日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?
- 当社製品を実際にご使用頂いた、正真正銘、日本国内の研究者様による評価データ
- 製品をご検討中の方はもちろん、すでにお使いのお客様におかれましても、類似の研究をされている他の研究者の方の事例集としてご活用頂けます
アプリケーション検索専用ページはこちら
製品名:ibidi μ-Dish 35 mm High, ibiTreat(Cat.No.ib81156)
メーカー名:ibidi社
下記データは、筑波大学 医学医療系 宮本 崇史 様のご厚意により掲載させていただきました。
概要
ibidi μ-Dish 35 mm Highの底面素材には“ibidiポリマー”が採用されています。このibidiポリマーは、高倍率の蛍光顕微鏡観察において優れた性能を発揮します。
本アプリケーションノートでは、小胞体(ER)およびミトコンドリアを対象とした、100倍対物レンズを用いたオルガネラの蛍光観察に、ibidi μ-Dish 35 mm Highを使用し、ガラスボトムディッシュと比較検証を行いました。
この結果、ibidiポリマーを採用したディッシュでは、ガラスボトムディッシュと遜色ないレベルで観察できることがわかりました。
背景
ibidiポリマーは、以下の点において、高解像度顕微鏡観察に最適な条件を提供するとされる。
① 自家蛍光が低く、屈折率等、ガラスに近い光学特性を持つ。
② 均一かつ薄く加工でき、作動距離の短い高倍率レンズを使用出来る
(Application note 2020〈03〉参照)。
ガラス/培養用プラスティック/ ibidiポリマーの光学特性比較
屈折率 (589 nm) |
自家蛍光 | アッベ数 | 厚さ(規格) | |
---|---|---|---|---|
ガラス製カバースリップ | 1.52 | 低い | 55 | #1.5 0.17 mm (+0.02/-0.01 mm) |
培養用プラスティック | 1.45 | 高い | 33 | 多様(厚い) |
ibidiポリマー | 1.52 | 低い | 56 | #1.5 0.18 mm (+0.01/-0.005 mm) |
手法・実験条件
顕微鏡観察用ディッシュ:
ibidi μ-Dish 35 mm High, ibiTreat(Cat.No. ib81156)
<比較対象>M社製ガラスボトムディッシュ(カバーガラス厚:#1S、0.16 ~ 0.19 mm)
細胞:Hela 細胞
顕微鏡:
共焦点レーザー顕微鏡システム Nikon A1R HD25
励起/検出波長(小胞体観察時) :425.5-442.5 nm/ 459-499 nm
励起/検出波長(ミトコンドリア観察時) :542-582 nm/ 603.5-678.5 nm
対物レンズ:
Nikon SR HP Plan Apo Lambda S 100xC Sil
(シリコーン浸レンズ、倍率100 倍、開口数NA 1.35、作動距離WD 0.3 mm、
カバーグラス厚対応範囲0.15 ~ 0.19 mm)
プラスミドDNA(小胞体局在因子発現ベクター):pECFP-FRB-Cb5
ミトコンドリア染色試薬:MitoTracker™ Red CMXRos(Thremo Fisher, M7512)
※その他、培養条件・撮影条件等は補足情報に記載
結果:100倍対物レンズ撮影結果
① ER観察結果
ガラス
ibidiポリマー(ibiTreat)
② ミトコンドリア観察結果
ガラス
ibidiポリマー(ibiTreat)
結論
ibidiポリマーは、対物レンズ100倍使用したオルガネラの顕微鏡観察において、ガラスと遜色のない画像が取得できる。
補足情報①:手法・実験条件補足
【細胞培養】
Hela細胞を、10 cm dish(CORNING, #430167)上で培養。培養液組成は以下の通り。
培養液組成: DMEM(Thermo Fisher,11965118)
FBS(Thermo Fisher,10270-106, lot 42Q9180K、最終濃度10 %)
Zell Shield(Minerva Biolabs GmbH,13-0050、最終濃度1 %)
【培養~ CR-Cb5トランスフェクション~顕微鏡観察】
①Hela細胞、2×105 cells/dishを培養ディッシュへ播種した後、CO2 インキュベーターで
4時間静置した。
②2FuGENE HD Transfection Reagent(Promega社)1.5 μLを用いて、プラスミドDNA
(pECFP-FRB-Cb5)0.5 μgのトランスフェクションを行い、24時間培養した。
③培養液を除去後、1 mLのPBSで1回 ウォッシュを行い、2 mLの蛍光顕微鏡観察用培養液
(※)に置換し、共焦点蛍光顕微鏡観察を実施した。
撮影条件詳細: 光源波長: 561.0 nm
レーザー出力: 0.2
ピンホールサイズ: 45.98 μm
走査条件:Scan Direction: One way、Scan Speed: 0.031、
LineAverage/Integrate Count: 2
【培養~ミトコンドリア染色~顕微鏡観察】
①Hela細胞、2×105 cells/dishを培養ディッシュへ播種した後、CO2 インキュベーターで
24時間静置した。
②MitoTracker™ Red CMXRos(mitoR)を終濃度500 nMで培地に添加。
③30分後、1 mLのPBSで1回 ウォッシュ後、2 mLの蛍光顕微鏡観察用培養液*に置換し、
撮影を行った。
撮影条件詳細: 光源波長: 561.0 nm
レーザー出力: 0.2
ピンホールサイズ: 45.98 μm
走査条件:Scan Direction: One way、Scan Speed: 0.031、
Line Average/Integrate Count: 2
* 蛍光観察用培養液: Phenol red-free DMEM( Thermo Fisher, 31053028)
FBS(Thermo Fisher, 10270-106, lot42Q9180K、
終濃度10 %)
Penicillin-Streptomycin Solution (Sigma-Aldrich, P4333、
終濃度1 %)
L-Glutamine (Thermo Fisher, 25030081、終濃度4 mM)
• 最速毎秒720フレームの高速性
• 最大1K(1024×1024画素)の高解像度を実現
• 業界最大視野数 25でハイスループットイメージングが可能に
株式会社ニコンソリューションズ バイオサイエンス営業本部
TEL(フリーダイヤル):0120-586-617 E-mail:Nsl-bio.Marketing@nikon.com
製品紹介ページ:https://www.microscope.healthcare.nikon.com/ja_JP
補足情報②:40倍対物レンズ撮影結果
① ER観察結果
ガラス
ibidiポリマー(ibiTreat)
【撮影条件】
顕微鏡:ニコン 電動倒立顕微鏡 Ti2-E + sCMOS camera Zyla 4.2 PLUS
レンズ:Plan Apo λ 40x(倍率40 倍、開口数NA 0.95、作動距離WD 0.21 mm、
カバーグラス厚対応範囲0.11 ~ 0.23 mm)
② ミトコンドリア観察結果
ガラス
ibidiポリマー(ibiTreat)
【撮影条件】
顕微鏡:ニコン 電動倒立顕微鏡 Ti2-E + sCMOS camera Zyla 4.2 PLUS
レンズ:Plan Apo λ 40x(倍率40 倍、開口数NA 0.95、作動距離WD 0.21 mm、
カバーグラス厚対応範囲0.11 ~ 0.23 mm)
- こちらのアプリケーションノートのPDFダウンロード : こちら
- 製品情報詳細ページ: ibidi μ-Dish 35 mm High, ibiTreat
- アプリケーションノート検索ページ(型番・キーワード・アプリケーションから検索可能)
明視野撮影であれば、ガラスボトムよりibidiポリマーのほうがきれいに観察できる点もお勧めできるポイントです。