【お客様事例】細胞バンクで取り扱う約1,400種類のうち解凍後の生存率が低いとされている4細胞株での凍結保存後の生存率の改善事例

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アプリケーションノート 2014<18>
製品名: バンバンカー(製品番号:CS-02-001)無血清タイプ細胞凍結保存液
メーカー名: 株式会社リンフォテック

下記フィードバックは、独立行政法人医薬基盤研究所JCRB細胞バンク 小原有弘先生の御厚意により掲載させていただきました。

実験方法

当細胞バンクで取り扱う約1,400種類の凍結細胞株のうち利用者から解凍後の生存率が低く細胞の増殖が悪いというフィードバックが多い細胞株4種類(KHYG-1、KAI3、HL60、OVMANA)について、凍結保存にバンバンカーと現在使用している他社製品を用い、緩慢法で保存した後、解凍後の保存効率、増殖効率を比較しました。

細胞保存方法

保存液 凍結保存方法
バンバンカー 簡易緩慢法
他社製品 簡易緩慢法

 

 

 

 


使用細胞

浮遊系細胞株KHYG-1(ヒトNK様細胞株)、KAI3(ヒトNK細胞株)、HL60(ヒト白血病株)3種類の比較方法

■凍結保存 ■解凍・培養
対数増殖期にあるそれぞれの培養細胞

↓  細胞を遠心チューブに回収する。
↓  遠心後上清を捨て、細胞沈渣をタッピング(もしくは軽いボルテックス)でほぐす。
↓  細胞保存液を加え、1×106/1ml保存液/凍結チューブになるように分注する。
↓  -80℃に入れる。
2週間保存
-80℃保存細胞

↓  37℃ウオーターバスで細胞の塊が残る程度まで溶かす
↓  あらかじめ10ml の培地を入れておいた遠心チューブに懸濁する。
↓  遠心後上清を捨て、細胞沈渣をタッピング(もしくは軽いボルテックス)でほぐす。
↓  培地に懸濁後、一部を細胞数測定用にサンプリングし、残りを96 ウエル培養プレートに撒き37℃ 5%CO2 で培養する。
細胞数を測定する。(毎日)

使用細胞
接着系細胞株OVMANA、(ヒト明細胞腺がん株)の比較方法

■凍結保存 ■解凍・培養
対数増殖期にある培養細胞

↓  トリプシン処理を行う
↓  細胞を遠心チューブに回収する。
↓  遠心後上清を捨て、細胞沈渣をタッピング(もしくは軽いボルテックス)でほぐす。
↓  細胞保存液を加え、1×105/1ml保存液/凍結チューブになるように分注する。
↓  -80℃に入れる。
2週間保存
-80℃保存細胞

↓  37℃ウオーターバスで細胞の塊が残る程度まで溶かす
↓  あらかじめ10ml の培地を入れておいた遠心チューブに懸濁する。
↓  遠心後上清を捨て、細胞沈渣をタッピング(もしくは軽いボルテックス)でほぐす。
↓  培地に懸濁後、一部を細胞数測定用にサンプリングし、残りを96 ウエル培養プレートに撒き37℃ 5%CO2 で培養する。
培養7 日目に細胞をトリプシン処理で剥がし、細胞数を測定する。

結果

上記の試験を行い、比較しました。

浮遊系細胞株


接着系細胞株

解凍後の生存率が低く、その後の増殖も良くない細胞株4種類(KHYG-1、HL60、KAI3、OVMANA)をバンバンカーと他社製品で比較した結果、
4種類全てで、解凍後の細胞回収率はほぼ同じであったが、その後の細胞増殖はバンバンカーで保存したほうが良かった。

お客様のコメント

我々JCRB細胞バンクでは細胞バンク業務を30年間行っており、現在1400種類の細胞株を凍結保管し、2013年は約4,300アンプルを国内外の研究者に有償で提供しております。多種多様の細胞株を保管していることからいくつかの問題をかかえておりました。その中でも大きな問題は利用者から細胞株が解凍後死んでしまい、うまく培養できないというフィードバックがあり、特に今回検討した4種類の細胞株は早急に改善しなければならない問題でした。
そこで紹介頂いたバンバンカーを使って保存解凍試験を行った結果、現在使用している市販品と比べ、解凍後の細胞増殖が優れている、しかも4種類すべてで再現性が良い結果が得られたことが驚きでした。
さらにバンバンカーは、血清を含まないことからロット差がなく、海外への提供手続きも非常にスムーズに行えることがわかり非常に感謝しております。
今後、JCRB細胞バンクではバンバンカーに切替え、利用者からのフィードバックに対して生存率及び増殖の改善を行ってまいります。
長年の問題を解決してくれたことに感謝しており、バンク以外の国内外の研究者に広めていきたい製品です。
本データはJCRBホームページにも記載予定です。
今後は、ヒト組織由来、ヒトiPS細胞株についても検討したいと考えております。

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