ibidiポンプとCulture-InsertやSticky-Slideを組み合わせた独自システムの構築

ibidi社はドイツの細胞観察器具メーカーです。本特集は、このibidi 社より販売されている灌流培養専用装置ibidiポンプシステムに関する特集になります。
ibidi社SNSで紹介されたibidiポンプシステム掲載論文の紹介記事に併せて、製品ポイントについても解説しておりますので、ぜひご覧ください。

この記事で紹介した製品はこちら

ibidi社からの論文紹介記事

Kopenhagen et al. combined the ibidi Pump System, Culture-Insert 2 Well, and sticky-Slide I Luer to investigate the role of shear stress on endothelial #cell migration after streptococcus pneumoniae infection. Read the full publication: https://lnkd.in/eWPD-qE8

――Kopenhagenらは、肺炎レンサ球菌感染後の血管内皮細胞のcell migrationに対するせん断応力の役割をibidiポンプシステム、カルチャーインサート、スティッキースライドを組み合わせて調べています。

製品

解説

肺炎レンサ球菌由来の肺炎で生じる血管内皮バリア破壊メカニズムを調べるためのin vitro実験系作成に、ibidi社カルチャーインサートとibidiポンプシステムを組み合わせて使用している論文です。
カルチャーインサートは、細胞の無いエリア（ギャップエリア）が作成できるので、そのギャップエリアに対し侵入してくる細胞の移動能を評価するために使用できます。
本論文では、カルチャーインサートを用いて、肺炎レンサ球菌存在下の血管内皮細胞を観察することで、内皮バリア機能を評価しています。さらに論文後半では、この系にシェアストレスを付与する一歩踏み込んだ実験系を構築しています。ここで用いたのが、ibidiポンプシステムとibidi社stickyスライドです。
このように本論文は、ibidiポンプを含めた様々なibidi製品を組み合わすことで、独自の実験系を組み、内皮バリア機能を評価した、非常に興味深い事例となっています。

本論文で使用されている製品について

ポイント

①灌流培養用ポンプシステム『ibidiポンプ』

培地を灌流（フロー）させながら細胞を生育、観察できる装置です。
HUVEC（ヒト臍帯静脈内皮細胞）などの内皮細胞にシェアストレスを与えながら培養することで、血管を模倣した、より生体内に近い条件の培養が可能になります。
左右シリンジの培地を切り換えつつ、同時に送液ラインも切り換えることで、途切れることなく“長期間”かつ“一定方向”の灌流を可能にします。
専用ソフトには、ibidi社製チャネルスライドの形状がプログラムされており、数値を入力するだけで、シェアストレス等の物理パラメーターを細胞に与え、流量、シェアストレスを自在にコントロールできます。
装置の組み方を変えれば、多様な流れ（一方向定常流、パルス、振動流）も作り出すことが可能です。
ステージトップインキュベーションシステムとの組み合わせることで、培養しながら顕微鏡観察することもできます。

CatNo.	概要	単位	価格（税抜）
ib10902	ibidi Pump System （ポンプ本体、シリンジ固定ユニット、PC）	1式	￥3,860,000

※価格は2023年5月現在のものです。
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②独自底面素材のチャネルスライドが作成できる『Stickyスライド』

ボトムフリーマイクロスライド：底面（カバースリップ）が無いマイクロスライド。底面が接着面となっており、独自の底面素材の上でマイクロスライドを作成できます。
Sticky Slide I Luer を使用すれば、ibidiポンプに接続し、灌流培養用チップとして使用できる独自のチャネルスライドが作成できます。
接着面で使用しているのは、生体適合性の接着剤（細胞培養試験済み）のため、細胞への影響はございません。

CatNo.	概要	単位	価格（税抜）
ib80178	sticky Slide I 0.4 Luer 滅菌済	15枚	¥55,600

※価格は2023年5月現在のものです。
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③培養面を複数のエリアに区分けするシリコン製インサート『カルチャーインサート』

培養面を区分けし、間隙（細胞のないギャップ領域）を作成できるシリコン製インサート。
接着剤不使用の接着方式：インサート底面が柔らかいシリコン素材となっており、乾いたガラスやプラスチック表面であれば、繰り返し着脱できます。
インサートを培養面に取り付け、細胞を播種し、細胞接着後インサートを取り外すことで間隙を作成できます。
作成した間隙は創傷治癒実験、細胞遊走の定量、共培養系構築等に使用できます。
高い再現性：一般に精度の高い間隙の作成は難易度が高いとされています（例：スクラッチ法など）。カルチャーインサートを使用すれば、簡単に精度の良い間隙が作成できます（幅500 µm±100 µｍ）。
2ウェル、3ウェル、4ウェルのタイプより選択可能。