原文タイトル:『USING NEW FLUORESCENT ACTIVATION FOR BETTER RESULTS_IN VIVO FLUORESCENT PROTEIN DETECTION』
著者:MARCO HERDE, PhD; LEIBNIZ UNIVERSITY HANNOVER GERMANY
はじめに
蛍光タンパク質は、植物分子生物学の分野において遺伝子組み換えを検出するためのマーカーとしてよく利用されています。
遺伝子組み換えは植物全体または植物器官の安定的/一過的な形質転換によってもたらされますが、形質転換の成否を簡便で非侵襲的な手法により確認することが望まれます。
植物に青色光を照射するとGFPの発現が視覚化されることがこれまでに実証されています(Baker et. al. 2012)。
ここでは、本来はゲル内のDNAを視覚化するために開発されたFastGene™ Blue/Green LEDフラッシュライト(※)が、黄色/緑色蛍光タンパク質を発現する緑色/非緑色植物組織が発する強い蛍光シグナルの検出に利用できることを実証します。
※FastGene™ Blue/Green LED フラッシュライトは、2019年1月現在、日本で「フルオロハンディーLED」という商品名で販売しておりますが、在庫がなくなり次第販売終了となります。予めご了承ください。
方法
(A) Nicotiana benthamiana 植物体へのフラッシュライトの使用例
(B) 一過的浸潤したN. benthamiana の葉におけるYFP発現。黄色っぽく見える部分が浸潤領域、葉の非浸潤領域(赤い部分)と明確に識別できる
(C) 大豆の根(赤)の近接写真、毛状根でGFPが発現している(緑)
(D) Brassica carinata植物体、毛状根でGFPが発現している(緑)
(E) YFPを発現している(黄色)または蛍光タンパク質を発現していない(赤)安定的に形質転換したシロイヌナズナ実生
結果
FastGene™ Blue/ Green LEDフラッシュライトを照射すると、光合成活性のある植物組織は赤色を呈し、根は薄赤色または白色を呈します。
ただし蛍光タンパク質が発現していると、FastGene™ Blue/ Green LEDフラッシュライト照射下で緑/黄色シグナルとしてはっきり視認できます。
毛状根の形質転換および葉の浸潤法では、観察された黄/緑色シグナルは他の蛍光検出法(共焦点レーザー顕微鏡法、蛍光双眼顕微鏡法)の結果と一致していました。
安定的に形質転換されたシロイヌナズナの実生では、蛍光を発光していると予想された実生はすべて他の検出方法によって蛍光が確認されましたが、FastGene™ Blue/Green LEDフラッシュライト照射下でシグナルが検出されなかった遺伝子組み換え実生も多数同定されたことから、蛍光タンパク質が強く発現していないとFastGene™ Blue/Green LEDフラッシュライトでは検出できないことが示唆されました。
考察
FastGene™ Blue/Green LEDフラッシュライトは、様々な植物組織内の緑色/黄色蛍光タンパク質の検出に便利な装置です。
電源プラグと比較的暗い場所(植物用グロースチャンバー内では黒っぽい布を使用)さえあれば他の設備を必要としないため、簡便な蛍光検出法として形質転換の成功に貢献します。
FastGene™ Blue/Green LEDフラッシュライトの感度では蛍光が弱い植物組織を検出できない場合もありますが、裏を返せばタンパク質を強く発現する実生を面倒な方法を用いることなく集団内で選抜できるという利点でもあります。
GFPマーカー遺伝子の発現と標的遺伝子の発現強度との間には相関性があると実証されている(Harper et. al. 1999)ことを踏まえると、これは大変興味深いことです。
Blue Green LEDライトを採用している関連製品
※本資料でご紹介しております FastGene™ Blue/Green LED フラッシュライトは、2019年1月現在、日本で「フルオロハンディーLED」という商品名で販売しておりますが、在庫がなくなり次第販売終了となります。Blue/Green LEDという光源の有効性をご理解いただく参考資料としてご覧ください。