【製品性能評価】FastGene™ Q-Stain(タンパク染色試薬)の評価試験

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テクニカルノート2018<07>
評価製品:FastGene™ Q-Stain(NE-FG-QS1)

目的

操作・染色時間と染色像について、既存の染色試薬と比較することで、本製品の有用性を確認する。

評価方法

タンパクラダーマーカーの2倍の希釈系列を作成してそれぞれ電気泳動を行った。
市販の2種類のCBB染色試薬に対し、染色、脱色、操作時間を比較することで、操作の簡便性を評価した。
また、泳動の結果から、既存の製品と感度、染色像の比較を行い、本製品の性能を評価した。

  使用試薬  

タンパク染色試薬
FastGene™ Q-Stain (Cat.No NE-FG-QS1)
【特徴】
 • 前洗浄, 前固定脱色の操作が不要
 • 10 分以内で結果が得られる(感度を求めるなら30 分以上を推奨)
 • CBB と同等の検出感度
 • メタノール・酢酸不使用 – 廃棄処理が簡便, MS(質量分析)に適合

      
   
  
  
→ 検証結果は結果① 推奨条件での比較

→ 検証結果は結果② 染色時間による染色度合
 の推移
ポリアクリルアミドゲル
FastGene™ PAGE Gel – 4-20%(CatNo. NE-PGS420)
【特徴】
 • 最大 60 μL/well のまでローディング可能
 • 幅広いミニ電気泳動チャンバーに適合するポピュラーなミニフォーマットのプレキャストゲル
 • FastGene MOPS またはMES バッファーに適合 *Tris-Glysin Buffer は使用できません
 • 泳動条件目安 140 V, 45~55 min
 
 
  既存製品との仕様の比較  
 
製品名 固定 染色 脱色 安全性
 Q-Stain(FastGene™) 不要 10~60 min 不要
(必要に応じて脱色)
 自家染色試薬CBB(W社) 10~60 min 30~60 min以上 適宜
(120~180 min 程度)
酢酸・メタノール
 市販染色試薬CBB Kit(B 社) 不要 30~60 min 適宜
(120~180 min 程度)
酢酸・メタノール

※各操作時間は、製品のプロトコルまたは、標準的な手順として記載しています。

染色手順の比較

Q-Stain と既存の染色試薬で「操作手順」と「操作時間」を比較した。

  操作手順の比較  
 

 

  操作時間の比較  
 
Q-Stainは、操作手順と、操作時間において既存の製品よりも簡便であるといえる。
脱色ステップが不要なため、通常の染色時間と比べて、約1/3の時間で作業を終えることができる。

 

実験

  タンパク電気泳動  

タンパク分子量マーカーの希釈系列を作成した。
■ 希釈溶液:Laemmli サンプルバッファー(BioRad)#1610737
■ タンパク分子量マーカー:プレシジョン Plus プロテイン™ 未着色スタンダード(BioRad)#1610363

 
希釈倍率 1/1 1/2 1/4 1/58 1/16 1/32 1/64 1/128
バンドAのタンパク量 750.0 ng 375.0 ng 187.5 ng 93.8 ng 46.9 ng 23.5 ng 11.7 ng 5.9 ng
バンドBのタンパク量 150.0 ng 75.0 ng 37.5 ng 18.8 ng 9.4 ng 4.7 ng 2.3 ng 1.2 ng

サンプルをそれぞれ、下記の通りアプライを行った。

結果

  ① 推奨条件での比較  
 
今回の実験においてQ-Stainの検出限界量は、46.9 ngであった。
既存のCBB染色と比較すると、コントラストは従来のCBB染色の方がはっきりしていたが、検出限界量においては同等であった。
以上の結果から、Q-Stainは脱色操作を行わなくとも、CBBと同等の結果を得られることが確認できた。
 
 
  ② 染色時間による染色度合の推移  
※脱色は実施しておりません。 
タンパク量が多い場合では10 minでも十分な検出を行うことができた。
染色時間10 min ~ 30 minにおいて徐々に検出限界量の改善がみられた。ただし、この試験条件では30 min以上染色しても、検出限界量は上がらなかった。

 

まとめ

製品名 検出限界量  メリット デメリット
 Q-Stain
(FastGene™)
46.9 ng

・バックグラウンドが低いため、脱色を行う必要
 がない。
・染色の程度を確認しながら染色を行える。
・劇物が入っていないので、廃液の処理が簡単。

・CBB 染色と比較して全体的にバンドが薄く
  みえる。
 既存染色試薬CBB
(W社)
46.9 ng

・濃淡がしっかりとしているのでタンパク量が
 確認しやすい。

・随時調製ではないが、あらかじめ試薬を 
 準備する必要がある。
・前固定の工程が必要。
・脱色液を随時交換が必要。
・廃液処理(劇物)
 既存染色試薬CBB Kit
(B 社)
46.9 ng ・濃淡がしっかりとしているのでタンパク量が
  確認しやすい。
・試薬が調製されている。
・前固定の工程がない。

・脱色液を随時調製が必要。
・染色にムラが出やすい。
・廃液処理(劇物)
まとめ
タンパクの検出確認を短い時間で簡単に行う方法としてFastGene™ Q-Stainは有用と考えられる。
 
 
 【補足1】CBB染色後の脱色時間による染色像の推移  
 
 既存のCBB染色方法では、脱色は必須であった。 脱色前に染色度合を確認することが難しいため、FastGene™ Q-Stain よりも染色時間がコントロールし難い。
 
  【補足2】Q-Stain の脱色  

 Q-Stain にて60 min 染色を行った。
 脱イオン水で20 min の脱色をすると感度が上がるか検証した。

 脱色によりコントラストが若干上がるためバンドはシャープになる印象を受けるが、検出限界量は変わらなかった。

 

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