ibidiフォトコンテスト日本大会 第1回目の受賞作品が決定しました!
今年、初の試みとなったibidiフォトコンテスト日本大会。栄えある第1回の受賞作品が決定いたしました!
「最優秀賞」「技術優秀賞」「芸術優秀賞」「敢闘賞」の各賞を発表いたします。
そしてなんと!最優秀賞の作品は2024年度のibidiカレンダーに採用されました!
たくさんのご応募をいただき誠にありがとうございました。
世界中の顕微鏡ユーザーより愛されているドイツibidi社では、2019年より顕微鏡画像のためのフォトコンテスト『ibidiフォトコンテスト』を毎年開催しています。芸術性の高い顕微鏡画像を世に広めることで、顕微鏡観察の魅力を世に伝えてきました。
この度、ibidi社製品の正規販売代理店である日本ジェネティクスでも、日本のibidiユーザーと一緒に顕微鏡観察を盛り上げたい!との思いから、『ibidiフォトコンテスト日本大会』を企画しました。
結果発表
最優秀賞
作品タイトル:ゼブラフィッシュ鰭のコラーゲン線維
大阪大学大学院生命機能研究科 近藤研究室 くろやん 様
- ゼブラフィッシュ鰭(ひれ)
- 顕微鏡:Carl Zeiss LSM900
- 対物レンズ:Pal-Apochromat ×20/0.8 M27
- μ-Dish 35mm high, Glass Bottom(ib81158)使用
- 緑:GFP (コラーゲン線維), 赤:Alexa 594 (BrdU), 青:Hoechst (DNA核)
技術優秀賞
作品タイトル:共焦点蛍光寿命イメージングで識別した核とミトコンドリアのDNA
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 佐藤 良勝 様
- SH-SY5Y細胞(ヒト神経芽細胞腫)
- 顕微鏡:Leica SP8 FALCON
- 対物レンズ:HC PL APO CS2 93×/1.30 GLYC
- u-Dish 35 mm high, ibiTreat (ib81156)使用
- 色素として新規DNA染色試薬(PC1; Uno et al. 2021 Nat Comm, 2650 )使用している。青:(核-DNA), 緑:(ミトコンドリア-DNA)
顕微鏡で取得できる情報の奥深さを考えさせられます。
芸術優秀賞
作品タイトル:浮遊性有孔虫と渦鞭毛藻の共生系
千葉大学 大学院理学研究院・地球科学研究部門 高木 悠花 様
- 浮遊性有孔虫、渦鞭毛藻
- 顕微鏡:Nikon TS100
- 対物レンズ:CFI Plan Fluor DL 4×
- u-Dish 35 mm high, ibiTreat (ib81156)使用
- 未標識。海洋性動物プランクトンである浮遊性有孔虫(宿主)の棘の上に渦鞭毛藻(共生藻)が並んで分布している様子。棘上の網状仮足に,共生藻は存在している。
共生する有孔虫と藻が作る、自然の美を感じさせる一枚です。
敢闘賞
作品タイトル:7色の細胞、リポソームおよびQdotの共パターニング
京都大学大学院 生命科学研究科 生体制御学 山平 真也 様
東京大学大学院 工学系研究科 化学生命工学専攻 山口 哲志 様
- 7色に染色したBa/F3細胞、リポソームおよびQドット
- 顕微鏡:Carl Zeiss LSM 510
- 対物レンズ:EC Plan-Neofluar 10x/0.30 M27 (10倍)
- µ-Slide VI 0.4, ibiTreat(ib80606)使用
- Ba/F3細胞は、Calcein-AM、Hoechst33342, CytoRedを色素として使用し、その組み合わせで7色に染色されている。
- スライドを光照射によって生細胞等を捕捉できる接着剤でコートし、光パターン照射→補足ターゲットの導入→洗浄操作を繰り返すことで、微細パターニングを実施している。
- 文字(赤): Rhodamine labeled liposome, 文字(マジェンダ):Carboxyl-functionalized Qdot 655
おちゃめに並んだ細胞が楽しい画像であると同時に、リポソーム、Qdotもパターニングされており、技術的にも驚きのある画像です。
作品タイトル:複雑な分岐構造を形成したラット神経系初代培養のアストロサイト
昭和女子大学 食健康科学部管理栄養学科 林 真理子 様
- ラット神経系初代培養細胞アストロサイト
- 顕微鏡:Olympus Fluoview FV1000
- 対物レンズ:UPlanSApo 10x/0.40 ∞/0.17/FN26.5
- u-Slide 8 well, ibiTreat (ib80826)使用
- 緑:GLT-1(グルタミン酸トランスポーター、アストロサイトマーカー)、赤:GLAST(グルタミン酸トランスポーター、アストロサイトマーカー)、青:GFAP(中間径繊維、アストロサイトマーカー)
アストロサイト形状が細部に至るまで鮮明に捉えられており、大変美しい画像となっています。
作品タイトル:シートを形成したHUVECの免疫蛍光染色像
北海道大学 細胞ダイナミクス科学研究室 阪場 優翔 様
- ヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC)
- 顕微鏡:Nikon A1
- 対物レンズ:Nikon Plan Apo VC 60X WI
- u-Slide 8 Well high, Glass Bottom (ib80807)使用
- 青:核、緑:F-actin、赤:VE-cadherin
張り巡らされたアクチン繊維に正確にフォーカスされた美しい画像です。
特別賞
さらに特別賞として2作品が選出されました!
作品タイトル:ヒトiPS細胞由来ドパミン神経
神戸市立医療センター中央市民病院 臨床研究推進センター 再生医療研究部
森実 飛鳥 様
- ヒトiPS細胞由来ドパミン神経
- 顕微鏡:ZEISS confocal LSM900
- 対物レンズ: C Epiplan-APOCHROMAT x10倍
- u-plate 96well, ibiTreat (ib89626)使用
- 緑:Tyrosine hydroxylase (ドパミン神経), 赤:FOXA2 (floor plate核), 白:Tubulin B3(神経), 青:DAPI (DNA核)
現代アートを彷彿させる芸術性の高い一枚
作品タイトル:MSCとHUVECの共培養で作製した擬似血管
北海道大学 大学院保健科学院 能藤 日向子 様
- 間葉系幹細胞(MSC)、ヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC)
- 使用顕微鏡:Nikon A1Rsi
- 対物レンズ: 40倍
- u-Dish 35mm high, Glass Bottom (ib81158)
- 青:DAPI(核)、赤:Alexa488(CD44)、緑:Alexa568(VE-Cadherin)
ディッシュ上に作成された疑似血管組織が今後の科学的な展望を期待させる一枚
審査を終えて
芸術性の高いものから、遊び心に富んだ作品、技術的に面白い!と感嘆してしまうものまで多様な応募があり、どれを選ぶか本当に悩ましい選考になりました。今回、表彰・ご紹介できなかった応募者の方も含め、多くの顕微鏡ユーザーの皆様にご協力いただけたこと、この場を借りて御礼申し上げます。
ibidi社ならびに日本ジェネティクス株式会社は、これからもこのような企画を通して、研究者の皆様と一緒に顕微鏡観察の魅力を伝えていきたいと思います。是非ご注目ください。
鰭を貫くコラーゲン繊維の鮮烈さが決め手になりました。芸術性の高い一枚です。