【お客様事例】精製RNAへの「DNAのコンタミネーション」を 極力抑制できるRNA抽出キットの比較評価

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アプリケーションノート 2018<17>
製品名:FastGene™ RNA Premium Kit(FG-81050, FG-81250)
メーカー名:日本ジェネティクス株式会社

下記のデータは、国立研究開発法人 理化学研究所 生命機能科学研究センター 細胞システム分野
細胞極性統御研究チーム 有吉 哲郎 様のご厚意により掲載させていただきました。

背景

RNAの発現定量解析を行っているが、「qPCRプライマーの設計ではゲノムDNAの検出を回避する手法が使えない」実験を行っているため、精製RNAへの「DNAのコンタミネーション」を極力抑えることのできるRNA抽出キットの検討が必要となった。
今回は、標準プロトコールとして「溶出した高純度RNA溶液中でのDNaseⅠ処理」を採用し、高いDNA除去効率が期待できるFastGene™ RNA Premium Kitについて、「オンカラムでDNase I 処理」を標準プロトコールとする市販RNA抽出キットと比較評価した。
評価方法としては、「逆転写酵素の添加なし(RT enzymeなし)」の反応条件において、「qPCRで残留ゲノムDNAによる増幅が認められるか」について検証した。

方法

2 種類のRNA抽出キットで抽出したRNAを用い、「逆転写酵素処理を行った場合」と「逆転写反応を行わなかった場合」それぞれqPCRを実施し、その増幅曲線を比較した。

1. 初発サンプルの種類と量(1prepあたり)
  動物細胞(HEK293T 5×10^5 cells)
2. 比較したRNA抽出キット
  FastGene™ RNA Premium Kit(FG-81050) :溶出した高純度RNA溶液中でのDNaseⅠ処理
  P社RNA抽出キット             :オンカラムでDNase I 処理
3. RNA抽出時の最終溶出バッファー量
  30 μL
4. 逆転写およびqPCR反応試薬(ワンステップRT-qPCRマスターミックス)
  TaKaRa One Step TB Green PrimeScript PLUS RT-PCR Kit(RR096A)
5. RNAのインプット量
  Total RNA 60 ng
6. 逆転写反応の組成および反応プログラム

ワンステップRT-qPCR反応組成(「RT enzymeあり」の条件)

 2×RT-qPCR Buffer       3.75 μL
 qPCR酵素ミックス    0.45 μL
 (注)逆転写酵素ミックス  0.15 μL
 Target specific Primer        0.15 μL(終濃度 0.5 μM)
 total RNA                           3.00 μL(60 ng)              
 Total                                     7.5 μL

(注)「RT enzyme なし」の条件では、逆転写酵素ミックス0.15 μL の代わりにRNase free dH2O 0.15 μL を添加した。

反応プログラム

 42℃   5min
 95℃   10sec
 95℃   10sec  ×50サイクル
 60℃   30sec
 *融解曲線分析は装置の推奨設定どおり

7. 使用したqPCR装置
LightCycler96(ロシュ社)

「RT enzymeなし」の条件で増幅が認められた場合、RNAサンプル中にゲノムDNAが残留している可能性が示唆される。

結果

qPCR における増幅曲線の比較(プライマー:PGK1)

FastGene™ RNA Premium Kitを用いて精製した RNA からはゲノムDNA のコンタミネーションに由来するシグナルがほとんど検出されなかった。

お客様のコメント
RNAの発現定量解析を行っていますが、「qPCRプライマーの設計ではゲノムDNAの検出を回避する手法が使えない」実験を行っているため、精製したRNAへのDNAのコンタミを極力抑えることのできる抽出キットを探していました。
FastGene™ RNA Premium Kit を用いて精製したRNAではDNAのコンタミに由来するシグナルがほとんど検出されず、他社製品を用いてRNAを精製した場合に比べ発現RNA量をより正確に定量することができました。
ジャンクションを挟んだプライマー設計ができない場合などDNAの混入を極力抑える必要のある実験において強い威力を発揮する製品です。

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