日本ジェネティクスのテクニカルノートとは?
発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
また、当データに関するご質問はお気軽にページ下部のフォームよりお問い合わせください。
評価製品:
リアルタイムPCR装置 LightCycler®96 System(sage science, Cat.No. HTP0001)
(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社, Cat.No. 05 815 916 001)
目的
PCRでのEDTAの阻害効果について検証する
評価方法
実験①:EDTAのPCR阻害効果測定
実験②:TEを想定したEDTAの影響
概要
EDTAはPCRを阻害する効果を持つことが知られている。
本テクニカルノートでは、その阻害効果がどのようなレベルでPCRに影響を与えるかを明らかにするために、実験を行った。
その結果、普段の実験でPCR反応液に混入が想定されるEDTA 濃度で、Cq値を有意に変化させることがわかった。
実験①:EDTAのPCR阻害効果測定
目的:阻害効果がどのようなレベルでPCRに影響を与えるかを明らかにする。
方法:PCR溶液中のEDTA含有量を変化させ、Cq値の変化を調べた。
結果
実験②:TEを想定したEDTAの影響
DNA保存に用いられる一般的な1×TE bufferには、EDTAが1 mM含まれる。このため、テンプレートDNAやPCRプライマーをTE bufferで
保存し、これらをPCR反応に用いた場合、0.5 mM程度のEDTAがPCR反応液に含まれる可能性は十分に考えられる(<例>参照)。
そこで、TE buffer使用を想定し、追試として0.5 mM,0.25 mMにおいて、EDTAによる阻害の影響を検証した。
結果
増幅曲線
比較Cq値(EDTA 0 mM)
補足結果
結論
EDTAは、TE buffer の使用など、実験作業工程の中で想定される範囲内の持ち込み量で、PCR結果に影響を与えるPCR阻害剤であることを確認した。
実験条件等
実験①
- PCR反応液(1 well)
2x KAPA SYBR FAST qPCR Master Mix 10 µM Forward primer 10 µM Reverse primer Human genomic DNA EDTA solution 終濃度(mM)①0.0 ②0.5 ③1.0 ④1.5 PCR grade water |
10.0 µL 0.4 µL 0.4 µL 5.0 µL 2.0 µL 2.2 µL |
Total | 20.0 µL |
- PCR cycle
Preincubation 95℃, 600 sec
↓
PCR(95℃, 3 sec→60℃, 20 sec)×45 cycle
↓
Melting 95℃, 10 sec→65℃, 60 sec→97℃, 1 sec - リアルタイムPCR装置
LightCycler®96 System
(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社, Cat.No. 05 815 916 001) - 実験回数:4
- 2x KAPA SYBR FAST qPCR Master Mix(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社, Cat.No. KK4601, Lot No. 0000103958)
- Human genomic DNA 10.0 [ng](ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社, Cat.No. 11691112001, Lot No. 10009523)
- 0.5 M EDTA(pH 8.0)( ニッポン・ジーン, Cat.No. 311-90075)
- PCR primer(Gene: ACTB)
Forward : TCACCCACACTGTGCCCATCTACGA
Reverse : CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATGG
実験②
テンプレートDNA:PCR 増幅産物希釈溶液を使用
その他実験条件:実験①に準じた。