【製品性能評価】DNAの低吸着性試験

日本ジェネティクスのテクニカルノートとは？

発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
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テクニカルノート2016＜04＞
製品名：FastGene™ 96well PCR プレート Ultra Easy Cut（0.2mL/ノンスカート）
（Cat No. FG-1702）

目的

FastGene™ 96well PCR プレート Ultra Easy Cut (0.2mL/ノンスカート)について、qPCRでの性能を評価した。

背景

96 wellプレートは、一般的にPCR反応などDNAを取り扱うアプリケーションで使用されている。
近年NGS（Next Generation Sequensing）やSingle cellなどのアプリケーションにより、DNAが吸着しづらい低吸着タイプのプレートが必要とされている。そこで、弊社では、まず現状のプレートにどの程度DNAが吸着するかを下記の評価方法により確かめた。

実験条件

• サーマルサイクラー： Life Eco (Bioer) – インキュベーションに使用
• qPCR装置： LifeTechnologies StepOnePlusTM
• qPCR試薬： KAPA SYBR Fast qPCR Master Mix (2x) (Cat.No. KK4600)
• テンプレートDNA ： Mouse Genomic DNA (Clontech Cat.No. #636402) in 5mM Tris-HCl pH 8.0

実験手順

1．下図のようにMouse Genomic DNA を用いて作成した希釈系列を、50μL ずつ各ウェルに分注した

2．それぞれ、以下の条件でインキュベートした
　＜インキュベーション条件＞
　　a）4℃, 30min（反応液保存温度）
　　b）37℃, 30min（一般的な酵素の反応至適温度）
　　c）65℃, 30min（酵素不活化温度）
　　* これらのパラメーターは標準的な酵素のインキュベート条件である

3．同じチップでインキュベート毎にウェルを変えて、合計4 回インキュベートした

4．qPCR の定量を用いてインキュベート前のサンプルとの比較を行った

プライマー

HRPT-gDNA-F：CCACTTGTGACGAAAGCACC（HPLC grade）
HRPT-gDNA-R：GTTGTCTACGCTCTGGCAGT（HPLC grade）
（ターゲット：single copy gene）

反応組成

KAPA SYBR Fast qPCR Master Mix (2x) 　10 μL
Forward Primer (10uM) 　0.4 μL
Reverse Primer (10uM) 　 0.4 μL
Template (incubated DNA or Control DNA)　 2 μL
Nuclease Free PCR water 　　　　　　　　7.2 μL　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　20 μL/RXN

qPCRプログラム

Step 　　　　　　　　Temp. Duration Cycles
Enzyme Activation 　　95℃ 3min
Denature 　　　　　　95℃ 5sec
Anneal/Extended 　　 62℃ 40sec　×40cycles
Dissociation* 95℃ 15sec
60℃ 1min　＋0.3℃stepwise
up to 95℃ 15sec　
* default Melt Curve setting of StepOne Plus

結果

インキュベート温度：4℃

	Ct value(before incubation)	Ct SD	Ct value (after incubation)	Ct SD	Difference*
20 ng / rxn	24.43	0.017	24.39	0.018	-0.04
2 ng / rxn	27.74	0.036	27.64	0.078	-0.1
0.2 ng / rxn	31.13	0.079	31.02	0.181	-0.11
0.02 ng / rxn	34.45	0.38	34.28	0.318	-0.16

* Difference = (The Ct value after incubation) ‒ (The Ct value before incubation)

4℃でインキュベートをした前後間のCt値にほとんど差は見られなかった。これらの結果から、プレートにDNAは吸着していないと考えられる。

インキュベート温度：37℃

	Ct value(before incubation)	Ct SD	Ct value (after incubation)	Ct SD	Difference*
20 ng / rxn	24.43	0.01	24.32	0.027	-0.11
2 ng / rxn	27.66	0.062	27.68	0.046	0.01
0.2 ng / rxn	30.89	0.131	30.77	0.132	-0.12
0.02 ng / rxn	34	0.15	34.35	0.158	0.34

* Difference = (The Ct value after incubation) ‒ (The Ct value before incubation)

37℃でインキュベートをした前後間のCt値にほとんど差は見られなかった。これらの結果から、プレートにDNAは吸着していないと考えられる。

インキュベート温度：65℃

	Ct value(before incubation)	Ct SD	Ct value (after incubation)	Ct SD	Difference*
20 ng / rxn	24.26	0.037	24.32	0.012	0.05
2 ng / rxn	27.46	0.007	27.75	0.053	0.29
0.2 ng / rxn	30.79	0.154	31.08	0.087	0.29
0.02 ng / rxn	34.23	0.619	34.28	0.235	0.05