日本ジェネティクスのアプリケーションノートとは?
- 当社製品を実際にご使用頂いた、正真正銘、日本国内の研究者様による評価データ
- 製品をご検討中の方はもちろん、すでにお使いのお客様におかれましても、類似の研究をされている他の研究者の方の事例集としてご活用頂けます
アプリケーションノート検索専用ページはこちら
メーカー名:日本ジェネティクス株式会社
下記フィードバックは、東京大学大学院農業生命科学研究科 水圏生物科学専攻 魚病学研究室
善家孝介様のご厚意により掲載させて頂きました。
背景
当研究室では、魚類の疾病診断のために、疾病遺伝子をPCR法により増幅し、電気泳動により確認する方法を使用している。
精度の高い疾病の診断のためには、より正確な移動度で感度よくゲル画像を取る必要があるが、染色試薬やイルミネーターの組み合わせによっては、移動度に問題が生じたり、バックグラウンドが高くなり感度が十分に得られないことがあった。
そこで、エチジウムブロマイドとほぼ同等の方法で使用できる核酸染色試薬ミドリグリーンAdvanceを用いることにより、移動度の問題がなく使用できるかどうかを検討した。
さらに波長的に相性の良いUVを使用し、ゲル厚を調整することで、バックグラウンドが低くなり、感度が十分に得られるかどうかの検討を行った。
方法
■泳動条件
装置:Mupid exU
ゲル:1.0% agarose (NE-AG01, FastGene) in 0.5xTAE
泳動バッファー:0.5xTAE
電圧:100V
時間:30min
アガロースゲルの厚さ:0.5mm
アガロースゲルの大きさ:縦60mm 横110mm
アガロースゲルの容量:30mL
■サンプル
PCR産物:1.9kb(疾病の感染が疑われる)
2.0kb
■撮影条件
イルミネーター
UV transilluminator 302nm
Blue LED illuminator MAESTROGEN LB-16 UltraBright
LED transilluminator 470nm
撮影装置 FAS-Digi
撮影条件 F2.5
ISO3200
撮影スピード 1/10, 1/25, 1/50s
■染色
先染め:アガロース溶液100mL当たり5μLのミドリグリーンAdvanceを添加
後染め:泳動後、染色液(10μL ミドリグリーンAdvance in 100ml 0,5xTAE)中で20分ゲルを振とう
脱色なし
結果
ミドリグリーンAdvanceを用いて「先染め」および「後染め」を行ったゲルをUVで観察した結果が下記である。
ミドリグリーンAdvanceを用いて様々な条件でゲルを観察した結果が下記である。
■UV(302nm)
先染め | |||
後染め | |||
撮影スピード | 1/50 s | 1/25 s | 1/10 s |
■Blue LED(470nm)
先染め | |||
後染め | |||
撮影スピード | 1/50 s | 1/25 s | 1/10 s |
Blue LEDによる検出では、バックグラウンドの発光がやや強いため、UVによる検出と比較して感度が劣る可能性が示された。
詳しくは、技術資料2014〈04〉「Blue/Green LEDとミドリグリーンシリーズの有効性」を参考にしてください。
- こちらのアプリケーションノートのPDFダウンロード : こちら
- アプリケーションノート検索ページ(型番・キーワード・アプリケーションから検索可能)
ゲル自体を染色する方法を用いればこの問題は生じないのですが、エチジウムブロマイドは安全性の問題があり、これまでに試用した他のゲル染色試薬では感度に問題がありました。今回、ミドリグリーンAdvanceの使用により、移動度、感度共に問題のない泳動像を得ることができました。また、先染めを行えることから、実験時間の短縮にも繋がります。