中学生を対象に「夏休み理科おもしろ実験教室」が開催されました!
夏休み真っ只中の2024年8月6日(火)、兵庫県赤穂市立有年中学校にて、赤穂市の中学校の生徒を対象とした「夏休み理科おもしろ実験教室」が開催されました。昨年夏に開催された「めざせ!DNAマスター2023」イベントレポートの記事をご覧いただいたことがきっかけとなり、弊社からは当日使用するゲル撮影装置、試薬をサポートさせていただきました。当日の様子を写真とともにお伝えいたします。
夏休み理科おもしろ実験教室について
近畿大学工学部の取り組み
近畿大学工学部では、2013年より、中学理科に関連する実験教室を赤穂市教育委員会との合同で実施しています。その目的は中学生への理科及び科学技術への興味の喚起、本学教職課程学生の理科教員としての教育技量向上、さらには中学教諭との交流による実験実習の現場支援などたいへん幅広いものとなっており、本活動の発展により、今年5月に工学部・広島キャンパスと赤穂市との間で教育連携協定も締結されました。今回のイベントは、元近畿大学医学部岡田清孝教授より、弊社へお問い合わせいただいたことがきっかけで実現しました。
近畿大学工学部と赤穂市教育委員会の教育連携協定について
近畿大学工学部「夏休み理科おもしろ実験教室」紹介ページ
イベント概要
今回の実験教室は2部構成となっており、約40名の中学生を対象に開催されました。弊社は、「②オレンジや野菜ジュースのDNA取り出してみよう」のテーマをサポートさせていただきました。
実験テーマ「オレンジや野菜ジュースのDNAを取り出してみよう」
まずは岡田先生の自己紹介からスタート。
そして「みなさんは、DNAを知っていますか?DNAって聞いたことありますか?」と今回の実験教室のキーワードに関する問いかけから本題が開始し、その後は細胞、核、DNAと詳細な説明へと話は展開されていきます。最初は緊張していた生徒たちも徐々に慣れてきて、先生からの質問に対しても、手を挙げ、大きな声で返事をするようになってきました。
説明が終わり、いよいよ実験がスタートです!
実験内容
実験テーマ「オレンジや野菜ジュースのDNAを取り出してみよう」では、3つのパートに分けて実施されました。
①野菜ジュースからDNAを取り出してみよう
市販の野菜ジュースに洗剤とエタノールを加えて、DNAの抽出を行います。
「洗剤をいれる効果は何だと思いますか?」
「エタノールを入れたあとの変化はどうなると思いますか?」
と先生から質問が飛びます。生徒たちは一人一人考えて答えを予想し、配られた用紙に自分の意見をまとめながら書いていきます。自分たちの知識と経験をフル活用して、真剣に予想していました。実験では、自分の考えを持つことや、結果について仮設を立てるというプロセスがとても重要ですよね!今回の実験結果は、どうなるのか非常にワクワクします。
教職課程の学生さんたちのサポートもあり、順調に実験が進んでいるようです。野菜ジュースの入ったコップの液面の変化を注意深く観察していました。
②オレンジからDNAを取り出してみよう
続いて、生のオレンジを絞ってDNAを抽出してみます。じゃんけんで勝った人からオレンジを選びます!重要な実験材料を選ぶだけに、生徒たちは真剣そのもの!
ここで先生から再び質問です!
「絞ったオレンジ汁の量はどれくらいでしょうか?」
実はこの予想が後で重要になってくるとは、このときは誰も想像していませんでした。
生徒たちは思わずオレンジを絞ることに夢中になり過ぎてしまい、「そこまでがんばって絞らなくても大丈夫ですよ!」と、ついつい先生が制してしまう場面も。(教室中がオレンジの香りで充満し、弊社取材チーム一同、思わずオレンジジュースが飲みたくなりました。)オレンジ溶液にもエタノールを加え、境界面での白濁形成と浮いてくるものを観察し、次のステップではDNA抽出作業を行います。
実験①と②で抽出したDNAを70%エタノールで洗浄・乾燥させ、その一部をTAE入りのマイクロチューブの中で溶解させれば、DNA溶液の完成です!さらにうまく抽出できているかを確認するため、溶液にミドリグリーンダイレクトを添加してスタンバイ!
