日本ジェネティクスのテクニカルノートとは?
発売したばかりの新製品の性能評価や、既存製品の最適な条件を追求するための条件検討をすることでお客様に心からご納得頂いた上で商品をお使い頂けるよう、様々な評価試験を行っています。
採用前の検討資料として、または採用後の最適条件検討資料としてご活用ください。
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目的
LINKSuゲルトレイにある「返し」に起因する、液だれやラップ使用に関する問題点への有用性を確認した。
概要
ゲル撮影時、バッファーや染色液によるイルミネーターへの液だれを防ぐため、ラップ上にゲルを敷いた状態での撮影が広く行われる。しかし、ラップの使用時には、皺や気泡などの映り込みが問題点として挙げられる。
LINKSuのゲルトレイは、トレイ自体に返しがついているため、ラップを敷かずに液だれを防止することが可能であり、同時に皺や気泡などの問題点を解消することができる製品である。
本資料では、色水を用いたLINKSuゲルトレイの液だれ防止の確認とLINKSuゲルトレイとラップ使用/不使用時の組み合わせでゲル撮影を行い、LINKSuゲルトレイの有用性を確認した。
実験結果
- LINKSuゲルトレイの汚染防止性能の確認
FAS付属トレイ(コントロール製品) フチに返しがなく、フラットな構造になっている。 フチに返しがないため、わずかに傾けただけで、色水はこぼれた。 LINKSuゲルトレイ フチに高さ5 mmの返しがついている。 フチに返しがついているため、約30度まで傾けても、色水はこぼれなかった。 LINKSuのゲルトレイは、ラップを使用せずに液だれを防ぐことができた。
- LINKSuゲルトレイとラップ使用/不使用時の撮影画像の比較
Midori Green Xtra (先染め)で染色したゲルを、LINKSuゲルトレイを用いてFAS-Digi Compactで撮影した。
その際、ゲルトレイにラップを敷いた状態(ラップあり)とラップを敷かない状態(ラップなし)でそれぞれ撮影した。〈ラップあり〉
〈ラップなし〉ラップの使用により、皺や気泡の映り込みが認められたが、LINKSuゲルトレイのみで撮影することで、皺や気泡の映り込みが解消できた。
また、撮影時にはラップによって発生する皺や気泡をなくし、より鮮明な画像を得ることができる。
以上の結果により、LINKSuゲルトレイはゲルの撮影をより綺麗に行うことができる、有用性の高い製品である。
実験方法
〈LINKSuゲルトレイの汚染防止性能の確認〉
- 食紅(緑)を水に溶かして作成した色水を、約10 mLトレイ上に流し込んだ。
- 色水の入ったトレイを傾け、色水がこぼれるかどうかを確認し、撮影を行った。
〈先染めアガロースゲルの作製〉
- 以下の試薬をフラスコに混合する。
- 0.4 g FastGene™ Agarose(FastGene™ / Cat.No. NE-AG02)
- 40 mL 1×TAE buffer
- 電子レンジでアガロースを溶解する
- 温度が60℃くらいまで冷めたら、Midori Green Xtra(FastGene™ / Cat.No. NE-MG10)またはMidori Green Advance(FastGene™ / Cat.No. NE-MG04)を1.6 μL(終濃度:4 μL/100 mLゲル溶液)で加える。
- ゲルメーカーにゲルを流し込み、固める。
〈DNAラダーの電気泳動〉
- 1×TAE bufferをMupid-exU(タカラバイオ / Cat.No. EXU-1)に(400 mL+α)加えて、ゲルをセットする。
- 1 kb DNA Ladder PLUS (FastGene™ / Cat.No. NE-MWD1P)を各ウェルへアプライする。(①5.0 μL、②2.5 μL、③1.25 μL)
- 100V、20分の条件で電気泳動を行う。
〈撮影〉
- 泳動後のアガロースゲルを各ゲルトレイに並べ、FAS-Digi PRO(FastGene™ / Cat.No. GP-07LED)またはFAS-Digi Compact (FastGene™ / Cat.No. GP-08LED)にて撮影する。
- 撮影時に2種類のゲルトレイを用いて、同じゲルを撮影する(ラップなし条件)。
また、ゲルトレイ上にラップを敷いた状態で撮影する(ラップあり条件)。 - 撮影条件はマニュアルモード(F値:8.0、露光時間:0.8 秒、ISO:200)に固定して行った。