第六十回 キリマンジャロの老豹
第六十回 キリマンジャロの老豹 本を買い求めて帰宅して読み始め、あれ? どこかで読んだことがあると思いながら、本棚を見ると同じ本が見つかることがある。コーヒーカップを手に、モノトーンの北向きの部屋で、重ねて購入した本に…
2023.06.28 金田 美穂
第六十回 キリマンジャロの老豹 本を買い求めて帰宅して読み始め、あれ? どこかで読んだことがあると思いながら、本棚を見ると同じ本が見つかることがある。コーヒーカップを手に、モノトーンの北向きの部屋で、重ねて購入した本に…
2023.05.30 金田 美穂
第五十九回 未来のおきく 久しぶりに映画館に出かけ、「せかいのおきく」(監督・阪本順治)を観た。父親を襲った刺客に斬られ声を失った“おきく”と、汲み取りを生業とする汚穢屋(おわいや)の若者たちとの青春を描いた物語だ。 …
2023.04.26 金田 美穂
第五十八回 チャット狂騒 「先生、まだっすか?」しばらく居眠りをしていた彼が声をあげた。夜だいぶ遅くなっていたと思う。私は彼の論文ドラフトを読み、オリジナルを損なわずに直すにはどうするか、パソコンに向い、悪戦苦闘してい…
2023.03.29 金田 美穂
第五十七回 研究費(2)桜の酔い 神楽坂で集まりがあり、その帰り道でふと松井秀喜選手の大型パネルをエンゼル・スタジアムで眺めたことを思い出した。大谷、ダルビッシュ選手など米大リーグ選手などを擁する2023ワールド・ベー…
2023.02.22 金田 美穂
第五十六回 梅の便り 紅梅が咲き始めている。この辺では白梅は少し遅く咲く。梅の花で思い出すことがある。「研究室は“一将功成りて万骨枯る”ではだめ。学生・院生がそれぞれポツポツと花を咲かせられなければね」と…
2023.01.25 金田 美穂
第五十五回 塩1トンには達しないまでも 「免疫や生殖の研究グループと共同でレトリートを計画している。そこで新メンバーに向けて、エピジェネティクスについて話してくれる?」と米国の友人が連絡してきた。そして「…
2022.12.27 金田 美穂
第五十四回 穏やかな午後の電車内 今年も残り少なくなったある日の午後、都心に向かう電車に乗り込みドア付近に近い席についた。朝夕の通勤時間帯を避ければゆったりと座れる電車の中、いつもは文庫本の時間だ。ふと向かいの席を見る…
2022.11.30 金田 美穂
第五十三回 フェイクの真実 夏の太陽が輝くビーチ、秋の紅葉、冬の雪景色、春の桜吹雪、季節毎のコマーシャルに気分も盛り上がる。カロリーを気にせず、甘さに浸れる幸福感、ダイエットを謳う炭酸飲料は意志薄弱を責め…