬:アガロース(FastGene™, NE-AG02)
 ● 溶媒:1×TAE バッファー
② DNA の希釈系列(0.100、0.050、0.025、0.013、0.006 μg/μL )を作成し、
  2% アガロースゲルに各10 μL アプライした。
 ● DNA サンプル:100bp DNA ladder( 0.100 μg/μL, FastGene™, NE-MWD100)
 ● 希釈溶媒:10×Loading Dye( TAKARA, 9157) と1×TAE バッファーを1:9 の割合で
  混合したもの。
③ 電気泳動は各染色試薬の評価用にそれぞれ独立して行った。
 ● 電気泳動装置:SafeBlue Electrophoresis system(Major Science, MBE-150Plus)
 ● 電気泳動条件:100 V、35 min
④ 以下の条件でDNA 後染め染色を行った。

染色試薬 本実験使用量 in100 mL TAE メーカー推奨量
Midori Green Xtra(MGX),
FastGene™, NE-MG10
10 μL 10 μL
Midori Green Advance(MGA),
FastGene™, NE-MG04
10 μL 10-25 μL
C社 染色試薬GG 30 μL 30 μL
C社 染色試薬GR 30 μL 30 μL

⑤ 泳動後、以下の条件でゲルの画像を取得した。
 ● 撮影装置:FAS-Digi(Pentax MX-1)
 ● 撮影条件:Illuminator
       i)   Blue/Green LED 500 nm
       ii)  Blue LED 470 nm
       iii) U.V. 302 nm
       Camera:Pentax MX-1
       ISO 100、autofocus、f=4.0

 

結果1:DNA染色時間変化

DNA染色時間5, 15, 30, 60 minにおけるDNAバンドの見え方を比較した。


DNA染色時間変化

・MGX
・MGA
・C社 染色試薬G
・C社 染色試薬R
画像取得後、再染色を繰り返す

A)Midori Green Xtra(MGX)

染色時間
  5 min 15 min 30 min 60 min
Blue/Green LED
500 nm
Exposure time 1 sec
Blue LED
470 nm
Exposure time 2 sec
U.V.
302 nm
Exposure time 3 sec

結果
〈結果A1〉 染色時間5 min から15 min にかけて、バンド輝度の上昇がみられた。
〈結果A2〉 染色時間15 min から30 min にかけて、わずかにバンド輝度が上昇していた。
〈結果A3〉 染色時間30 min から60 min にかけては、バンド輝度の変化がほぼみられなかった。
〈結果A4〉 染色時間5 min から60 min の間、一貫してバックグラウンドの顕著な上昇は見られなかった。

結論
• DNA後染め染色をMGX濃度10 μL / 100 mL(メーカー推奨条件)にて行った場合、
 染色時間30分までにMGXによるDNA染色は完了する〈結果 A1,A2,A3〉。
• MGXはDNAに対する特異性が高く、コントラストの高い画像が得られる〈結果 A4〉。

B)Midori Green Advance(MGA)
染色時間
  5 min 15 min 30 min 60 min
Blue/Green LED
500 nm
Exposure time 1 sec
Blue LED
470 nm
Exposure time 2 sec
U.V.
302 nm
Exposure time 3 sec

結果
〈結果B1〉 染色時間5 min から15 min にかけて、バンド輝度の上昇がみられた。
〈結果B2〉 染色時間15 min から30 min にかけて、わずかにバンド輝度が上昇していた。
〈結果B3〉 染色時間30 min から60 min にかけて、バンド輝度の変化がほぼみられなかった。
〈結果B4〉 バックグラウンドの影響が強く、染色時間が長い程、その傾向は強くなる。

結論
• DNA後染め染色をMGA濃度10 μL / 100 mL(メーカー推奨条件)にて行った場合、染色時間30分までにMGAによるDNA染色は完了する〈結果 B1,B2,B3〉。
• MGAは、画像取得の条件によってはバックグラウンドの影響が強く現れるリスクがある
〈結果 B4〉。

 

C) 他社製品比較を踏まえて
他社染色試薬GG、GR でも、染色時間30 minまでにDNAとの結合はほぼ完了した(本ページ内「補足情報:他社核酸染色試薬のDNA染色時間変化」参照)。
したがって、MGX、MGAの染色完了時間は、GG、GRとほぼ変わりがなかった。

