第六十九回 毒を喰らわば

東大名誉教授・塩田邦郎先生コラム「エピジェネティクスの交差点」
塩田 邦郎 先生のご紹介

塩田 邦郎(しおた・くにお)
東京大学名誉教授
1950年鹿児島県生まれ。博士(農学)。79年東京大学大学院農学系研究科獣医学専攻博士課程修了後、武田薬品工業中央研究所、87年より東京大学農学生命科学研究科獣医学専攻生理学および同応用動物科学専攻細胞生化学助教授、98年より同細胞生化学教授。
2016年早稲田大学理工学研究院総合研究所上級研究員。哺乳類の基礎研究に長く携わり、専門分野のエピジェネティクスを中心に、生命科学の基礎研究と産業応用に向けた実学研究に力を注ぐ。2018年より本サイトにて、大学や企業での経験を交え、ジェネティクスとエピジェネティクスに関連した話題のコラムを綴っている。


第六十九回 毒を喰らわば

 「ブロッコリースプラウトはからだに良いと聞いていたので、一生懸命に食べていました、でも…なぜ毒なのでしょうね?」と、毎回、感想を知らせてくれる担当Kさんの戸惑いと好奇心が電話の向こうに感じられた。先の「第68回コラム カリフラワー応援歌」には、ブロッコリーはスルフォラファンが豊富で健康に良いとは書いていなかったし、なぜ毒を持ったかにも触れていない。毒を持つ側とそれを承知で食べる側、偶然とも思えない。

 食物とは、と調べてみると「生物が生きるために日常摂取して身体の栄養を保持するもの。動物性食物と植物性食物に分ける。たべもの、食品(広辞苑第6版)」とある。水分、無機質、脂質、タンパク質、糖質、繊維の6成分と、ビタミン、呈味成分[鹹味(かんみ)、酸味、甘味、苦味、から味、旨み]、色素、香気などの微量な成分を含んでいる(ブリタニカ百科)。

 DNAメチル化と各種ヒストン修飾からなるエピゲノムは、細胞の種類ごとに異なる安定な遺伝子発現を保証している。DNAメチル化酵素(DNA methyltransferase: DNMT)、ヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase: HDAC)、ヒストンアセチル化酵素(histone acetyltransferase: HAT)、その他のヒストン修飾に関わる数多くの酵素が、エピゲノムの形成と維持に関わっている。DNAメチル化とヒストン修飾とはお互いに依存しているから、いずれの酵素であってもその活性が変化すると細胞の機能や運命が影響を受ける。

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