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アプリケーションノート 2020<03> 製品名:ibidi μ-Dish 35 mm, low Grid-500(Cat.No.ib80156) メーカー名:ibidi 社 |
下記のデータは、滋賀医科大学外科学講座 下地 みゆき 様より情報をご提供いただきました。
概要
通常、細胞培養で用いられるプラスティック製(ポリスチレン製)培養容器の底面厚は1 mm程度あり、Working Distance(WD)が短い高倍率レンズを用いた顕微鏡観察に使用できません。ibidi 社のマイクロディッシュやマイクロスライド底面は、独自のプラスティック素材“ibidi ポリマー”を材質としており、その底面厚は0.18 mm (+10/–5 μm)と非常に薄く、高倍率顕微鏡観察に使用できるよう設計されています。
本アプリケーションノートでは、一般的にWDの短い、高倍率のレンズとされる、40 倍の対物レンズ(WD 0.18 mm)を使用して、細胞観察を行い、ibidiポリマーが、高倍率顕微鏡観察に使用可能かどうかを検証しました。その結果、細胞内を詳細に観察できるグレードの画像が取得できることがわかりました。
背景
ibidi 社では、顕微鏡観察用培養ディッシュ製品ラインナップとして、底面に独自のプラスティック素材、ibidiポリマーを使用したものを用意しています。
顕微鏡で使用する対物レンズのWorking Distance(WD)は、対物レンズ先端から焦点までの距離のことであり、この値は、レンズ固有のものになります(図A)。
一般に、WDは、高倍率のレンズ程小さくなり、40 倍を超すようなレンズでは非常に小さな値になります。このため、高倍率レンズを用いた細胞観察において、細胞に焦点を合わせるためには、細胞をレンズ先端より近い距離に置く必要があります。
しかしながら、底面厚がおよそ1 mmある培養用プラスティック容器上の細胞を観察する場合には、容器の底面厚が邪魔をして、レンズ焦点を細胞に置くことができません(図B)。
このため、高倍率細胞観察には、厚さ約0.17 mmのガラス製カバースリップを底面に持つディッシュ(ガラスボトムディッシュ)が用いられることがほとんどです。
ところが、ガラスは空気透過性や細胞の接着力がプラスティックに劣るため、生育状態や細胞形態などがプラスティック上とは異なってしまう場合があります。
底面が非常に薄く(カバースリップ厚0.18 mm)、かつ、プラスティックの細胞接着力を有するibidiポリマー製ディッシュの有用性はこの点にあります。
目的
本アプリケーションノートでは、ibidi ポリマーを材質とするディッシュ「μ-Dish 35 mm, low Grid-500」を、高倍率細胞観察(40 倍対物レンズ使用)で使用した場合、どのような画像が取得できるのかを検証しました。
結果
蛍光顕微鏡観察、位相差顕微鏡観察を行った結果、共に、細胞内の微細な状態まで観察ができた(結果①、②)。
①-1:蛍光イメージング画像
①-2:イメージ抜粋
②:位相差イメージング画像
【実験条件】
細胞 : マウスNT2.5細胞
ベクター : pCMV-tdTomato(Clontech)
顕微鏡 : OLYMPUS IX83
検出波長 : 480/516nm
使用レンズ: UPLSAPO40X(OLYMPUS、WD=0.18 mm)
結論
- こちらのアプリケーションノートのPDFダウンロード : こちら
- 製品情報詳細ページ: マイクロ・ディッシュ 35 mm グリッド付
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