【お客様事例】モバイルリアルタイムPCR装置を用いたカンピロバクターの迅速検出(PCR法と培養法の比較試験)

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アプリケーションノート 2020<09>
製品名:モバイル リアルタイムPCR装置PicoGene® (Cat.No.PCR1100)
メーカー名:日本板硝子株式会社

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下記データは、食肉加工会社のお客様のご厚意により掲載させていただきました。

背景

カンピロバクター食中毒は、わが国で発生している細菌性食中毒の中で、近年、発生件数が最も多く、年間およそ300件、2,000人程度の患者が報告されている。そのため、こちらの食肉加工会社では、定期的にカンピロバクターの検査を実施している。
カンピロバクターの検出方法は、通常培養法で行われるが、判定結果が出るまでおよそ1週間から10日かかる。
一方PCR法を用いれば、約20分という速さで判定結果を得ることが可能である。

目的

モバイルリアルタイムPCR装置を用いた、カンピロバクターの迅速検出法の正確性を、従来の培養法と比較する。

試験方法

通常の検査では、生肉サンプルを用いて行うが、今回はカンピロバクター汚染率の極めて高い鳥盲腸便を用いて、PCR法および培養法で検査を行った。

サンプル採取について
内臓一式(食道から総排泄口まで)を採材した。盲腸の先端を火炎滅菌した後に、滅菌したはさみで先端を切り落とし、切り落とした部分から盲腸便をシャーレに取り出した。
取り出した盲腸便をPBSで1,000倍希釈し、これをPCR法、培養法の各試験の検体とした。

PCR法

使用機器 :モバイル型リアルタイムPCR装置(PicoGene® PCR1100)
試薬:カンピロバクター属菌検出用キット(準備中)、日本板硝子

(1日目)
検体5 μLを、カンピロバクター属菌検出用キットのチューブに添加
(キットには、試験に必要な酵素、プライマー、プローブなどが混合されている)
 ↓
検体を入れたキットのチューブから、ピペットで混合液を18 μL吸い取り、
測定用チップへ注入
 ↓
測定用チップをPCR1100 にセットし、測定を実施
<PCR測定条件>

 
※試薬調製に約5分、判定結果が出るまで約20分

培養法

(1日目)
前培養:プレストン培地 42℃ 24時間 微好気培養
 ↓
(2日目)
選択増菌培地:バツラー寒天培地 42℃ 48時間 微好気培養
 ↓
(4日目)
典型的なコロニーを検鏡し、らせん状桿菌をカンピロバクター推定陽性とする
純培養:血液寒天培地 42℃ 48時間 微好気培養
 ↓  
(6日目以降)
確認試験:
① オキシダーゼ試験、② カタラーゼ試験、③ 好気培養、
④ 25℃発育試験、⑤ 馬尿酸塩加水分解試験を実施
 ①(+)、②(+)、③(-)、④(-)でカンピロバクター陽性
 ⑤(+)で、C.jejuni、(-)で、C.Coli と型判別を実施

※判定結果が出るまで約1週間

結果

5 検体の検査結果(PCR法と培養法)

  PCR法 培養法
検体①
検体②
検体③
検体④
検体⑤
+陽性
-陰性
両手法で、すべて同じ結果であった
 
 
(検体④の場合)
PCR法
〈PCR1100 本体の画面〉

Ct値:32.0
〈PCでのデータ解析〉

陽性と判定
培養法

プレストン培地で培養後、バツラー選択増菌培地で培養


コロニーの検出および4つの確認試験の結果で、陽性と判断

 

まとめ

• 今回の試験では、PCR法と培養法で同様の結果が得られた(全5 検体)。
• 今後も継続的な検討を行い、PCR法と従来の培養法とで同様の結果が得られるか検討が必要

お客様のコメント
PCR法は、検出までの時間が20分とかなり早く、迅速な検査方法として非常に有用に感じました。
今回試験した盲腸便の検体では、濁りがあり100倍希釈まではエラーが出て測定ができませんでしたが、1,000倍希釈する事で測定が可能になりました。
検出感度が良いので、検体を1,000倍希釈しても培養法と同様に陽性判定を確認できました。1,000倍希釈した検体5 μLの中にどのくらいの菌数がいて検出できたかは、今回の試験では分かりませんでしたが、検出に必要な菌数が分かれば、今後の色々な試験の参考になると感じました。
 

資料:モバイルリアルタイムPCR装置を用いたカンピロバクターの迅速検出

 

生肉サンプルの場合

● 用意するもの

機器:
モバイル型リアルタイムPCR装置(PicoGene®PCR1100)
測定用チップ MCP1100
試薬:
カンピロバクター属菌検出用キット(準備中)、日本板硝子
その他:
解析用PC(WINDOWS OS)
ストマッカー一式
生肉を小片化するハサミ、またはナイフ、生理食塩水、ピペット、チップ(すべて滅菌済み)

サンプルの前処理

生肉サンプル(25 g)を小片に刻む
 ↓
小片化したサンプル(25 g)を、滅菌生理食塩水(225 mL)に入れ、ストマッカーで処理を行う
 ↓ 
ストマッカー処理液から5 μLをピペットで吸い出し、測定用サンプルとする
*サンプル採取の際に、固形物を吸わないように注意

盲腸便の場合

● 用意するもの

機器:
モバイル型リアルタイムPCR装置(PicoGene®PCR1100)
測定用チップ MCP1100
試薬:
カンピロバクター属菌検出用キット(準備中)、日本板硝子
その他:
解析用PC(WINDOWS OS)
はさみ、シャーレ、ピペット、チップ、PBS(すべて滅菌済み)

サンプルの前処理

内臓一式(食道から総排泄口まで)を採材
 ↓
盲腸の先端を火炎滅菌した後に、滅菌したはさみで先端を切り落とし、切り落とした部分から盲腸便をシャーレに取り出す
 ↓
取り出した盲腸便をPBSで1,000倍希釈し、5 μLをピペットで吸い出し、測定用サンプルとする

測定サンプルの調製

検体5 μLを、カンピロバクター属菌検出用キットのチューブに添加
(キットには、試験に必要な酵素、プライマー、プローブなどが混合されている)
 ↓ 
検体を入れたキットのチューブから、ピペットで混合液を18 μL吸い取り、測定用チップへ注入

 

PCR1100の測定

測定用チップをPCR1100 にセットし、プログラムを選び測定を実施
<PCR測定条件>

 ↓
測定画面に「測定結果」が表示されたら完了

(注意)PCR1100 にて送液エラーが出た場合
    測定サンプルを5倍希釈し、再度実施
    ※5倍希釈方法:5 μLのサンプルに、水(PCRグレード)を20 μL加える

 

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