日本ジェネティクスのテクニカルノートとは?
発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
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テクニカルノート2017<03> 評価製品:FastGene™ RNA Premium Kit(mini-elute column) |
目的
FastGene™ RNA Premium kitのmini-elute columnがRNAをどの程度の量まで濃縮できるか評価した。
背景
FastGene™ RNA Premium kit のgDNA除去ステップは、他社RNA精製キットと異なり、溶液中で行う反応です。これにより、ゲノムDNA除去効率は向上・安定しました。(Technical data sheet 2017〈02〉)
溶液中で酵素反応を行ったサンプルは、mini-elute columnを使用して精製しますが、弊社では、本精製時に溶液の液量を減らすことができれば、mini-elute columnを「濃縮カラム」としても使用できると考えました。
そこで、抽出したRNAサンプルをmini-elute columnを使用して精製・濃縮することにより、回収率・濃縮効率の性能評価を行いました。
実験条件
RNAインプット量 RNAインプットボリューム 溶出量 吸光度測定 |
:1 μg , 10 μg , 50 μg , 85 μg(n=3) :50 μL で統一 :10 μL (FastGene™ 最小量) 20 μL 50 μL (FastGene™ 標準量) :Implen NanoPhotometer P330 |
[ 評価ポイント] • 溶出容量 • 溶出濃度 • 回収率 |
ワークフロー
FastGene™ Premium Kit
• 培養細胞および組織等からのトータルRNA 精製キット • DNase I 酵素、プレフィルター、微量溶出容量カラム全てが入った新しいコンセプトのキット • DNA 感受性が極めて高いダウンストリームアプリケーションにおすすめ • 最適化したDNase I 処理ステップとFastGene™mini-elute column のテクノロジーを併用する事で、高純度で高品質なRNA 精製を保証 |
FastGene™ mini-elute column の推奨溶出量と溶出可能範囲
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結果
■ 溶出容量の結果
■ 溶出濃度の結果
RNAインプット量 : 1 μg | RNAインプット量 : 10 μg |
RNAインプット量 : 50 μg | RNAインプット量 : 85 μg |
最大濃縮濃度は、約3.1 μg/μLだった。この理由は、RNAの限界濃縮濃度とカラムのキャパシティーによるものであると考えられる。
■ 回収率の結果
回収率[%] | 溶出 RNA量[ng] インプット RNA量[ng] |
×100 |
RNAインプット量 : 1 μg | RNAインプット量 : 10 μg |
RNAインプット量 : 50 μg | RNAインプット量 : 85 μg |
20 μL溶出時の回収は、50 μL溶出と同様の比率だった。したがって、20 μL溶出はスタンダードプロトコルで使用できた。(10~50 μLが溶出可能範囲)
ラージインプットの際には、50 μLを使用する。(20~50 μLが溶出可能範囲)
[Conclusion] | RNAインプット量 : 1 μg | RNAインプット量 : 10 μg | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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RNAインプット量 : 50 μg | RNAインプット量 : 85 μg | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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より多くのRNAを溶出する際には、より多くの溶出量で溶出することが求められる。
20 μL溶出は、50 μL溶出と同様の傾向を示した。しかしながら、RNAインプット50 μg以上の場合、RNAの回収率は悪かった。
以上の結果により、より多くのRNAを溶出する際には、より多くの溶出量で溶出することが推奨されることがわかった。