【お客様事例】バンバンカーDirectを用いた担がんマウス作製用細胞の保存

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アプリケーションノート 2022<08>
製品名:バンバンカーDirect(Cat.No. CS-06-001)
メーカー名:株式会社GCリンフォテック

下記のデータは、大阪大学大学院理学研究科附属フォアフロント研究センター 医理核連携教育研究プロジェクト 兼田 加珠子 様のご厚意により掲載させていただきました。

概要

培養がん細胞を用いた担がん動物の作製には、がん細胞をマウスに移植する必要がある。しかし、担がん動物の作製にはかなりの細胞数を必要とするため、移植する細胞の準備に手間がかかる。また、レシピエントとなる動物と必要細胞のコンディションを合わせなければならない。加えて、必要細胞数を用意するためには、多量の培養器具(シャーレ等)を用いるため、研究室の細胞培養スペースを占有してしまう。これらの問題を解決するため、兼田先生のグループでは、必要細胞数をバンバンカー(CS-02-001)で保管・準備し、マウスの馴化後に細胞を解凍してそのまま移植して生着させる方法を用いていた。

本アプリケーションノートでは、上記方法をさらに簡略化するために、バンバンカー Directを使用した方法の確立を試みた。
バンバンカーDirectは、細胞回収後の遠心操作をスキップして使用することができる凍結保存試薬である。
検討の結果、バンバンカーDirectを用いることで凍結時の操作と、解凍後の手間をさらに削減し、より簡便に担がん動物の作製を行うことが可能となった。

結果

培養した細胞を移植する従来法(A群)と、バンバンカーDirectで凍結解凍後にそのまま移植を行った結果(B群)での結果を比較した。その結果、通常通り移植した群Aの腫瘍サイズは267.89 ± 56.20 mm3、バンバンカーDirectによる保存細胞を用いた群Bが266.28 ± 35.87 mm3となり、バンバンカーDirectで凍結していた細胞でも、当日剥がして移植した細胞と同等の生着効率を持つことが確認された。

図1.移植後4週目
図1.移植後4週目
腫瘍部を点線(白)で強調表示
腫瘍サイズ
お客様のコメント
接着細胞を移植のために準備する際に、スケールアップとマウスの搬入日を合わせることが難しいことがありました。また、教室員の他の実験との兼ね合いもあり、培養スペースに困ることがありました。数ヶ月等の長期間保存した細胞で検証する必要もあると思いますが、細胞を回収する手間がより少ないバンバンカーDirectを用いることで、より計画的な実験の実施が可能になると思います。

実験方法

実験方法

実験方法(詳細)

  • 使用した細胞:
    ヒト前立腺がん細胞LNCaP
  • 凍結方法:
    細胞回収後、細胞懸濁液とバンバンカーDirectを1:1で懸濁する。
    50 mLチューブに20 mLずつ分注し、キャップにパラフィルムを巻いた後、チューブをキムタオルで巻いて-80℃で凍結する。
  • 解凍方法:
    加温した培地を加えて急速解凍する。
  • 投与液の調整方法:
    バンバンカーDirectの解凍細胞懸濁液と、日時を合わせてスケールアップしていたLNCaP細胞も条件を揃えて調整を行う。
    TC20 セルカウンター(BioRad)を使用してセルカウントをした後、1×108 cells/mL の細胞懸濁液をそれぞれ調製する。
    等量のマトリゲル(Corning, GFR)と混合する。
  • 投与方法:
    100 μLずつ右側皮下に注入(N=4)
    移植細胞数は5×106 cells/mouse
    Nude マウス(Balb/c-nu/nu, 日本SLC より購入:雄を5週齢で搬入)を1週間馴化した後、投与する。*移植時は6週齢
  • 評価方法:
    移植後に動物の経過観察を行い、腫瘍の生着状況をノギスと目視にて比較する。

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