日本ジェネティクスのテクニカルノートとは?
発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
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テクニカルノート2018<05> |
目的
FastGene™ 0.1 mL PCRチューブのリアルタイムPCRにおける性能を評価する。
評価方法
FastGene™ 0.1 mL PCRチューブの形状評価、リアルタイムPCR装置に用いた蒸発試験およびリアルタイムを実施した。
また、増幅曲線及び検量線の評価の結果から、Capの透明度等の違いによるリアルタイムPCR
の結果への影響を評価した。
<評価試験>
1.チューブの形状評価 2.蒸発試験 3.リアルタイムPCR試験
評価製品
① FastGene™ 0.1mL 8-Tube PCR チューブ(Cat.No.FG-018FC)
(FastGene™ CapEasy v2 対応)
② FastGene™ 0.1mL Single PCR チューブ(Cat.No.FG-011F)
③ FastGene™ 0.1mL 8-Tube WithCap PCR チューブ(Cat.No.FG-018WF)
1.チューブの形状評価
各チューブの形状が、問題なくリアルタイムPCR装置に使用できるかどうかを評価した。
● 使用装置:当社ラボ所有のリアルタイムPCR装置(StepOnePlus™(Thermo Fisher Scientific社))
● コントロールチューブ及びキャップ: Thermo Fisher Scientific社 MicroAmp™ Fast 8-Tube Strip, 0.1 mL(Cat.No.4358293)
Thermo Fisher Scientific社 MicroAmp™ Optical 8-Cap Strips(Cat.No.4323032)
各チューブの形状の違い
チューブと専用アダプター
今回使用した装置の専用アダプターには4か所の突起があり、この突起にチューブが当たる可能性があるため、装置にセットできるかを確認した。
③FastGene™ 0.1mL 8-Tube WithCap PCRチューブのみ、専用アダプターの突起に当たり、チューブとフタの接続部分が少し曲がったが、チューブの開閉には影響はなく、破損および液漏れもなかった。
2.蒸発試験
色素水を分注した各チューブを用いて、PCR試験を想定したプログラムによるランを実施し、蒸発による液量の変化を調べた。
試験手順
1)各チューブに、マルチチャンネルピペットを使用して20 μLずつ色素水を分注し、それぞれキャップを閉めた。
2)遠心機を用いてスピンダウンし、目視で確認した。
3)専用アダプターにセットした。
<チューブの配置>
チューブとプレートの圧力のかかり方を見るため、以下のように配置した。
4)当社ラボ所有のリアルタイムPCR装置本体にセットし、下記のプログラムでランを実施した。
プログラム
Step | Temp | Time | Cycle |
---|---|---|---|
Initial denaturation | 95℃ | 20 sec | ー |
Cycle Reaction | 95℃ | 3 sec | 40 cycles |
60℃ | 30 sec | ||
Melting Curve | 95℃ | 15 sec | ー |
60℃ | 1 min | ー | |
95℃ | 15 sec | ー |
5)ラン終了後、スピンダウンを行い、蒸発の有無を目視によりチェックした。
蒸発試験の結果
3.リアルタイムPCR試験
各チューブ自体のリアルタイムPCR試験の結果への影響を確認した。
試験条件
● 使用試薬 :KAPA SYBR Fast qPCRキット (Universal qPCRキット)
(Cat.No. KK4601)
● プライマー :Act-F1, Act-R1(10 μM) <beta-actin: 294bp amplicon>
Act-F1 : TCACCCACACTGTGCCCATCTACGA
Act-R1 : CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATGG
● PCRテンプレート :Roche 社 Human Genomic DNA(Cat.No. 11691112001)
希釈系列
a. 5 ng/μL( 1666.5 copies/μL)
b. 1 ng/μL
c. 0.2 ng/μL
d. 0.04 ng/μL
e. 0 ng/μL(Non Template Control: NTC)
● 反応組成
Distilled water 7.6 μL
KAPA SYBER FAST qPCR Mster Mix(2x) 10.0 μL
PrimerF:Act-F1( 10μM each) 0.2 μL
PrimerR:Act-R1( 10μM each) 0.2 μL
Human Genomic DNA( a~ e) 2.0 μL
Total 20.0 μL
● フローチャート
※ マスターミックス調整時に、分注ミスがないことを確認するため、LightCycler® 96による同時検証を実施した。
試験手順
1)テンプレート以外を加えたPCR反応液(テンプレート無)を作成した。
2)PCR反応液(テンプレート無)を5 本に分注し、それぞれの濃度のテンプレートを加えてPCR反応液(テンプレート有)を作成した。
3)それぞれの濃度のPCR反応液(テンプレート有)を下記の各チューブ(3 本ずつ)にそれぞれ分注した。
<チューブ>
• コントロールチューブ
① FastGene™ 0.1mL 8-Tube PCRチューブ
② FastGene™ 0.1mL Single PCRチューブ
③ FastGene™ 0.1mL 8-Tube WithCap PCRチューブ
<プレートレイアウト>
4)当社ラボ所有のリアルタイムPCR装置本体にセットし、ランを開始した。
プログラム
Step | Temp | Time | Cycle |
---|---|---|---|
Initial denaturation | 95℃ | 20 sec | ー |
Cycle Reaction | 95℃ | 3 sec | 40 cycles |
60℃ | 30 sec | ||
Melting Curve | 95℃ | 15 sec | ー |
60℃ | 1 min | ー | |
95℃ | 15 sec | ー |
5)ラン終了後、解析をし、増幅曲線および検量線、Ct 値を確認した。
増幅曲線と検量線の結果
• コントロールチューブ
① FastGene™ 0.1mL 8-Tube PCRチューブ
② FastGene™ 0.1mL Single PCRチューブ
③ FastGene™ 0.1mL 8-Tube WithCap PCRチューブ
希釈系列と合致した増幅曲線および直線性がある(R^2≧0.99)検量線が得られた。
(※LightCycler® 96によるPCR反応液の確認は問題なかった。データ未掲載)
Ct値の結果
各チューブごとにCt 値(Mean)を算出し、以下にまとめた。
チューブ / PCRテンプレート | a. 5 ng/μL | b. 1 ng/μL | c. 0.2 ng/μL | d. 0.04 ng/μL |
---|---|---|---|---|
コントロールチューブ | 24.29 | 26.8 | 29.43 | 31.97 |
①FastGene™ 0.1mL 8-Tube PCRチューブ | 22.54 | 24.99 | 27.57 | 30.35 |
②FastGene™ 0.1mL Single PCRチューブ | 18.61 | 20.72 | 23.33 | 25.92 |
③FastGene™ 0.1mL 8-Tube WithCap PCRチューブ | 23.07 | 25.56 | 28.16 | 30.85 |
結果のまとめ
1.チューブの形状評価
今回の評価した全てのチューブが、当社ラボ所有のリアルタイムPCR装置にセットできた。
2.蒸発試験
全てのチューブで問題なくランが開始され、正常に終了した。目視によるラン後の顕著な蒸発は確認されなかった。
3.リアルタイムPCR試験
ランデータの結果から、問題なくPCR反応が行われたことが確認できた。
3反復で検証を行い、再現性も得られた。
① FastGene™ 0.1mL 8-Tube PCRチューブ(Cat.No.FG-018FC)
② FastGene™ 0.1mL Single PCRチューブ(Cat.No.FG-011F)
③ FastGene™ 0.1mL 8-Tube WithCap PCRチューブ(Cat.No.FG-018WF)