【お客様事例】MPCポリマーコーティングによる細胞由来エクソソームの回収率の向上

日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?

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アプリケーションノート 2018<09>
製品名:MPCポリマー含有コーティング試薬 FastGene™ NovyCoat(ノヴィコート)(FG-NVC100)
メーカー名:日本ジェネティクス株式会社 
※MPCポリマー:生体膜構成成分であるリン脂質と同じ構造(ホスホリルコリン基)を有するポリマー 

製品名:フロア型超遠心機 Optima Xシリーズ
メーカー名:ベックマン・コールター株式会社

下記のデータは、公益財団法人がん研究会 がん研究所 蛋白創製研究部 部長 芝清隆様、
および日油株式会社様のご厚意により掲載させていただきました。

はじめに

エクソソームは細胞から放出される脂質二重膜の小胞で、細胞と細胞はこのエクソソームを介し、核酸やタンパク質などの物質交換を行い、細胞間でコミュニケーションを取っていることが分かってきています。
このため、エクソソームに含まれるmiRNAやタンパク質などを解析することで、新たな診断マーカーとして、がんなどの各種疾患の診断や治療への応用が期待され、注目が集まっております。
反面、エクソソームは非常に微小で、また、容器やチップなどへ吸着しやすいためロスを生じやすく、単離・精製が困難となっています。
このため、より安定的で効果的な単離・精製方法の確立が求められています。
本アプリケーションノートでは、MPCポリマー含有コーティング試薬FastGene™ NovyCoatを用いたコーティングによりエクソソームの吸着を抑制し、エクソソームの回収率を向上した事例についてご紹介します。

<エクソソームを介した細胞間コミュニケーション>

方法および結果

1. MPCポリマー(FastGene™ NovyCoat)コーティングによるエクソソーム吸着抑制効果の確認

方法
基材(ポリスチレン)をMPCポリマーにディップしてコーティング
 ↓
室温で乾燥
 ↓
がん細胞株(ヒト)の培養上清からエクソソームを精製
 ↓
基材をエクソソーム溶液に接触
 ↓
PBSで洗浄
 ↓
AFM(原子間力顕微鏡)で観察

結果


MPCポリマーをコーティングすることで基材表面へのエクソソーム吸着を抑制できた。

2. MPCポリマー(FastGene™ NovyCoat)コーティングによるエクソソームの回収率向上の効果検証

方法
MPCポリマーを超遠心分離用遠沈管にコーティング
 ↓
室温で乾燥
 ↓
がん細胞株(ヒト)の培養上清からエクソソームの粗精製液を調製
 ↓
超遠心機Optima X(ベックマン・コールター社製)で超遠心分離
161,000xg(30,700rpm) 120分間
 ↓
NanoSight(Malvern Panalytical社製)で回収粒子数を測定

結果


MPCポリマー(FastGene™ NovyCoat)のコーティングにより、遠沈管へのエクソソーム吸着が抑制され、回収量が増加した。

お客様のコメント
エクソソーム、あるいは細胞外分泌小胞の取り扱いでは、精製度が上がるにつれて、チューブへの非特異的吸着が問題となってきます。
『大切なサンプルがいつのまにかどこかにいってしまった』といった苦い経験をお持ちの方も多いと思いますが、用いるチューブの表面の性質を変えることで、この問題を解決できるようです。

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