第五十二回 天高く馬も人も

東大名誉教授・塩田邦郎先生コラム「エピジェネティクスの交差点」
塩田 邦郎 先生のご紹介

東京大学名誉教授

1979年より製薬会社中央研究所、1987年より現在まで東京大学(農学生命科学研究科)、2016年から2020年まで早稲田大学にて研究されてきた。素朴な生物学の影を残した時代から、全生物のゲノム情報を含む生命科学の基礎と産業応用の飛躍の時代になった。本コラムでは大学や企業での経験も交えながら、専門分野のエピジェネティクスを含めた自由な展開をお願いしました。


第五十二回 天高く馬も人も

 

 天高く馬肥ゆる秋、澄み切った青空のもと、散歩をしていると、保育士らしき外国人と子どもたちがキャーキャーとはしゃぎながら公園に向かう列に出会った。英語で接するキッズ・スクール(保育園や幼稚園)の幼児たちだ。

 今や英語はビジネスにとって不可欠で、昇進に英語能力検定を導入する動きや、文書や会議を英語にしようとする企業すら現れた。幼児期から英語に親しませようと、我が子の将来を考える親心がキッズ・スクール隆盛の背景にある。

 ハゲタカ・ファンドが話題になり企業買収防衛対策“ポイズン・ピル(Poison Pill)”などの言葉が生まれた時代、“毒饅頭”と記した同期入社のY氏の話だ(第8回コラム)。研究現場から開発・企画などへ立場が変わるにつれ外国人との仕事の機会が増え「英語はかなわん、もう会社辞める!」とさっさと退社した。現在はその頃よりも多くの企業で英語圧力がさらに増しているように思う。

 多くの人が経験することだが大人になってからでは外国語の習得には苦労する。中学から高校の6年間もの英語の授業を受けても、なかなか日本語のようには身につかない。そこで小学校からの英語教育が始まったのだが、専門教員も不足し現場は混乱している。その結果、むしろ英語嫌いの子どもを増やしているのではないか? との批判もある。

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