③DNAの電気泳動と検出
電気泳動
先生が別途調製したオレンジと野菜ジュースから抽出、精製したDNA溶液を用いて、電気泳動を行います。もちろんDNA溶液には、ミドリグリーンダイレクトを添加してあります。教職課程の学生さんたちから、ピペット操作を学びつつ、DNA溶液をゲルにアプライしていきます。
生徒たちはみんなはじめてのピペット操作と聞いていましたが、滞りなく順調に操作できていました。
検出
そして、ついにここでゲル撮影装置のFAS-Digi Compactの登場です!ずっと教室の後ろにたたずんで実験を見守っていましたが、ようやく出番が来ました。弊社のゲル撮影装置FASシリーズは、取扱いに注意が必要なUVではなく、人体とサンプルにやさしいBlue/Green LEDを搭載しているため、分子生物学実験に慣れていない中学生でも安心して近くまで寄って観察することができます。(※詳しくはこちら)
電気泳動したバンドと自分たちで抽出したDNAを、岡田先生の解説を聞きながら興味深く真剣に観察していました。
弊社スタッフももちろん確認させていただきました。今回のメインイベントとなるDNAの観察では、生徒はもちろんのこと、中学校の先生方、取材陣も興味津々な様子でFAS-Digi Compactを覗き込んでいる姿が非常に印象的でした。
実験考察・まとめ
最初に与えられた課題について、実験結果と照らし合わせて先生からの解説タイム。冷やしたアルコールを加えることで、DNAが不溶化し析出すること、洗剤を加えることで、細胞壁・膜や核膜が壊れ、DNAが出やすくなることが分かりました。生徒たちは、先生のわかりやすい解説を聞きながら、各自メモをとっていました。
先生からのエール
最後に岡田先生からは、今日の実験に参加した生徒たちに対して、以下の言葉で締めくくっていました。「本日の実験教室はどうでしたか?みなさんに実験の楽しさや面白さを知ってほしいというのもありますが、本日の実験教室をきっかけとして、「次に何をしてみようか」と新たなアクションをしてもらえるとうれしいです。例えば、ジュースを乳酸菌飲料に変えて実験をしてみるのもおもしろい。もしうまくDNAが抽出できなかったら、なぜうまくいかなかったのかを考える。加える洗剤の量や種類を変えてみるなど、まだ試行錯誤することができると思います。 新たな実験を自分で考えてみませんか?次のアクションへと結びつけることがとっても大事です。」 実に編集担当者にも刺さるお言葉でした。
そして最後に先生からサプライズが! オレンジの汁の量が最も多かった人と、オレンジの汁量の予測値と測定値が最も近かった人にオレンジをプレゼント!大きな拍手と生徒さんたちの笑顔で締めくくられた大成功の実験教室でした!
日本ジェネティクスより
今回弊社の実験機器・試薬を提供および協力させていただけたことを本当にうれしく思います。中学生の探求心や真剣に実験に取り組む姿を見ることができて、とても充実した時を過ごすことができました。 本イベントにお邪魔させて頂きまして、誠にありがとうございました。元近畿大学医学部の岡田先生をはじめ、近畿大学工学部の白石先生、小川先生、教職課程の学生の皆さん、そして取材を快諾して下さった赤穂市立有年中学校、赤穂市の教育委員会の関係者の皆様には心より感謝申し上げます。
今回のイベントで使用した機材・試薬
本イベントで使用した機器・試薬をご紹介します。デモ・サンプルのご依頼も承りますので、お気軽に各製品のお問い合わせフォームよりご連絡ください。