【お客様事例】KAPA HyperPlus Kitによる多検体 黄色ブドウ球菌のNGS解析

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アプリケーションノート 2017<04>
製品名:KAPA HyperPlus Kit(for illumina)(KK8510, KK8512, KK8514)
メーカー名:KAPA BIOSYSTEMS 社

下記フィードバックは、
千葉大学真菌医学研究センター 真菌症研究部門分野 微生物資源分野 高橋弘喜様
千葉大学大学院医学研究院 皮膚科学 松岡悠美様
千葉大学大学院薬学研究院 微生物薬品化学 高屋明子様の御厚意により掲載させていただきました。

背景

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、ヒトや動物の皮膚、消化管に存在する細菌の1つです。これらの菌のゲノム配列を解析することは、病原性を高める遺伝子変異などの解明や、抗生物質耐性菌の解析に有用です。
当研究室では、これらの黄色ブドウ球菌の細菌ゲノムの次世代シーケンスをする際に、短期間で非常に多くの検体数を解析する必要がありました。
そこで、断片化処理から1チューブ中でライブラリ作製可能であるKAPA HyperPlus Kitを用いることにより、短期間で非常に多くの検体を解析した一例をご紹介します。

実験条件

●サンプルDNA
 生物種              : 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
 サンプルの精製キット       : NucleoSpin Tissue(MACHREY-NAGEL, TaKaRa・ #740952.250)
 Input DNA量            : 250 ngまたは100 ng  
 Input DNAバッファー組成 : 5mM Tris/HCl, pH 8.5でeluteしたDNAを、10mM Tris/HCl pH 8.5(illuminaのResuspension Buffer)で一定濃度に希釈
<断片化条件> 
 ・反応温度                         : 37℃ 
 ・反応時間               :13 min
 ・Target size       :500-800 bp
 アダプターの濃度               :15uM
 PCRサイクル数                  :5サイクル(250 ng)または6サイクル(100 ng)

【黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のイメージ図】

多検体サンプルのライブラリ作製方法

【KAPA HyperPlus Kit】
dsDNA sample (35uL)
     ↓
(KAPA Frag酵素によるDNAの断片化)
Enzymatic Fragmentation (50uL) 5‐40min. at 37℃ Transfer to 4℃
     ↓
End Repair and A‐tailing (60uL) 30min. at 65℃
     ↓
Adapter Ligation (110uL) 15min. at 20℃
     ↓
Post‐ligation Cleanup (198uL) 0.8x SPRI
     ↓
Library Amplification (50uL)
     ↓
Post‐amplification Cleanup (100uL) 1xSPRI
     ↓
Qubit 3.0 Fluorometer(ThermoFisher Scientific・Q33216)により濃度を測定
     ↓
Bioanalyzer によるサイズ確認
     ↓
<多検体サンプルのサイズセレクション>
*24サンプルの濃度をそれぞれ測定し、同一濃度に揃えた上で、混合して電気泳動を行った

<電気泳動によるサイズセレクション Target size:550-650bp>

濃度調製後、24 サンプルの混合
     ↓

   ゲル抽出
     ↓
【KAPA Library Quantification Kit】
Qubit とリアルタイムPCR により濃度測定
     ↓
illumina MiSeq でNGS 解析

KAPA HyperPlus Kit の特徴
◆ 断片化装置フリー
◆ 約2.5 時間での “DNA 断片化とライブラリー調製”
◆ 1ng ~ 1μg で自在のDNA サンプルインプット量
◆ 限界まで減らしたビーズ精製ステップ
◆ PCR フリーのワークフローが可能に
◆ 増幅バイアスの低減でシークエンスカバー率を向上
◆ 自動化に最適

 

KAPA Library Quantification Kit の特徴
◆ 次世代DNA シーケンシングと次世代エンジニアqPCR用酵素の融合
◆ 信頼性の高い定量化法(qPCR 法)により画期的な効率改善が得られます。
◆ GC,ATリッチでも安定した結果をもたらします。
◆ ロット間差を最小限に抑えたバリデーション済みDNA定量スタンダードが希釈済みで添付されています。
◆ 他の方法では得られない再現性
◆ コストと細心の注意を払って調整されたライブラリに最適なクラスター定量手法です。

ライブラリ作製後のBioanalyzerによるサイズ確認の結果

目的サイズのライブラリが調製できていることが確認できました。
※ただし、Y 字アダプター(120bp) を付加しているため、大きめのサイズの位置にピークが確認されました。
また、目的のサイズよりも大きい位置にピークが見られたサンプルもありましたが、本結果は、Bioanalyzer がテーリングを生じた結果であると考えられます。

ライブラリの評価

<FASTQC データ>
Per base sequence quality

Per base sequence content


(リード長:292.7138)               

  
(リード長:294.0939)

お客様のコメント

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細菌ゲノムの次世代シーケンスをする際に、短期間で非常に多くの検体数(500)を解析する必要があったため、酵素による断片化試薬が含まれており、1チューブでライブラリ作製が可能である本試薬を試しました。
KAPA HyperPlus Kit は、他社ライブラリキットと比較した結果、断片化バイアスが低減し、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のゲノム解析に十分なデータを得ることができました。

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