PCR、制限酵素分析、サザンブロッティングのためのゲノムDNA精製キット

全血、培養細胞、組織試料などの多くの試料より核酸を精製するようデザインされている、High Pure PCR Template Preparation Kit。万能で高性能にもかかわらず、ちょっとわかりにくい？？ネーミングの本製品について、こちらで詳しく解説します。

この記事でご紹介した製品

High Pure PCR Template Preparation Kitについて

製品特長

PCR、制限酵素分析、サザンブロッティングのためのゲノムDNA精製キット。
全血、培養細胞、組織試料などの多くの試料より核酸を精製するようデザインされています。

1つのキットで、さまざまなサンプルからDNAを精製できます。
全血、バフィーコート、培養細胞、組織、マウステール、バクテリア、酵母、FFPE切片からのDNA精製に対応しています。
精製したDNAは、PCRや制限酵素消化などに直接使用できます。

High Pure PCR Template Preparation Kitの構成

構成品	キャップ	容量
Tissue Lysis Buffer	白	20 mL
Binding Buffer	緑	20 mL
Proteinase K	ピンク	凍結乾燥
Inhibitor Removal Buffer	黒	33 mL, 特級エタノールを20 mL 加える
Wash Buffer	青	20 mL, 特級エタノールを80 mL 加える
Elution Buffer	クリア	40 mL
High Pure Filter Tubes		100 本（50 本× 2 袋）
Collection Tubes 2 mL		400 本（50 本× 8 袋）

※キットは15‐25℃で保存してください。使用期限はキットラベルに記載されています。

使用方法と実証データ

使用方法

High Pure PCR Template Preparation Kitで精製できるサンプルは多岐にわたります。サンプルと本キットを用意するだけで、純度の高いDNAが精製できます。

主なサンプル例

DNA精製例（収量）

サンプル	容量	収量
全血	200 µL	3 ～ 6 µg
バフィーコート	200 µL	20 µg
培養細胞	10⁶ 個細胞	15 ～ 20 µg
胸腺組織	25 mg	5 ～ 10 µg
マウステール	25 ‐ 50 mg	5 ～ 10 µg
酵母	10⁸ 個細胞	10 ～ 13 µg
バクテリア	10⁹ 個細胞	1 ～ 3 µg

原理

組織溶解バッファー中で組織サンプルを溶解し、結合バッファーを加えた後(血液と培養細胞は直接、結合バッファーに加えます)、溶解物をハイピュアフィルターチューブのグラスファイバーにアプライします。溶液は遠心分離でフィルターチューブを通過します。残りの不純物は洗浄操作で除去され、核酸はその次の溶出バッファーで溶出されます。

実証データ

“High Pure PCR Template Preparation Kit”を用いて調製したヒト核酸からの、シングルコピー遺伝子であるtPA遺伝子の増幅検証

ヒト血液またはヒト由来K562細胞から“High Pure PCR Template Preparation Kit”を用いてDNA抽出を行った。抽出したDNAを等量（250 ng）使用し、様々な長さのヒトtPA遺伝子をPCRで増幅した。増幅時のプライマーは、それぞれ異なるプライマーペアを使用し、酵素は、“Expand Long Template PCR System” または“Expand 20 kb PLUS PCR System”を使用した。
なお、PCR条件については、使用した各PCR Systemの標準プロトコールに従うが、アニーリング温度は65℃固定で行った。PCRの実施後、増幅産物をアガロースゲルにて泳動し確認した(下図)。

泳動サンプル情報

レーン1とレーン6：DNAマーカー

レーン2：血液から抽出したDNAを元にExpand Long Template PCR buffer 1で増幅を行った、6.3 kbのヒトtPA増幅産物

レーン3：血液から抽出したDNAを元にExpand Long Template PCR buffer 3で増幅を行った、15 kbのヒトtPA増幅産物

レーン4：血液から抽出したDNAを元にExpand Long Template PCR buffer 3で増幅を行った、23 kbのヒトtPA増幅産物

レーン5：ヒトK562細胞から抽出したDNAを元にExpand 20 kb PLUS PCR Systemで増幅を行った、28 kbのヒトtPA増幅産物