日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?
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アプリケーションノート 2018<18> |
下記のデータは、静岡県立大学 栄養生理学研究室 本間一江様のご厚意により掲載させていただきました。
検討の背景
ラットの腸間膜脂肪組織から抽出したRNAを用いて発現定量解析を行ってきました。FastGene™ Scriptase Ⅱ cDNA Synthesis(NE-LS63) からcDNAの合成を行いましたが、酵素の添加ステップや、RNAの高次構造を解くステップに対して、若干操作上の手間を感じていました。
今回、qPCR用に特化されたFastGene™ Scriptase Ⅱ Master Mix(5X)(NE-LS64)を使用したところ、必要な試薬類がすでに混合されており、また操作のステップも少ない分、簡便に使用することが出来ました。
実験
未処置のControlラットとSTZ(※)を投与した糖尿病モデルラットを用いた。
A:Control 8 匹 ※ STZ:ストレプトゾシン RNA抽出: QIAGEN RNeasy(74104) |
サンプルによってRNA 濃度が違うため、400 ng となるように添加した。 |
実験結果
qPCR結果
● Cq値
ターゲット遺伝子:Adiponectin
リファレンス遺伝子:TF2B
Rat | Cq値 | Rat | Cq値 | |||||
Adiponectin | TF2B | Adiponectin | TF2B | |||||
ラットA Control |
A1 | 26.01 | 33.87 | ラットB 糖尿病モデル |
B1 | 30.72 | 34.23 | |
A2 | 23.63 | 30.80 | B2 | 29.60 | 33.60 | |||
A3 | 24.76 | 29.95 | B3 | 27.39 | 32.82 | |||
A4 | 29.38 | 36.80 | B4 | 27.64 | 33.04 | |||
A5 | 27.62 | 34.04 | B5 | 34.10 | 39.83 | |||
A6 | 26.16 | 31.90 | B6 | 25.53 | 31.70 | |||
A7 | 23.70 | 30.69 | B7 | 31.62 | 37.57 | |||
A8 | 23.41 | 30.76 |
ダウンストリームアプリケーションに合わせて、適切なプライマーを選択してください。
⇒ 本資料使用の製品であるMaster Mixタイプは、ランダムプライマーが含まれています。
⇒ ScriptaseⅡは、プライマーを選択できる、酵素のみ(NE-LS53), cDNA合成キット(NE-LS63)もございます。
【各プライマーの特長】
● ランダムプライマー:
ランダムな塩基配列を持った短鎖のプライマー。
例えばランダムヘキサマーの場合、理論上4,096 種類のプライマーが含まれる。反応液に含まれるRNAを様々な位置から網羅的に逆転写できるため、遺伝子の発現定量を目的とする場合に効果的である。この場合、 ポリAテールを持たない原核生物由来のmRNAや、二次構造を持つRNAでも効果的に逆転写することが可能となる。 一方、真核生物由来のmRNAにおいて、ポリAテール側から完全長cDNAをクローニングするような場合には適さない。
● oligo dT プライマー:
ポリA配列にアニーリングするプライマー。(例:真核生物由来のmRNAのポリAテールなど)
このため、主に真核生物由来のmRNAの完全長のcDNA合成に用いる。
また、真核生物の遺伝子の発現定量を目的とする場合に、ランダムプライマーに混合して使用すると、逆転写効率の向上が期待できる。
● 特異的プライマー:
ターゲットのRNA配列に基づいて、設計されたプライマー。
特定の遺伝子のみを検出する場合や、高い特異性が必要な場合に用いる。
- こちらのアプリケーションノートのPDFダウンロード : こちら
- 製品情報詳細ページ: FastGene™ Scriptase Ⅱ
- アプリケーションノート検索ページ(型番・キーワード・アプリケーションから検索可能)
今回は60 minインキュベートさせましたが、短時間でも十分反応することが示されているので、今後使用する時には、より作業時間を短縮することができると期待しています。