【製品性能評価】Pippin Pulseを用いたパルスフィールド電気泳動による様々な長さの断片化DNA(600 bp, 350 bp, 200 bp, 150 bp)のサイズ分布確認

日本ジェネティクスのテクニカルノートとは?

発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
また、当データに関するご質問はお気軽にページ下部のフォームよりお問い合わせください。


テクニカルノート2017<01>
評価製品:Sage Science Pippin Pulse(Cat No.PPI0200)

目的

パルスフィールド電気泳動で様々な長さに断片化したDNAのサイズ分布を確認する。

背景

次世代シーケンスなどのいくつかのアプリケーションにおいて、目的のサンプルがどの程度のサイズに分布しているかを確認することはダウンストリームの成功率を上げる上でも、非常に重要となります。
一般的に、キャピラリ電気泳動システムは、サンプルが少なくてもサイズが確認できるため、優れた装置として知られていますが、サンプルによってはテーリングが生じ、正確なサイズ分布が得られないことがあります。

パルスフィールド電気泳動は、電気泳動中に電界の方向を切り替えることで、DNA断片をより精度よく分離し、ゲルに展開することが可能です。
本技術資料では、簡便で使いやすいパルスフィールド電気泳動パワーサプライPippin Pulseを用いて、さまざまな長さの断片化DNA(600 bp,350 bp, 200 bp, 150 bp)を電気泳動し、GelPro analyzerを使用して解析することにより、目的とする長さのDNA断片を解析した事例をご紹介します。

実験条件

• サンプルDNA:Plant genomic DNA, Human genomic DNA
• Input DNA量:1000 ng, 100 ng, 10 ng, 1 ng
• Input DNAバッファー組成:TE buffer : 10 mM Tris-HCl,1 mM EDTA,pH 8.0
• 断片化酵素:KAPA Frag(Cat.No.KK8600)
• 断片化温度:37℃
• 断片化時間:5 min, 10 min, 20 min, 30 min

実験手順

1. ゲルシステムをセットアップ(ゲル作製、サンプルロード)する。
2. PCとPippin PulseをUSB接続し、それぞれの電源をONにする。
3. PCのディスクトップにあるPippin Pulse Iconをダブルクリックして
 アプリケーションを立ち上げる。


7. 泳動が完了したらゲルを解析する。

  ※注意:泳動中のPCトラブルを避けるために、下記の設定に注意。
       • PCの電源ケーブルの接続
       • 省電力設定のスリープをOFFに設定
       • Windows updateをOFFに設定

断片化後のサイズ分布結果 

※AdapterをLigationせずに、断片化後、熱変性により反応を中断

● Plant genomic DNAとHuman genomic DNAの断片化結果
   日本ジェネティクス社 社内ラボ評価試験データ

KAPA Frag断片化条件
 Input DNA量:1 ng, 10 ng, 100 ng, 1000 ng
 反応温度:37℃
 反応時間:5 min, 10 min, 20 min, 30 min

Blue : Plant genomic DNA Red : Human genomic DNA

断片化時間/
Input DNA量
5 min
Target size
600 bp
10 min
Target size
350 bp
20 min
Target size
200 bp
30 min
Target size
150 bp
1000ng
Top peak:
967 bp 1147 bp

Top peak:
596 bp 515 bp

Top peak:
293 bp 217 bp

Top peak:
165 bp 169 bp
100ng
Top peak:
808 bp 920 bp

Top peak:
388 bp 347 bp

Top peak:
181 bp 173 bp

Top peak:
117 bp 117 bp
10ng
Top peak:
870 bp 639 bp

Top peak:
420 bp 380 bp

Top peak:
138 bp 264 bp

Top peak:
124 bp 149 bp
1ng
Top peak:
not detected

Top peak:
not detected

Top peak:
not detected

Top peak:
not detected

 

Bioanalyzerの測定レンジでは「高分子の切れ残りが検出できない可能性」があるためパルスフィールド電気泳動を用いて200 bp ~ 40 kbの広いレンジでサイズ確認した。

泳動レーン:
 Lane H : High Marker, Invitrogen社 1 kb DNA extension ladder (#10511-021), 2 uL/lane
 Lane L : Low Marker, Bioline社 HyperLadder 1 kb (#BIO-33025), 5 uL/lane
 Lane M : Bioline社 HyperLadder 100 bp (#BIO-33029), 5 uL/lane
 サンプルレーン :Plant genomic DNA・Human genomic DNA共に1000 ng断片化サンプルを用いて200 ng/Laneで泳動

パルスフィールド泳動条件:
 パワーサプライ :SageScience社 Pippin Pulse, 2-50 kb program 16 hr
 泳動槽 :MajorScience社 Midi plus-2, 15×15 cm ゲルトレイ
 泳動バッファー :SageScience社 KBB buffer (#KBB1001), 終濃度x0.5
 泳動時間:6 hr
 アガロース:FastGene™ Agarose (#NE-AG02), 1.2% 120 ml


