【お客様事例】培養細胞における対象遺伝子の発現解析を目的とした逆転写酵素製品の比較評価

日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?

  • 当社製品を実際にご使用頂いた、正真正銘、日本国内の研究者様による評価データ
  • 製品をご検討中の方はもちろん、すでにお使いのお客様におかれましても、類似の研究をされている他の研究者の方の事例集としてご活用頂けます

アプリケーション検索専用ページはこちら


アプリケーションノート 2019<04>
製品名:FastGene™ ScriptaseⅡ Master Mix(5X)(NE-LS64)
メーカー名:日本ジェネティクス株式会社

下記のデータは、京都大学のお客様のご厚意により掲載させて頂きました。

概要

培養細胞における対象遺伝子の発現解析を目的とした逆転写酵素製品について、マスターミックスタイプのFastGene™ ScriptaseⅡ Master Mix(5X)(NE-LS64)を評価するため、現状品の他社「ツーステップRT-qPCR用cDNA合成キット」と比較検討を行った。
逆転写反応条件は現状のプログラムをそのまま使用し、得られたcDNAを用いて、ダウンストリームアプリケーションとしてqPCRで評価を行った。

方法(逆転写反応)

用いたRNAサンプル: MEF 細胞(マウス胎児線維芽細胞)より回収したRNA、または同RNAを水で10000 倍希釈したもの

比較した逆転写キット:
① FastGene™ Scriptase II Master Mix(random primer 含有)
② Th社 cDNA合成キット(現状品) ※ツーステップRT-qPCR用キット(random primer 含有)

反応組成:
① FastGene™ Scriptase II Master Mix
Sample RNA              14 μL
FastGene™ Scriptase II Master Mix      4 μL
dH2O                    2 μL ※
total                  20 μL
※今回の検討では、現状品のキット②の反応組成に使用したものと同じSample RNA溶液を用いたため、dH2Oを別途で添加した

② Th社 cDNA合成キット(現状品)
Sample RNA              14 μL
5 x reaction mix              4 μL
10 x enzyme mix               2 μL 
total                  20 μL

反応条件
25℃   10 min
42℃   60 min
85℃     5 min
  4℃         hold
※ 両キットとも、Th社 cDNA合成キット(現状品)の反応条件を用いた。

ダウンストリームアプリケーション:
 SYBR Green Iマスターミックス(試薬)を用いたqPCR
 使用装置:StepOnePlus™(Thermo Fisher Scientific社)

FastGene™ Scriptase Ⅱ シリーズ

逆転写酵素MMuLVに変異を加え、「熱安定性を向上」し、「RNaseH活性を抑制」したFastGene™ Scriptase II 逆転写酵素が採用されています。 これにより、クローニングを目的とした長鎖cDNA合成や、RT-qPCR、NGSなど、より複雑なアプリケーションに適用可能です。 以下の3つのタイプからお選びいただけます。 
• FastGene™ Scriptase II 逆転写酵素(NE-LS53)  
• FastGene™ Scriptase II cDNA合成キット(NE-LS63)
• FastGene™ Scriptase II Master Mix(NE-LS64) 注:RT-qPCR用

FastGene™ Scriptase Ⅱ Master Mix(5X)(NE-LS64)

「qPCRによる遺伝子の発現定量」用にリリースされた「ランダムプライマーを含む逆転写反応Master Mix」です。
特に「qPCRによる遺伝子の発現定量」では多検体を処理しなければならないケースが多くなりますが、 本製品はMaster Mixタイプなので、多検体の分注操作の手間を減らすことができます。

結果

遺伝子発現量 逆転写キット サンプル Cт Mean Cт SD Tm1
High Scriptase II 1 8.35 8.36 0.01 85.26
2 8.37 85.26
Th社キット 1 8.54 8.45 0.12 85.26
2 8.37 85.26
Middle Scriptase II 1 20.14 20.11 0.05 86.45
2 20.07 86.45
Th社キット 1 19.81 19.84 0.04 86.60
2 19.86 86.45
Low Scriptase II 1 28.38 28.40 0.03 83.49
2 28.42 83.49
Th社キット 1 29.90 29.75 0.21 83.49
2 29.60 83.49
Middle
10000 倍希釈
Scriptase II 1 34.66 34.22 0.63 86.60
2 33.78 86.45
Th社キット 1 33.71 35.36 2.33 76.47
2 37.01 80.79
• 対象遺伝子の説明:
High: 高発現する遺伝子
Middle: 中程度発現する遺伝子
Low: 低発現の遺伝子
• qPCRの各測定は同一サンプルをduplicateで行った。
 
●両キットとも、現状品のTh社 キットの逆転写反応プログラムを用いた。同一条件で逆転写反応を行い、そのcDNAを用いたqPCRの結果を比較した。その結果、両キットともに、ほぼ同等の増幅曲線が得られていることから、FastGene™ ScriptaseII Master Mixを現状品の条件で使用した場合でも、安定して逆転写反応が行われたと判断された。
●Middle(原液)を10000倍希釈して逆転写したものでは、原液よりも約13.3サイクル後ろで立ち上がることが予測されるが、実験結果としてそれがはっきりと確認できたのはFastGene™ Scriptase II Master Mixであった。
お客様のコメント
従来までMasterMixタイプの製品を扱っていなかったため、その点はとても扱いやすかった。また、低発現遺伝子のRNAの逆転写効率が、従来まで用いていた製品よりも高い印象があった。

質問してみる!

「?」と思ったらすぐ解決。
どんな小さなことでもお気軽に。
ご意見・ご感想もお待ちしています。

WEB会員

記事の更新情報を受け取りたい方はコチラ

WEB会員 登録フォームへ

GeneF@N とは?