日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?
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下記データは、麻布大学 獣医学部 動物工学 田中 和明 様のご厚意により掲載させていただきました。
概要
日本で飼育されている乳牛の大部分(約99%)はホルスタイン種です。また、乳牛全体に占める割合は1%程度ではありますが、2番目に多い乳用品種としてジャージー種が利用されています。言い換えると、国産牛乳は、品種の表示が無くても、主にホルスタイン種が生産したものになります。これに対して、ジャージー種の乳のみを使ったと品種表示されている牛乳(ジャージー牛乳)は、品種表示の無い牛乳よりも高価格帯の商品として販売されています。このため、ホルスタイン種由来の乳を含む牛乳と、ジャージー種のみで生産した牛乳を区別できる鑑定法を確立することは、ジャージー牛乳のブランド価値を維持するために重要となります。牛乳の中には、乳を生産したウシのゲノムDNAが含まれているので、これを用いて品種鑑定をする方法が開発されています。私たちは、黒白斑(ED)の個体の頻度が高いホルスタイン種と、褐色(E+)を基本色とするジャージー種の毛色の決定因子であるMC1R遺伝子の断片をPCR増幅し、ダイレクトシークエンスおよび制限酵素切断断片長多型を用いて、遺伝子型判定を行っています。
私たちは、これまで、牛乳からのDNA抽出に市販の全血用DNA抽出キット(所要時間90分程度)を用いていました。抽出の過程を省略できればより効率的な結果方法になるのではないかと期待して、強いPCR阻害耐性を有するKAPA3G Plant PCR Kitsを用いたダイレクトPCRを検討しました。
* Tanaka K., Amano M., Fujiki M., Takizawa T.(2021),“Discrimination between Holstein derived milk and pure Jersey dairy products via analysis of the MC1R gene.”, Food Science and Technology Research, 27(3), 381-387, 2021
実験内容
サンプル条件
- 滅菌蒸留水で2倍に希釈した牛乳
- 滅菌蒸留水で20倍に希釈した牛乳
- 牛乳から抽出したDNA(QuickGene DNA whole blood kit S;FUJIFILM Wako Pure Chemical Corporation)
- ネガティブコントロール(精製水)
KAPA3G Plant Kit 条件
- 反応試験(PCRミックス 1反応当たり)
2X KAPA Plant PCR Buffer 10.00 μL 100 μM Forward Primer 0.10 μL 100 μM Reverse Primer 0.10 μL KAPA3G Plant DNA Polymerase 0.16 μL H2O 8.64 μL Template(試料①~④) 1.00 μL Total 20.00 μL - プライマー配列
ターゲット ウシ MC1R遺伝子, 増幅サイズ155 bp
F202(5’-AACCTGCACTCCCCCATGTACTACT-3’)
R356(5’-ACATTGTCCAGCTGCTGCACCACGG-3’) - PCR条件
結果
2%アガロースゲル TAE 緩衝液 Agarose 1200 Standard Type(Code No.PH 108: ピーエイチジャパン)
Mupid®-2plus(泳動時間:40分、電圧100 V)エチジウムブロマイド染色
ダイレクトPCRを用いた簡便なDNA検出方法の確立を目指す方にとって、本アプリケーションノートが有益な情報となることを期待しております。
この記事で紹介した製品
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- 製品情報詳細ページ:KAPA3G Plant PCR Kits
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