ロボットアームによるハンドリングに最適

熱膨張とサンプル蒸発を抑え、試薬のコストが削減可能に。FrameStar® 製品の魅力について、ご紹介いたします。
サンプル依頼も承りますので、ご興味のあるお客様はぜひ一度お試しください。

FrameStar® とは？

ポリカーボネート製の『丈夫なフレーム』とポリプロピレン製の『肉薄なウェル』を組み合わせて成型しています。
FrameStar® is trademark of Azenta US, Inc.　
Azenta US, Inc. recognizes that designated trademarks and brands are the property of their respective owners.

FrameStar® 特長1　熱膨張とサンプル蒸発を抑える

標準的なPCRプレートにおける熱膨張とサンプル蒸発

PP（ポリプロピレン）はPCRチューブに最適な材料です。最も効率的な熱伝達を行うとともに、核酸、タンパク質およびその他の分子に対する結合能が低く、不活性な表面となっています。しかし、この物質はプレート形式では熱的に安定ではなく、各PCRサイクルの間に膨張および収縮を起こします（図1）。

このような熱膨張は、プレートとシールの密閉性を弱め、主にコーナーウェルおよび外側に近い列からサンプルの蒸発をもたらします。サーマルサイクラーのブロックはPCRプレートの熱膨張を防止できません。PCRブロックは側面からPCRプレート（枠）をサポートしているわけでないため、サーマルブロックと加熱された蓋（リッド）からの高温によってプレートの膨張が加速されてしまいます（図2）。

一つの素材（PP）による一体型のプレートからの蒸発は、外側のウェルで最も高くなります。一体型PPプレートのウェルの熱膨張および移動は、プレートの縁の周囲部で促進されるため（図１参照）、蒸発はプレート外側のウェル2列が最も高くなります。

図3 は、PPプレート上の異なるエリア別のサンプル蒸発のレベルを示しています。一体型PP 96ウェルプレートの内側32ウェル（緑色部分）では低いレベルの蒸発を示していますが、ウェルの約65%に及ぶ外側の2列（黄、赤色部分）からの蒸発によるサンプルロスは高くなってしまいます。

FrameStar® PCRプレートにおける熱膨張とサンプル蒸発

FrameStar® 2コンポーネント（2種類の素材を用いる）テクノロジーにより、熱膨張とサンプル蒸発を抑えます。FrameStar®プレートのポリカーボネート製フレーム（外側の枠）は、標準の一つの素材による一体型PPプレートよりも耐熱性が著しく高く、熱膨張を最小限に抑えます。このため、PCR中の高温でもシールの完全性（プレートとシールの密着性）は損なわれません。

実証データ

一つの素材による一体型PPプレートとFrameStar® PCRプレートからの蒸発を比較

＜方法＞
ノンスカート96ウェルプレート（一体型PP）およびFrameStar® ノンスカート96ウェルプレート（4ti-0710）の各ウェルに10 µLのH2Oを添加。
プレートをqPCRシール（4ti-0560）で密封し、プレートの重量をPCR （条件：95℃ 15秒、55℃ 15秒、30サイクル）実施前後に測定

＜結果＞
表1に示すように、一体型PPプレートからの平均容積損失はウェルあたり2.3 µLであり、これは全反応容量の23%に相当します。　
対照的に、FrameStar® プレートからの容積損失は、qPCRシールを用いた場合、ウェルあたりわずか0.49 µLでした。
一体型PPプレートは、FrameStar® プレートよりも 4倍以上の体積損失を示しました。

総容量損失の算出：
FrameStar® プレート 0.49 µL×96 = 47.04 µL
一体型 PP プレート 2.3 µL×96 = 220.80 µL

表1
96ウェル PCRプレートからの重量と体積の損失を示す（各プレートタイプ5枚の平均値）

プレートタイプ	FrameStar® プレート（4ti-0710）	一体型 PP プレート
開始時の重量	26.678 g	17.807 g
PCR 後の重量	26.631 g	17.586 g
重量減少	0.047 g	0.221 g
総容量損失：プレート全体 / ウェル	47 µL / 0.49 µL	221 µL / 2.3 µL

FrameStar® 特長2　アッセイ容量と試薬コストの削減が可能

FrameStar® プレートを使用すると、シールの完全性が大幅に向上するため、反応容量を減らすことができます。
このような実験量の削減は、アッセイ感度や一貫性を損なうことなく実施することができ、さらに試薬の節約にもつながります。
ヒートシールされた FrameStar® プレート内の 15 µL および 25 µL SYBR Green アッセイで、同等のCt 値と平均偏差が得られました。
よって、反応量を減らしてもアッセイに影響はなく、試薬を減らせることからコスト削減につながります。（図4）