結論
MGXのDNA後染め染色推奨量は10 μL/100 mLであり、他社核酸染色試薬(推奨量30 μL/100 mL)と比較して少ない。
しかし、いずれの核酸染色試薬においても染色に要する時間に顕著な違いはなく、染色時間30 分までにDNAとの結合はほぼ完了する。

染色試薬 本実験使用量
in 100 mL TAE
本実験染色時間 本実験より見積もられた
染色完了時間
Midori Green Xtra 10 μL 5, 15, 30, 60 min 30 min
Midori Green Advance 10 μL 5, 15, 30, 60 min 30 min
C 社 染色試薬GG 30 μL 5, 15, 30, 60 min 30 min
C 社 染色試薬GR 30 μL 5, 15, 30, 60 min 30 min

 

結果2:励起波長別各染色試薬比較結果

DNA染色時間30 minにおける各核酸染色試薬で染めたDNAバンドの見え方を比較した。

励起波長別各染色試薬比較結果(以下A~C)

A)Blue/Green LED( 500 nm)Exposure 1 sec, ISO 100

MGXはバックグラウンドが低く、バンドが明るい
 
他社核酸染色試薬と比較しても、MGX のバンドは明るい
   

 

B)Blue LED(470 nm)Exposure 2 sec, ISO 100

MGXはバックグラウンドが低く、バンドが明るい
 
他社核酸染色試薬と比較しても、MGX のバンドは明るい
   

 

 C)U.V.(302 nm)Exposure 3 sec, ISO 100

MGXは、U.V.ではバンドが暗い
     
       

 

結論
MGXはBlue LED(470 nm)ならびにBlue/Green LED(500 nm)で鮮明なDNAバンド像を作る。

後染め法を用いたときのゲル撮影装置イルミネーター(光源波長)に対する推奨/適合表

  後染め法
Blue/Green LED
(500 nm)
Blue LED
(470 nm)
U.V.
(302 nm)
 Midori Green Xtra △(暗い)
 Midori Green Advance 〇(バックが高い)
 C 社 染色試薬GG
 C 社 染色試薬GR △(暗い)

 

総 括

【DNA先染め染色法において高性能】

先染め染色法を用いたときのゲル撮影装置イルミネーター(光源波長)に対する推奨/適合表

  後染め法
Blue/Green LED
(500 nm)
Blue LED
(470 nm)
U.V.
(302 nm)
 Midori Green Xtra △(暗い)
 Midori Green Advance
 C 社 染色試薬GG ✕(バンド歪む)
 C 社 染色試薬GR ✕(バンド歪む)

【DNA後染め染色法においても高性能】

本資料における結果
1.染色完了時間

 染色試薬 本実験使用量in 100 mL TAE
(メーカー推奨量)
メーカー推奨時間 本実験より見積もられた染色完了時間
 Midori Green Xtra 10 μL
(10 μL)
10-30 min 30 min
 Midori Green Advance 10 μL
(10-25 μL)
5-60 min 30 min
 C 社 染色試薬GG 30 μL
(30 μL)
-30 min 30 min
 C 社 染色試薬GR 30 μL
(30 μL)
-30 min 30 min

2.DNA 後染め法を用いたときのゲル撮影装置イルミネーター(光源波長)に対する推奨/適合表

  後染め法
Blue/Green LED
(500 nm)
Blue LED
(470 nm)
U.V.
(302 nm)
 Midori Green Xtra △(暗い)
 Midori Green Advance 〇(バックが高い)
 C 社 染色試薬GG
 C 社 染色試薬GR △(暗い)

 

補足情報:他社核酸染色試薬のDNA染色時間変化

S1)C社 染色試薬GG

染色時間
  5 min 15 min 30 min 60 min
Blue/Green LED
500 nm
Exposure time 1 sec
Blue LED
470 nm
Exposure time 2 sec
U.V.
302 nm
Exposure time 3 sec


S2)C社 染色試薬GR

染色時間
  5 min 15 min 30 min 60 min
Blue/Green LED
500 nm
Exposure time 1 sec
Blue LED
470 nm
Exposure time 2 sec
U.V.
302 nm
Exposure time 3 sec

結果のまとめ

テクニカル担当者
① 他の核酸染色試薬と比較して染色に要する時間に顕著な違いはなく、染色時間30分までにDNAとの結合はほぼ完了する。
② MGXはBlue LED(470 nm)ならびにBlue/Green LED(500 nm)で鮮明なDNAバンド像を作る。。


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