日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?
- 当社製品を実際にご使用頂いた、正真正銘、日本国内の研究者様による評価データ
- 製品をご検討中の方はもちろん、すでにお使いのお客様におかれましても、類似の研究をされている他の研究者の方の事例集としてご活用頂けます
アプリケーション検索専用ページはこちら
製品名:KAPA3G Plant PCR Kit
(Cat.No. KK7251(250回用), KK7252(500回用), 08041091001(1000回用))
メーカー名:KAPA BIOSYSTEMS
下記のデータは、東京医科大学 生化学 森谷 昇太 様のご厚意により掲載させていただきました。
実験概要
クルードなサンプルから抽出を行わずに、ダイレクトにPCRを行うことは、手順の簡便化にもつながり、非常に有用な手段です。
しかし、クルードなサンプルは、PCR阻害物質を含むことが多く、アプリケーションとしての難易度は高くなります。
阻害物質への耐性が非常に高いKAPA3G Plant PCR Kitにてクルードかつ微量なヒト爪サンプルにて、ダイレクトPCRが行えるかを検証しました。
*本PCR酵素は、植物など、PCR阻害物質(ポリフェノールや多糖類など)を大量に含むサンプル用に開発された酵素です。
PCR条件
〈サンプル〉
- ダイレクト
- アルカリ抽出
- カラム精製
ダイレクトPCRはヒト爪を米粒1/3程度、アルカリ抽出とカラム精製はヒト爪を米粒程度を使用した。
※アルカリ処理は危険を伴うので、安全ゴーグルを着用して操作を行うこと。
ダイレクトPCR
KAPA3G Plant Kit 条件
● 反応試薬
以上の反応液にヒト爪(米粒1/3 程度の大きさ)を加えた
● PCR
他社 クルードサンプル対応酵素 条件
● 反応試薬
以上の反応液にヒト爪(米粒1/3 程度の大きさ)を加えた
● PCR 条件
プライマーはKAPA3G Plant PCR Kitで使用したヒトALDH2遺伝子と共通
アルカリ抽出・カラム精製
抽出操作をどの程度省略できるかを確認するために、ダイレクトPCRに加えて、下記の抽出条件でも検証を行った。
反応試薬に抽出液0.5μLを加える分、H2Oの液量を0.5μL減らし、Total液量を50.0μLとした。
その他の条件は、ダイレクトPCRの条件と同様
■ カラム精製(キアゲンカラム処理)
QIAGEN DNeasy Blood & Tissue Kit(Cat.No. 69581)を用いてヒト爪(米粒程度)から抽出を行った。
得られたgDNA溶液0.5μLをPCRに使用した。
結果
KAPA3G Plant PCR Kit を用いた場合、ダイレクトPCR で確認することができた。
*Ladder:FastGene™ DNA Ladder(NE-MWD100P)
KAPA3G Plant PCR Kitにて、ヒト爪からのダイレクトPCRを行った結果、増幅を確認することができた。
また、他社PCR酵素と比較試験を行った結果、KAPA3G Plant PCR Kitのほうが増幅効率が良い可能性が示唆された。
補足:ヒト爪からのダイレクトPCRの再現性の確認
ヒト爪からのダイレクトPCRの再現性を確認するために、β-globin遺伝子の増幅を試みた。
● 反応試薬
以上の反応液にヒト爪(米粒1/3 程度の大きさ)を加えた。
● PCR 条件
β-globin
F:5’-CAA CTT CAT CCA CGT TCA CC-3’
R:5’-GAA GAG CCA AGG ACA GGT AC-3’ 268bp
*Ladder:FastGene™ DNA Ladder(NE-MWD100P)
β-globin遺伝子についても増幅が認められた。
このため、本ダイレクトPCR法について、再現性が得られた。
この記事で紹介した製品
- こちらのアプリケーションノートのPDFダウンロード : こちら
- 製品情報詳細ページ: KAPA3G Plant PCR Kit
- アプリケーションノート検索ページ(型番・キーワード・アプリケーションから検索可能)
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、口腔内粘膜以外(感染リスクの低い検体)をサンプルとしたテーマを検討する必要性が生じました。
そこで、予備実験として、クルードなサンプルの増幅に定評がある日本ジェネティクスさんのKAPA3G Plant PCRKitを試してみたところ驚くべきことに、爪から直接、PCR増幅することに成功しました。
「Plant(植物)」という商品名ですが、実験動物のジェノタイピングなどにも幅広く活用できる可能性を感じました。
ダイレクトPCRに興味がある方は一度試されてみてはいかがでしょうか。