日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?
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下記のデータは、岐阜大学大学院 自然科学技術研究科 溝口 桃加 様、竹森 洋 様より情報をご提供いただきました。
概要
糞便サンプルからDNA抽出を行う場合、糞便中に含まれる様々な菌からDNAを回収できることが重要です。特に細胞壁を有する微生物には、菌体を破砕する方法が非常に重要であるため、各社至適化された専用の試薬キットやガラスビーズ等を用いて処理が行われます。
本アプリケーションノートでは、専用の試薬キットとは異なるFastGeneエクストラクションキットを用いることで、WTマウス(C57BL/6J)と炎症性腸疾患マウス(C57BL/6J Ru2/Ru2 下痢発症)1の糞便から、安価で簡便にDNAを精製することができた事例となります。
精製できたDNAを用いて、腸内細菌に含まれるFirmicutesの量について検証を行いました。
方法
①DNA精製
サンプル | ||
WT | : | ワイルドタイプマウス C57BL/6J(日本エスエルシー株式会社) |
diarrhea | : | 炎症性腸疾患マウス C57BL/6J Ru2/Ru2 (岐阜大学) 上記2種のマウスの新鮮便(Fresh)と、回収して1時間後の糞便(Not Fresh)の2種類を用いた |
試薬 | : | FastGene Gel/PCR エクストラクションキット(FastGene) |
②PCR:腸内細菌FirmicutesファミリーのリボゾームRNA遺伝子を増幅
試薬: Expand High Fidelity PCR System
(Roche,Cat.No.11732641001/11732650001/11759078001)
- 反応液組成
Template DNA(30 ng/μL) 1.0 μL Expand High Fidelity Enzyme mix 0.2 μL Expand High Fidelity Buffer(10×)with 15 mM MgCl2 2.5 μL Primer-F(10 pmol/μL) 0.5 μL Primer-R(10 pmol/μL) 0.5 μL dNTP mix(2 mM) 2.5 μL DW 17.8 μL Total 25.0 μL - PCR条件
- 使用プライマー 2
増幅サイズ:126 bp
Primer-F:(Firm934F),GGAGYATGTGGTTTAATTCGAAGCA
Primer-R:(Firm1060R),AGCTGACGACAACCATGCAC
結果
①各サンプルのDNA収量と精製度
使用糞便量 | DNA収量 | A260値 | A280値 | A260 /A280 | |
---|---|---|---|---|---|
Fresh (WT) |
約100 mg | 8.509 μg | 1.702 | 1.146 | 1.48 |
Fresh (diarrhea) |
約100 mg | 2.886 μg | 0.577 | 0.406 | 1.42 |
Not Fresh (WT) |
約50 mg | 14.330 μg | 2.866 | 2.059 | 1.39 |
Not Fresh (diarrhea) |
約50 mg | 7.016 μg | 1.403 | 0.977 | 1.44 |
②等量の精製したDNA中に含まれるFirmicutesの量
- Gel/PCR エクストラクションキットを用いて、糞便からDNA精製を行い、腸内細菌に含まれるFirmicutesの量について検証することができた。
- 炎症性腸疾患マウスでは、細菌叢の変化により、 Firmicutesの割合が低いことが示唆された。
- 新鮮便と一定時間が経過した糞便では、新鮮便の方がPCRの増幅効率が高いため、新鮮便を用いて実験するのが望ましい。
参考文献
1:Simple chronic colitis model using hypopigmented mice with a Hermansky-Pudlak syndrome 5 gene mutation. Itoh Y, Nagaoka Y, Katakura Y, Kawahara H, Takemori H.
Pigment Cell Melanoma Res. 2016, 29: 578-582
2:Mouse Model of Metformin-Induced Diarrhea.
Takemori H, Hamamoto A, Isogawa K Ito M, Takagi M, Morino H, MIura T, Oshida K, Shibata T
BMJ Open Diabetes Res Care. 2020, 8:1
糞便からのDNA精製に関しましては、弊社ではサポートさせていただくことはできませんが、お客様の使用事例として、ご紹介いたします。
この記事で紹介した製品
- こちらのアプリケーションノートのPDFダウンロード:こちら
- 製品情報詳細ページ:Gel/PCR エクストラクションキット(Cat.No.FG-94602、FG-91202、FG-91302)
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