【お客様事例】モバイルリアルタイムPCR装置を用いたエビの急性肝膵臓壊死症(AHPND)の迅速検出

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アプリケーションノート 2021<01>
製品名:モバイルリアルタイムPCR装置 PicoGene®PCR1100(Cat.No. PCR1100)
メーカー名:日本板硝子株式会社

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下記のデータは、株式会社TBA研究開発 川瀬研究室分室 小寺 拓也 様のご厚意により掲載させていただきました。

背景

エビの急性肝膵臓壊死症(Acute hepatopancreatic necrosis disease : AHPND)は特殊な毒素タンパク質を産生するビブリオ属細菌が原因で発生する疾病で、死亡率が非常に高いことが特徴である。
この疾病が原因で、海外のエビ類養殖生産国では生産量が半減し、世界的にエビ類の価格が高騰した。 ※1
日本における蔓延を防止するため、水産資源保護法や持続的養殖生産確保法で防疫の対象である「特定疾病」及び水産資源保護法の輸入防疫対象疾病に指定され、PCRでの診断法が確立されているが、今回現場での迅速診断を目的としてモバイルリアルタイムPCR装置を使用して系の確立を目指した。

※1水産防疫の対象疾病
https://www.maff.go.jp/j/syouan/suisan/suisan_yobo/attach/pdf/index-3.pdf

目的

モバイルリアルタイムPCR装置とKAPA3G Plant PCR Kitを用いて、検出限界である40 copies/assayを目標としてAHPND感染エビの迅速検出法を確立する。

検証方法

ターゲット:AHPNDを引き起こすエビ病原菌Vibrio parahaemolyticus
使用した検体:
1)感染エビ抽出サンプル / DNeasy® Blood & Tissue Kits(Qiagen社) 使用
2)Vibrio培養菌コロニー / 水懸濁加熱処理
3)感染エビ抽出サンプル / GenCheck® DNA Extraction Reagent(FASMAC社)使用
使用した試薬: KAPA3G Plant PCR Kit(日本ジェネティクス株式会社)
使用装置: モバイル型リアルタイムPCR装置 PicoGene® PCR1100(日本板硝子株式会社)

● 使用したプライマーとプローブ
(国際獣疫事務局(World Organization for Animal Health:OIE)登録済)
TUMSAT-Vp3_Fw 5’-GTGTTGCATAATTTTGTGCA-3’
TUMSAT-Vp3_Rv 5’-TTGTACAGAAACCACGACTA-3’
VpPirA Probe 5’-FAM-AGACAGCAAACATACACCTATCATCCCGGA-TAMRA-3’

● 反応組成
  

● 反応プログラム

結果


: 1)感染エビQiagen抽出サンプル
: 2)Vibrioコロニー加熱処理サンプル
: 3)感染エビ GenCheck抽出サンプル
黒: ポジコンplasmid 4×10^4 copies, 40 copies, 4 copies

検体 Ct
1)感染エビQiagen抽出サンプル 32.9
2)Vibrioコロニー加熱処理サンプル 20.9
3)感染エビ GenCheck抽出サンプル 24.2
4)ポジコンplasmid 4×10^4 copies 31.4
5)ポジコンplasmid 40 copies 43.9

 

まとめ

検出閾値を0.005にした場合、培養菌体および重度感染のエビ検体からAHPNDを30 min以内に検出することができた。
また、ポジコンにおいては検出限界の40 copiesまで検出する事が確認できた。

補足資料1:各Kitを使用したDNA抽出工程

DNeasy® Blood & Tissue Kits(Qiagen社)

DNeasy® Blood & Tissue Handbookより引用

GenCheck® DNA Extraction Reagent(FASMAC社)

GenCheck® DNA Extraction Reagent取扱説明書より引用

補足資料2:検出感度の変更方法

初期設定として、通常感度は1に設定されておりますが、検出感度を上げるため、マニュアルで変更していただく事が可能です。
 
【3.4.1品種ファイルの数値を調整する】
モバイルリアルタイムPCR装置 Mobile qPCR ユーザーズマニュアルP.53 ~ P.54参照
 
1. 品種ファイルは装置本体と付属のCD-ROMの両方にCSV形式で保存されています。
2. 該当する閾値のセルに半角数字で励起光のCt検知感度を入力します。
※新FWではこちらの設定を1→2に変更することで、今回の実験で検証した検出域値を0.005とした設定と同等となります。
 
3. CSVで保存してください。
注意!!
品種ファイルの数値は初期値に戻せません。
品種ファイルの数値を変更する前に、必ずバックアップを取るなどして元のファイルを保存してください。
 
お客様のコメント
装置重量が軽いため携帯性は非常に優れていた。
一度に多検体の検査を行う場合、検査系の実行時間は10分以内でできれば実用性は向上すると思う。
測定結果の履歴をPCR1100本体で確認できるようになれば、より使い勝手が向上すると感じた。

 

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