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メーカー名:ibidi社
下記フィードバックは、東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所 島田 幹男様の御厚意により掲載させていただきました。
実験概要
電離放射線は細胞内のゲノムDNAに損傷を引き起こす。特にDNA二本鎖切断は細胞死に至る重篤な損傷であるが、ほとんどの生物ではこれらを修復するDNA二本鎖切断修復機構と呼ばれている分子機構が備わっている。DNA二本鎖切断修復機構は多くのタンパク質によって複雑に制御されている上、細胞腫によっても異なる活性を持つ。本実験では幹細胞におけるDNA二本鎖切断修復機構を解析するためにヒトiPS細胞を用いて免疫染色法によりDNA修復タンパクの損傷部位への集積を検討した。
今回はiPS細胞など3 種類のヒト培養細胞を用い、主要なDNA損傷応答タンパク質である53BP1およびγH2AXに対する免疫染色を実施し、核内における修復タンパク質のフォーカス形成の蛍光観察を行った。
実験材料
細胞名 :U2OS(ヒト骨肉腫細胞)、NB1RGB(ヒト新生児皮膚線維芽細胞)、
NB1RGB C2( NB1RGB由来iPS細胞)
顕微鏡・撮影装置 :IX-71(オリンパス)
細胞培養容器 :ibidi μ-Slide 8 well コーティング ibiTreat(ib80826)
コーティング :iMatrix511(NB1RGB C2(iPS細胞)の培養時)
培地(組成) :DMEM(ナカライテスク)+10% BCS(Hyclone)
(U2OSおよびNB1RGBの培養時)
NutriStem XF/FF(Stemgent)(NB1RGB C2(iPS細胞)の培養時)
使用染色試薬および抗体 :DAPI(細胞核染色のため)、53BP1 1次抗体、γH2AX 1次抗体、
その他
アッセイプロトコール
1. 細胞にγ線0.5Gyを照射し、DNA損傷を誘発させる。
2. 放射線照射後30 分後に以下の操作を開始する。
3. PBSで洗浄 2回
4. 4%PFA固定処理 室温10 分
5. PBSで洗浄 2回
6. 0.5% Triton-X100/PBSで処理 4℃ 5分
7. PBSで洗浄 2回
8. 1%BSA/PBS-T でブロッキング処理 室温30 分
9. 1次抗体53BP1(Bethyl rabbit polyclonal 1000 倍希釈)γH2AX
(Merck Mlliporemouse monoclonal 1000 倍希釈)/1%BSA/PBS-T溶液で反応させる。室温4時間
10. PBS-T で洗浄 3回
11. 2 次抗体Alexa488(rabbit) Alexa594(mouse)
1000 倍希釈およびDAPI/1%BSA/PBS-T溶液で反応させる。室温1時間
12. PBS-T で洗浄 5回
13. PBSを加え、乾かないようにする。
14. 蛍光顕微鏡で観察と写真撮影。
• 細胞を移し換えることなく免疫蛍光染色やFISHが可能
• Culture-Insertを使った、創傷治癒(細胞間相互作用)研究も可能
• ibidi社独自のプラスチックフィルムを使用(ガラスと同等の光学性能、低い自家蛍光)
⇒倒立顕微鏡で底面側から直接観察可
結果データ
●U2OS ヒト骨肉腫細胞
●NB1RGB ヒト皮膚線維芽細胞
●NB1RGB C2 ヒト皮膚線維芽細胞由来iPS 細胞
一方でネガティブコントロールとして実施した非照射の実験では53BP1、γH2AXのフォーカスが形成されていない。また、μ-slide 8 well ibiTreatを用いることにより通常のスライドグラスではフィーダーフリーの細胞培養が難しかったiPS細胞でも鮮明な染色画像が得られた。
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