- ジェノスタッフ株式会社とは?:ISH(in situ Hybridization)、免疫組織染色を始めとした遺伝子機能解析に関する研究受託会社
- ISHにおいては4,000遺伝子以上の解析に成功しており、また、1,000種類以上の抗体の免疫染色の受託経験をもつ、高い技術力をもった会社
- 動物の解剖、固定、薄切、染色など一連の作業をすべて自社で実施
- その豊富で貴重な経験と知識を生かして、同社の野口社長が、自社のホームページで発信されているコラムを、特別な許可をいただき転載しております。
- 時に辛口で、時に生々しい野口社長のコラムをお楽しみください。
少し、思うところがあり書きます。
大学官公庁の研究機関や民間企業でも、実験動物の取り扱いに関してそれぞれの倫理規定の下で実験されているかと思います。
私たちも、もちろん 自社の倫理規定に則って実験を行っています。
施設によりますが、この実験動物の倫理規定に関して、矛盾を感じる事があります。
「実験計画をしっかり立て、不必要な動物は殺さないこと」それは勿論当然なのですが、あまりギチギチの縛りによって、かえって必要のない動物を使ってしまっていないでしょうか!?
例えば『マウス脳での○○○の発現解析を行う』という場合、マウス脳しか採取できない、脳以外の組織は捨てないといけない、そんな倫理規定を設けている研究施設のお話をお聞きすることがよくあります。つまり事前の実験計画で必要とされる組織しか採取できない、予定のない組織はサンプリングできない、ということです。。。
それってどうなんでしょう!?
目の前の実験では使わないから採取できない!?
私たちも実験計画を立てますが、サンプリングできる組織は全て採取し、保管するようにしています。そして、保管した組織が実験目的で合致する場合は使用するようにしています。
・灌流固定をする・凍結で使用する・RNA抽出する・ISHで使用する・免疫染色で使用する・など
色々な試験目的があるかとは思いますが、私たちは3~4人ほどで一気に組織を採取して処理を行い、目的に応じた、固定方法、トリミングの大きさ、各処理時間、保管方法まで、全て標準化して、いつ採取した組織でも安定した同じデータが得られるようにしています。そして染色に使用するのであれば、必ずポジコンで染めてみることで品質に問題がないことを確認します。
この私たちの規定では、実験動物の数を最小限に抑えることができます。
事前の試験計画の縛りを厳しくして実験動物を減らすことも大切ですが、多くの組織を採取して保管しておくことで、その後の実験動物を減らすことも倫理的な意味で大切だと考えています。
また、解剖、サンプリング、固定、包埋など、この工程が実験で非常に重要なのですが、間違えた情報や失敗、手際の悪さ、などでデータの再現性や個体差など様々な問題が生じてしまい、せっかくの動物を無駄にしていると思う時があります。
実験動物は貴重です、信頼できるデータが得られるよう正しい情報を持って、事前準備をしてから取り掛かることが重要かと思います。
このあたりのお話は『細胞・組織染色の達人』にも詳しく載せております。
2018年6月14日掲載分
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