【製品性能評価】KAPA EvoPlus Kitを用いた10 ngのHumanGenomeサンプルからのライブラリー調製

日本ジェネティクスのテクニカルノートとは?

発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
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目的

次世代シーケンス用ライブラリー調製Kit「KAPA EvoPlus Kit」を使用し、10 ngの精製済みサンプルから目的サイズのライブラリーが調製できるか検証を行った。

概要

KAPA EvoPlus KitはKAPA HyperPlus Kitの進化版として新しく発売されたKitです。
本実験では10 ngからのHumanGenomeサンプル(精製済み)を用いて取説記載の断片化時間で目的サイズのライブラリーが調製できるか、またAmplificationのサイクル数の違いにおけるライブラリーの収量を検証しました。その結果、目的サイズの断片化ができ、シーケンスを行うために十分な量のライブラリーが得られた事例となります。

実験方法

  • 使用DNA:
    精製済み Human genomic DNA 10 ng(CORIELL INSTITUTE / NA19240)
    NanoDropにてQuiality Checkを行い、品質に問題がないDNAであることを確認した。(Qualityについては下記参照)

NanoDrop スペクトル結果

製品紹介
KAPA EvoPlus Kit(KAPA BIOSYSTEMS / Cat.No.09420037001)

KAPA EvoPlus Kit
  • 一般的な酵素断片化Kitに比べ、アーティファクト(人工的な変異)の発生を低減
  • インプットサンプル中に含まれるEDTAなど、インヒビターの影響による断片化サイズのばらつきを改善
  • フラグメンテーションとAテーリングを統合した簡便なステップ
  • 操作時間を短縮(おおよそ2時間)
  • サンプルインプットレンジは10 ng~500 ng(PCRフリーライブラリーは 75 ng以上から可能*
  • プレートフォーマットタイプを新たに追加し、完全に自動化可能なワークフローでのご提供

* 全ゲノムシーケンス、高品質gDNA、ダブルサイズセレクションをしていない、フルレングスアダプターを使用する、などの条件を満たす必要があります。

ライブラリー調製のワークフロー

〈本実験での実施条件〉

  • 断片化条件:37℃ 15分(インサートサイズ 240 bp~320 bpに設定)
  • アダプター濃度:6 μM(モル比 アダプター:インサート = 400:1) ※Stock conc.をdilution Bufferにて希釈して使用
  • Amplification PCR cycle:5 cycles、7 cycles、10 cycles
ライブラリー調製のワークフロー

評価方法

  1. ライブラリーサイズ
    Post-Amplification Cleanup後のライブラリーを、RNA Free水にて10 倍希釈した。その後、Bioanalyzerにてサイズ測定し、正しいサイズで
    断片化されていることを確認した。
  2. ライブラリー収量
    ライブラリー収量は、qPCRにて濃度測定を行い、シーケンスのRunに充分な濃度であることを確認した。

結果

ライブラリー濃度の目安:4 nM(illuminaシーケンサーのライブラリーインプット濃度)

サイクル数 5 cycles 7 cycles 10 cycles
ライブラリーサイズ 376 bp 371 bp 361 bp
  5 cycles 7 cycles 10 cycles
濃度(nM) 16.80 nM 61.75 nM 347.61 nM

ライブラリーサイズはアダプター(約130 bp)を含めたライブラリーの平均サイズで算出した。

まとめ
  • アダプター(約130 bp)を含めたライブラリーサイズは370 bp付近となったことから15分のFragmentationにおいてほぼ取説推奨通り240 bpのインサートサイズを得る事ができた。
  • Clean up後、アダプターダイマーは見られなかった。このため、アダプターのインプット比率も問題ないことが確認できた。
  • 5 cyclesでシーケンスに必要なライブラリー量(4 nM)を得る事ができた。
結論
10 ngのHumanGenomeサンプル(精製済み)からKAPA EvoPlus Kit を用いて、取説通りの操作方法で目的サイズのライブラリー調製を行う事が可能であった。
また、最少サイクルでシーケンスに必要な量のライブラリー量を得る事ができた。
※ サンプルの状態によっては事前の検討が必要となる場合がございます。

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