第十八回 キジと七面鳥

塩田先生コラム 第九回
塩田 邦郎 先生のご紹介

東京大学名誉教授

1979年より製薬会社中央研究所、1987年より現在まで東京大学(農学生命科学研究科)、2016年から2020年まで早稲田大学にて研究されてきた。素朴な生物学の影を残した時代から、全生物のゲノム情報を含む生命科学の基礎と産業応用の飛躍の時代になった。本コラムでは大学や企業での経験も交えながら、専門分野のエピジェネティクスを含めた自由な展開をお願いしました。


第十八回 キジと七面鳥

 クリスマスツリーツリーで賑わうニューヨークのロックフェラーセンター、クリスマスを楽しみに待つ人々に七面鳥の料理は欠かせない。性格は穏やかでアメリカでは飼育も盛んだ。一方、日本の国鳥である雉(キジ)は古くから食用にも供されてきたニワトリ大の鳥で、今日でも時おり(千葉)郊外で“ケーン”と野生のキジの鳴き声がする。その飼育について話は聞かない。黒メガネを掛けたキジに出会ったことがある。

 赤や青と顔色を変えながらケロケロと鳴く七面鳥の顔立ちは悪役に思える。いっぽう、キジは桃太郎の家来として鬼退治に参加するなど正義の味方の印象であるのだが、そのキジが事情があって黒メガネを掛けていたのだ。“キジも鳴かずば撃たれまい”と云うように狩猟の対象だった雉(キジ)は気が荒く群はつくらず孤高の戦闘モードが似合う野鳥だ。

 約20年程前に動物の感染症、免疫、がん、生殖医療、遺伝学、ジェノミックス、エピジェノミクス研究で有名なコーネル大学のベイカー研究所(Baker Institute)を訪問した時のことだ。コーネル大学のメインキャンパスはニューヨークから小型プロペラ機で40分、車で約4時間の地、人口約3万人の街イサカ(Ithaca)にある。大学は丘陵の上に立っており、そこから南北に数本の深い水の色をたたえた数個の湖(フィンガーレイクス)が遠望できる。氷河が削り取られた後に水が溜まってできた湖で、巨人が爪で引っ掻いてできたそうな。

 ヨーロッパからの移民が川をさかのぼってたどり着いた湖を中心にした街、イサカという町の名はギリシャ系住民によってできた街に由来する。東海岸からシカゴに水路を通じた産業の基地として栄え、コーニング社(強化ガラスの世界メーカー)の博物館もイサカ市内から車で1時間ほどのところにある。また、ニューヨーク市の発展に伴い、酪農・農作物(牛乳や野菜)など新鮮な食料生産地としての役割を担ってきた。イサカ周辺には移民当時の生活様式を守るため近代以前の自給自足を守りながら生活しているアーミッシュの村も点在している。

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