【製品性能評価】PCRに対するPCR阻害剤EDTAの影響評価

日本ジェネティクスのテクニカルノートとは?

発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
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2021<03>
評価製品:
リアルタイムPCR装置 LightCycler®96 System(sage science, Cat.No. HTP0001)
(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社, Cat.No. 05 815 916 001)

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目的

PCRでのEDTAの阻害効果について検証する

評価方法

実験①:EDTAのPCR阻害効果測定
実験②:TEを想定したEDTAの影響

概要

EDTAはPCRを阻害する効果を持つことが知られている。
本テクニカルノートでは、その阻害効果がどのようなレベルでPCRに影響を与えるかを明らかにするために、実験を行った。
その結果、普段の実験でPCR反応液に混入が想定されるEDTA 濃度で、Cq値を有意に変化させることがわかった。

実験①:EDTAのPCR阻害効果測定

目的:阻害効果がどのようなレベルでPCRに影響を与えるかを明らかにする。
方法:PCR溶液中のEDTA含有量を変化させ、Cq値の変化を調べた。

結果

 

PCR溶液中に0.5 mM EDTAが含まれるとCq値で有意なPCR阻害効果が認められた。

実験②:TEを想定したEDTAの影響

DNA保存に用いられる一般的な1×TE bufferには、EDTAが1 mM含まれる。このため、テンプレートDNAやPCRプライマーをTE bufferで
保存し、これらをPCR反応に用いた場合、0.5 mM程度のEDTAがPCR反応液に含まれる可能性は十分に考えられる(<例>参照)。
そこで、TE buffer使用を想定し、追試として0.5 mM,0.25 mMにおいて、EDTAによる阻害の影響を検証した。

<例>:反応液(1 well)

結果

増幅曲線

比較Cq値(EDTA 0 mM)

TE buffer使用を仮定したEDTA濃度でもCq値に有意な差を生じた。0.05 mM程度では、Cq値に有意な差を生じなかった。
補足結果

 

0.05 mM程度では、Cq値に有意な差を生じなかった。

結論

EDTAは、TE buffer の使用など、実験作業工程の中で想定される範囲内の持ち込み量で、PCR結果に影響を与えるPCR阻害剤であることを確認した。

実験条件等

実験①
  • PCR反応液(1 well)
2x KAPA SYBR FAST qPCR Master Mix
10 µM Forward primer
10 µM Reverse primer
Human genomic DNA
EDTA solution
終濃度(mM)①0.0 ②0.5 ③1.0 ④1.5
PCR grade water
10.0 µL
  0.4 µL
  0.4 µL
  5.0 µL
  2.0 µL
  
  2.2 µL
Total  20.0 µL
  • PCR cycle
    Preincubation 95℃, 600 sec

    PCR(95℃, 3 sec→60℃, 20 sec)×45 cycle

    Melting 95℃, 10 sec→65℃, 60 sec→97℃, 1 sec
  • リアルタイムPCR装置 
      LightCycler®96 System
    (ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社, Cat.No. 05 815 916 001)
  • 実験回数:4
  • 2x KAPA SYBR FAST qPCR Master Mix(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社, Cat.No. KK4601, Lot No. 0000103958)
  • Human genomic DNA 10.0 [ng](ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社, Cat.No. 11691112001, Lot No. 10009523)
  • 0.5 M EDTA(pH 8.0)( ニッポン・ジーン, Cat.No. 311-90075)
  • PCR primer(Gene: ACTB)
    Forward : TCACCCACACTGTGCCCATCTACGA
    Reverse : CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATGG
実験②

テンプレートDNA:PCR 増幅産物希釈溶液を使用
その他実験条件:実験①に準じた。

 

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