Gel-Pro Analyzerによる解析 
Input DNA量 1,000 ng

*注意*
X軸の値:Gel-Pro Analyzerは、Bioanalyzerとは逆

 Plant genomic DNA 
  Gel-Pro Analyzer 解析
X軸の値:Gel-Pro Analyzerは、Bioanalyzerとは逆
 LaneP    断片化前
 
 Lane1 
 
 Lane2 
 
 Lane3 
 
 
 LaneM 
 
 Lane4 
 
 

 

 Human genomic DNA 
  Gel-Pro Analyzer 解析
 LaneP    断片化前
 
 Lane1 
 
 Lane2 
 
 Lane3 
 
 
 LaneM 
 
 Lane4 
 
 

 

● Top peakのsizeの比較

  断片化時間 5 min 10 min 20 min 30 min 解析に
使用した量
  Target size 600 bp 350 bp 200 bp 150 bp
Pippin
Pulse
Plant
genomic
DNA
541 bp 357 bp 222 bp 167 bp 200 ng
Human
genomic
DNA
555 bp 358 bp 200 bp 174 bp
Bio
analyzer
Plant
genomic
DNA
967 bp 596 bp 293 bp 165 bp 2 ng
Human
genomic
DNA
1147 bp 515 bp 217 bp 169 bp
KAPA Fragによる断片化後のサンプルに関して、Bioanalyzerによる解析では非常に少量(2 ng)で測定可能でしたが、断片化サイズが長ければ長いほど(200 bp以上)テーリングが生じ、正確なサイズ分布が得られませんでした。
一方で、Pippin Pulseは、解析に多くのDNA量(200 ng)を必要としますが、GelPro analyzerで解析することにより、目的とする長さのDNA断片が得られていることがわかりました。
*Plant genomic DNAは、国立研究開発法人 農業生物資源研究所 イネゲノム育種研究ユニット
 主任研究員 堀 清純様のご厚意によりご提供頂きました。
 ここに深く感謝申し上げます。
 

 本技術資料で使用した当社取扱い製品 
 
[Pippin Pulse]
Pippin Pulse(パルスフィールド電気泳動パワーサプライ)
PPI0200

Pippin Pulse用 10 X KBB Buffer
KBB1001

MidiPlus2 水平式電気泳動装置
(UVトレイ3 種類、1 mm厚 20サンプルコーム、
 UVトレイダム、電極コード赤黒)

ME1571015

1.5 mm厚 16 サンプルコーム MC
ME15-16MC-1.5

[KAPA HyperPlus Kit]
KAPA社
ライブラリー
調製キット

KAPA
HyperPlus Kit

KK8510 8 回用
KK8512 24 回用
KK8514 96 回用
・キット内容
・KAPA Frag Enzyme
・KAPA Frag Buffer (10X)
・KAPA Frag
 Conditioning Solution

・End Repair & A-Tailing
 Buffer

・End Repair & A-Tailing
 Enzyme
・Ligation Buffer
・DNA Ligase
・KAPA HiFi HotStart
 ReadyMix (2X)

・Library Amplification
 Primer Mix (10X)
[マグネットスタンド]
MagnaStand(YS-Model)
8 Ch×0.2 ml PCRチューブ用
FG-SSMAG2
MagnaStand
8 Ch×1.5 mlチューブ用
FG-SSMAG1.5
MagnaStand(YS-Model)
96 wellプレート用
FG-SSMAG96

MagnaStand(YS-Model) V2 微量対応モデル
(AMPure Low Volume Elution 対応マグネット)
FG-SSMAG96SLV

お客様の声から生まれた、爆発的ヒット商品次世代シーケエンス(NGS)用ライブラリー調製では、AMPure XPビーズを用いたサンプルクリーンアップの工程が何回かあります。
従来のマグネットスタンドは磁力が弱いため、ピペッティングでの溶液ミックスや、溶液回収の際のビーズキャリーオーバーが問題でした。このマグネットスタンドは、NGSライブラリー調製に特別に開発されており、強力な磁力でAMPure XPのハンドリングをストレスなく行うことが出来ます。
[磁気ビーズ]   [試薬調整
 チューブラック]
  [PCR装置]
   
Agencourt®
AMPure® XP Kit

A63880 5 mL
A63881 60 mL
A63882 450 mL
  アイスオン1型・2型
SKIO-1(169×69×47)
SKIO-2 (177×95×47)
  LifeECO
TC-96GHbC

Heat Lid の温度設定が可能です。

[消耗品]
0.2 mL 8 連PCRチューブwithキャップ
FG-088WD(ドームキャップ)
FG-088WF(フラットキャップ)

チューブ1個単体で蓋を開閉することができ、コンタミネーションを予防します。

マイクロ遠心チューブ
11150 0.65 mL
11510 1.7 mL
12000 2.0 mL


10 uL ワンタッチフィルター
10320

ゴムのような柔らかいプラスチックによりピペットへの装置が良く高い分注精度が得られます。

200 uL マルチガード
14220
14220T Low Biinding(低吸着)
 

質問してみる!

「?」と思ったらすぐ解決。
どんな小さなことでもお気軽に。
ご意見・ご感想もお待ちしています。

WEB会員

記事の更新情報を受け取りたい方はコチラ

WEB会員 登録フォームへ

GeneF@N とは?