【お客様事例】FastGene™ RNA Premium kitを用いた 少数細胞数(1000個)からのRNA抽出方法の検討

日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?

  • 当社製品を実際にご使用頂いた、正真正銘、日本国内の研究者様による評価データ
  • 製品をご検討中の方はもちろん、すでにお使いのお客様におかれましても、類似の研究をされ粗抽出ている他の研究者の方の事例集としてご活用頂けます

アプリケーション検索専用ページはこちら


アプリケーションノート 2019<09>
製品名:FastGene™ RNA Premium Kit(FG-81050, FG-81250)
    FastGene™ ScriptaseⅡ Master Mix(5X)(NE-LS64)

メーカー名:FastGene™

下記データは、京都大学のお客様のご厚意により掲載させていただきました。

概要

FastGene™ RNA Premium kit は細胞から抽出する際に、スタンダードプロトコルで5×106 培養細胞、ラージインプットプロトコルで1×107培養細胞の細胞数から抽出することを推奨したキットである。本アプリケーションノートでは、FastGene™ RNA Premium kitを用いて少数細胞数(1×103 培養細胞)からRNAを抽出するプロトコルを検討し、Q社微量RNA精製キットと比べて同等以上の収量およびCt 値を得られた一例を報告する。

実験条件

1. RNA精製
サンプル種 : マウス胎児線維芽細胞(MEF)
サンプル量 : おおよそ1000 個/ サンプル
RNA精製キット : ① Q社キット ② FastGene™ RNA Premium Kit
DNaseⅠ処理 : ①、②とも未実施
RNA溶出バッファー量 : ①、②とも20 μL

RNA回収方法:
1. TRIzolサンプルへクロロホルムを100 μL 加えボルテックス後、15 min室温で遠心した
2. その上清200 μLを70% EtOH 200 μLと混合し、Q社またはFastGene™のカラムへ乗せた(total 400 μL)
3. スピンダウン(室温、max、~ 30 s)

FastGene™ RNA Premium Kit
Cat.No.
FG-81006 トライアル 6回用
FG-81050 50回用
FG-81250 250回用

(Q社キットの場合、n = 3)
4. Flow throughを捨て、カラムを再装着し、RW1 700 μLを加えてスピンダウン(室温、max、~30 s)
5. Flow throughを捨て、カラムを再装着し、RPE 500 μLを加えてスピンダウン(室温、max、~30 s)
6. Flow throughを捨て、カラムを再装着し、80% EtOH 500 μLを加えてスピンダウン(室温、max、~30 s)
7. 新しい廃液チューブにカラムを装着し、スピンダウン(室温、max、1 min)
8. 新しい1.5 mLチューブにカラムを装着し 、 RNase-free water 20 μLをフィルターへ加え、室温で3 min程度静置
9. 室温、max、1 minで遠心し、Flow throughを回収

(FastGene™ RNA Premium(簡略プロトコル)の場合、n = 3)
4. Flow throughを捨て、カラムを再装着し、RW1 600 μLを加えてスピンダウン(室温、max、~30 s)
5. 新しい廃液チューブにカラムを装着し、RW2 700 μLを加えてスピンダウン(室温、max、~30 s)
6. 新しい廃液チューブにカラムを装着し、スピンダウン(室温、max、1 min)
7. 新しい1.5 mLチューブにカラムを装着し 、RE 20 μLをフィルターへ加え、室温で3 min程度静置
8. 室温、max、1 minで遠心し、Flow throughを回収

RNA濃度測定方法:
Qubit4を用いて、RNA HS Assay Kitによって濃度測定した
測定にあたり、Q社サンプルは10 μL、FastGene™サンプルは3 μLを持ち込んで測定した

2. 逆転写反応
FastGene™ ScriptaseII( マスターミックス)を用いて行った
RNAサンプル6 μLに対して逆転写試薬を1.5 μL 加え、以下の温度サイクルで行った
25℃ 10 min → 42℃ 60 min → 85℃ 5 min → 4℃ hold
3. リアルタイムqPCR
試薬:THUNDERBIRD SYBR qPCR Mix(TOYOBO)
機器:StepOnePlus(Thermo)
(解析対象遺伝子:高発現(high)および中程度発現(medium))
サイクル条件:TOYOBOのThunderbird プロトコル通り

検討方法ワークフロー

結果

Qubit4による収量の結果

使用キット Yield
Yield
[ng/μL]
Mean
[ng/μL]
SD
Q社 1 5.06 8.03 3.16
2 6.62
3 12.4
FastGeneTM 1 25.3 23.90 2.42
2 20.5
3 25.9
Qubit4による収量を比較したところ、FastGene™ RNA Premium kitはQ社と比較して約3.0倍の量が得られた。(*t 検定:P<0.05)  

qPCR結果1:高発現(high)

使用キット Ct Mean Mean Ct SD  
Q社 1 6.83 6.87 6.86 0.08
6.92
2 6.74 6.78
6.83
3 6.98 6.93
6.87
FastGeneTM 1 5.38 5.36 5.47 0.22
5.34
2 5.78 5.77
5.77
3 5.32 5.27
5.23

qPCR結果2:中程度発現(medium)

使用キット Ct Mean Mean Ct SD  
Q社 1 17.15 17.12 17.03 0.09
17.08
2 16.90 16.91
16.92
3 17.07 17.05
17.03
FastGeneTM 1 15.90 15.87 16.00 0.14
15.85
2 16.20 16.19
16.17
3 15.96 15.94
15.93
qPCRによるCt値を比較したところ、高発現(high)、中程度発現(medium)ともにFastGene™ RNA Premium kitはQ社と比較してCt値が小さかった。(*t 検定:P<0.05)
お客様のコメント
今回、コスト面のメリットを期待して、本プロトコールを試しました。
通常使用しているサンプルは、RNA濃度が低い一方でタンパクやDNAのコンタミが少ないので、(TRIzolを使用しているため)フィルター含めて3回カラムに通すメリットが無いので、省略しました。
FastGene™のキットはQ社よりも工程が1つ少ない点と、廃液チューブを繰り返し使用しない点から、作業時間も短縮できています。

質問してみる!

「?」と思ったらすぐ解決。
どんな小さなことでもお気軽に。
ご意見・ご感想もお待ちしています。

WEB会員

記事の更新情報を受け取りたい方はコチラ

WEB会員 登録フォームへ

GeneF@N とは?