蛍光免疫染色の誘惑

ISH、組織染色の実話
  • ジェノスタッフ株式会社とは?:ISH(in situ Hybridization)、免疫組織染色を始めとした遺伝子機能解析に関する研究受託会社
  • ISHにおいては4,000遺伝子以上の解析に成功しており、また、1,000種類以上の抗体の免疫染色の受託経験をもつ、高い技術力をもった会社
  • 動物の解剖、固定、薄切、染色など一連の作業をすべて自社で実施
  • その豊富で貴重な経験と知識を生かして、同社の野口社長が、自社のホームページで発信されているコラムを、特別な許可をいただき転載しております。
  • 時に辛口で、時に生々しい野口社長のコラムをお楽しみください。

第2弾 「蛍光免疫染色の誘惑」

蛍光標識での免疫染色は綺麗で見栄えがよく、論文でも広く使われています。

でもその結果って本当ですか?

蛍光免疫染色は10年以上前から当社の受託試験では用いていません。理由はfalse positiveな結果報告をしてしまう可能性があるからです。

感度の上げ下げを簡単に行えるということは弱いシグナルを拾えるという利点はありますが、その反対にバックグランドかどうか解らない光をシグナルと見せることができます。論文掲載されている蛍光免疫染色を当社で同じプロトコールで再試験すると、再現性が得られない、或いは目的分子の特異性があるとは思えない結果が得られることが多々あります。

当社の受託経験でも、結果は微妙でもテクニックを使うとそれなりのシグナルに見せることができたり、数箇所なら写真に取れてしまったりします。我々も人の子、ご依頼いただいた研究者の期待に応えたい、つい喜んで欲しくもなります。その場合、心を鬼にして蛍光染色の誘惑に勝たないといけません。

false positiveは絶対に出さないことを社内で徹底していますが、その誘惑はかなりのものです。論文が掛かっている研究者の方なら更なる悪魔の声が聞こえそうです。

信頼のある抗体以外は別ですが、免疫染色は必ずDABなどの可視で特異性の問題が無いことを確認してから、蛍光標識を使われることをお奨めします。

2017/9/12 掲載

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