【お客様事例】モバイル型リアルタイムPCR装置を活用したバイオオーグメンテーション工法における投入細菌数のモニタリング

日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?

  • 当社製品を実際にご使用頂いた、正真正銘、日本国内の研究者様による評価データ
  • 製品をご検討中の方はもちろん、すでにお使いのお客様におかれましても、類似の研究をされている他の研究者の方の事例集としてご活用頂けます

アプリケーション検索専用ページはこちら


アプリケーションノート 2020<08>
製品名:M1 SamplePrep Cartridge Kit for RNA(Cat.No.3000536)
メーカー名:Biomeme
製品名:モバイル リアルタイムPCR装置PicoGene® (Cat.No.PCR1100)
メーカー名:日本板硝子
製品名:KAPA 3G Plant PCR Kit(Cat.No.KK7251)
メーカー名:KAPABIOSYSTEMS
製品名:FastGene™ Scriptase II(Cat.No.NE-LS53)
メーカー名:FastGene™
 

製品について詳しく見る

下記のデータは、一般財団法人沖縄県環境科学センター 吉川 大介 様、古家 克彦 様、株式会社照屋土建 崎原 健吾 様、照屋 正悟 様、沖縄工業高等専門学校  田邊 俊朗 様、宮里 真珠 様、大鏡建設株式会社 山入端 豊 様のご厚意により掲載させていただきました。
本アプリケーションノートは、令和2年度土木学会全国大会第75回年次学術講演会の発表内容を元に編集いたしました。

背景

バイオオーグメンテーションで効率良く浄化を進めるために重要なのは、汚染土壌に投入した微生物の菌数をモニタリングし、微生物投入のタイミングを計ることである。
ところが従来の方法では、汚染現場で土壌試料を採取しても、研究室等に持ち込み後に生菌数測定の培養を行うため日数が掛かっており、汚染現場での微生物投入のタイミングを逸することも多いと考えられる。
本アプリケーションでは、浄化工事現場において実施可能であり、微生物投入のタイミングを逸することのない、できるだけ迅速な投入細菌の生菌数をモニタリングする方法について検討した結果を紹介する。

実験方法

1. 投入菌株の培養と土壌試料の採取
C重油分解性細菌(菌株番号19G)を用いて模擬汚染土壌を作製

2. 模擬汚染土壌からの全RNA 抽出
使用サンプル:各土壌250 mgに19G培養液0.2%,0.4%,0.6%,0.8%,1.0%,1.2%添加
各サンプルにスキムミルク150 mgを添加

使用キット:
Biomeme Sample Homogenization Kit(Biomeme, Cat.No.3000093)
M1 SamplePrep Cartridge Kit for RNA(Biomeme, Cat.No.3000536)

3. モバイルリアルタイムPCRによる菌数測定
抽出した全RNAを鋳型とし、TaqMan®プローブ法によるリアルタイムRT-PCRで19G株の16SrRNA遺伝子を検出した。
逆転写反応およびqPCRには、FastGene™ Scriptase IIおよびKAPA 3G Plant polymeraseをそれぞれ用いた。

使用キット:
PicoGene® PCR1100(日本板硝子, Cat.No.PCR1100)
KAPA 3G Plant PCR Kit(KAPABIOSYSTEMS, Cat.No.KK7251)
FastGene™Scriptase II(FastGene™, Cat.No.NE-LS53)

● 反応組成 Reaction composition
Template RNA
2x KAPA 3G Plant reaction buffer
KAPA 3G Plant polymerase
FastGene™ Scriptase II
F Primer
R Primer
Probe
DW
___ μL (Total RNA 10 ng)
8.5 μL
1.0 μL
1.0 μL
700 nM(final conc.)
700 nM(final conc.)
200 nM(final conc.)
___ μL
Total 20.0 μL
● 反応プログラム Reaction program
RT 42℃/180s
Hotstart Hotstart 95℃/15s
Denature 95℃/5s
Anneling 62℃/20s
Cycles 45 cycles

4. 模擬汚染土壌試料のTPH濃度測定
実証試験場より採取してきた模擬汚染土壌は、土壌中に残留するC重油のTPH濃度を測定した。
TPH濃度測定法は、環境省の油汚染対策ガイドラインに示されている溶媒抽出GC-FID法に従った。

実験結果と考察

1. RNA抽出とCT値-19G菌数検量線の作成
• リアルタイムRT-PCRに必要となる十分量のRNAを抽出することが出来た(表-1)。
 
表-1 標準試料からのRNA抽出量
19G株培養液(%) 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2
RNA濃度(ng/μL) 5.0 3.9 3.9 4.8 4.2 4.5
• 抽出したRNAを鋳型としてモバイルリアルタイムPCR装置でリアルタイムRT-PCRを行い、19G株の16SrRNA遺伝子を検出することが出来た。混合土に添加した19G株培養液の割合およびそこに含まれる19G菌数と、測定で得られたCT値より作成したCT値-19G菌数検量線を示す(図-1)。
 
図-1 CT値-19G菌数検量線
 
2. 模擬汚染土壌試料の菌数定量
• モバイルリアルタイムPCRを用いて、模擬汚染土壌中の19G株菌数を定量することができた(図-2)。
• 模擬汚染土壌中のC重油のTPH濃度測定の結果を示す(図-3)。
 

図-2 模擬汚染土壌中の生菌数モニタリング

図-3 模擬汚染土壌中のTPH濃度推移
 
上記のグラフから実証試験初期は土壌中の栄養分とC重油の含有量が多く重油分解菌19G株にとって生育環境が良いと考えられ、多くの19G株が存在していることが分かった。ここからC重油の分解が進むにつれて、土壌中の栄養分の枯渇、細菌の炭素減となるC重油が少なくなり、細菌数が減っていったと考えられる。
 
まとめ

• RNAの現場抽出の検討では、カートリッジタイプの抽出キットを使用することで、操作が簡単で時間短縮につながり目的量のRNAを抽出することができた。
• 細菌数のモニタリングは、モバイルリアルタイムPCR装置を使用して検量線の作成を行い、模擬汚染土壌の細菌数の定量を行うことができた。
• 実際の汚染現場で投入細菌の菌数定量まで行うことができれば、微生物投入のタイミング等、迅速な判断が可能となる。
• さらなる条件等の検討が必要であるが、モバイルリアルタイムPCRを用いた細菌の菌数のモニタリングは可能であると考える。

お客様のコメント

• モバイルリアルタイムPCR装置は、コンパクトで持ち運びがしやすく、浄化工事等の現場事務所での使用が可能であると考えられる。
• 当該製品を用いる事で、土壌サンプリングからRNA抽出、PCR測定までを現場で完結することができ、大幅な時間短縮につながる。

この記事で紹介した製品

質問してみる!

「?」と思ったらすぐ解決。
どんな小さなことでもお気軽に。
ご意見・ご感想もお待ちしています。

WEB会員

記事の更新情報を受け取りたい方はコチラ

WEB会員 登録フォームへ

GeneF@N とは?