第六十四回 栞を挟んで

東大名誉教授・塩田邦郎先生コラム「エピジェネティクスの交差点」
塩田 邦郎 先生のご紹介

東京大学名誉教授

1979年より製薬会社中央研究所、1987年より現在まで東京大学(農学生命科学研究科)、2016年から2020年まで早稲田大学にて研究されてきた。素朴な生物学の影を残した時代から、全生物のゲノム情報を含む生命科学の基礎と産業応用の飛躍の時代になった。本コラムでは大学や企業での経験も交えながら、専門分野のエピジェネティクスを含めた自由な展開をお願いしました。


第六十四回 栞を挟んで

 郊外の住居から30分も歩くと、紅葉が始まったばかりの森に着く。それほど深い森ではないが、甲高いヒヨドリの鳴き声に誘われ入って行くと、うっかりと迷いそうになる。

 先人たちは、山道などで木の枝を折って帰りの道標とする“枝折り”を発明した。これが栞の語源だという。街の書店で本を購入した際にもらう栞には、開催中の絵画展覧会や映画の案内が印刷されていたり、新刊情報が載っていたりする。私は、日付・座席番号・出発地・到着地などが記された航空券の半券を栞にして、空港で買った本に挟み込んでいることもある。

 普通、栞は読む度に移動するが、読み終えると最後のページに収まる。別の本に再度利用されることもあるが、新しい本には新しい栞が似合うから、あえて挟んだままにしておく。栞は本がどう読まれたかは示さず、役割を終えて眠っているようだ。エッセイや専門書などであれば、何箇所かに複数の栞を挟むこともある。こうして栞は、本の一部となり、栞とセットの本が本棚に収まっている。

 読み進んだ頁を知るためではなく、読み返したい箇所に出会うと付箋の出番だ。最近では、様々な色や大きさの付箋が売られている。大きめの付箋であればメモもできるから重宝する。

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